個性的なデザインが楽しめるオメガ『スピードマスター』の限定モデル【知っておくべき珠玉のマスターピース 第2回】
文=戸叶庸之
“ムーンウォッチ”の呼称で時計ファンに親しまれているオメガが誇る不朽の名作『スピードマスター』。1957年のRef.CK2915始まった歴代モデルの系譜から2つの限定モデルについて解説する。
時代感が詰まったデザインが光る個性派の『スピードマスター』
2022年に誕生65周年を迎え、スウォッチとの革新的なコラボレーションモデル「ムーンスウォッチ」などの話題作を発表し、時計界を盛り上げたオメガ『スピードマスター』。
ヴィンテージに関しては、1stから5thまでの手巻きモデルの価格高騰が続いており、オークションハウスの競売でも記録更新が相次いでいる。2021年11月にフィリップスが主催したジュネーブの時計オークションでは、トロピカルダイヤルに変色したRef.CK2915-1が311万5500スイスフラン(約3億8700万円)で落札。2022年10月には、RR オークションにて、NASAの宇宙飛行士ウォルター・”ウォリー”・シラーが所有していたナンバード エディションとなる1014本製造された18Kイエローゴールド製のRef.BA 145.022が190万7000ドル(約2億8000万円)で落札されたことも脚光を浴びた。
このようなコレクターズピースも含め、『スピードマスター』のヴィンテージモデルはすべてを把握することが難しいほどの多くのバリエーションがあり、ファイアーキッズの店頭からひと際ユニークなモデルを紹介する。
オメガの創業125周年記念として1973年で発売された『スピードマスター 125』(2000本限定)は、1970年代らしいスペースエイジなテイストが魅力。オメガ初のクロノメーター認定クロノグラフムーブメントCal.1041は、3時位置に日付表示、6時位置に12時間積算計、9時位置にGMT機能とスモールセコンドと、多彩な機能を備えている。
1982~1985年のわずかな期間で製造された西ドイツ限定モデルはかなりマニアックな部類に入る1本だろう。「スピードマスター」の5thと同様にCal.861が搭載されているため、ダイヤルのデザインはかなり似ているが、マットな質感のケースは印象が大きく違って見える。ケースと同じ仕上げのブレスレットは存在感が際立っている。
writer
戸叶庸之
神奈川県出身。大学在学中に出版社でのアルバイトからマスコミ関係の仕事に携
わる。その後、カルチャー誌、ファッション誌で編集・ライターとして活動をスタート。Web媒体は黎明期から携わり、藤原ヒロシ氏が発起人のWebマガジン「ハニカム」、講談社「フォルツァスタイル」などの立ち上げに参加。現在は、各種メディアで執筆、編集、ディレクションのほか、Webマーケティングや広告案件に従事。時計については、趣味でヴィンテージロレックスを収集しつつ、年代やジャンルを問わず、様々な角度から高級時計のトレンドを常に追いかけている。