ヴィンテージ歴30年の腕時計屋店員が愛用する名品3本とは
時計マニアが集まるFIRE KIDSのスタッフが、ヴィンテージ時計の魅力を伝えるYouTubeコーナー。毎回異なるテーマで、厳選されたモデルをご紹介する。
今回は、ヴィンテージ歴30年の腕時計屋店員が「今」持っている、私物腕時計を3本をチェックしていく。プロが普段着けている腕時計とは? 愛用の理由は? ヴィンテージ腕時計は何を基準に選んだら良いか分からない、という方必見だ。
あえてのボーイズサイズが使いやすい。ロレックス『オイスターデイト』
ヴィンテージ腕時計歴30年の松浦さんが愛用している腕時計1本目は、ロレックスの『オイスターデイト 1953年製』。雰囲気のあるギョウシェダイヤルが目を引く1本だ。
「ギョウシェと言われる文字盤に、シャッシャッと溝が入っているデザインが元々好きなんです。尚且つ12、6、9のアラビア数字と、デザインの収まりの良さとか、昔ながらのデザインの特徴でもあるクサビインデックスだったりとか、好きな要素が詰まった1本」(松浦さん)
「クサビインデックス良いですね。ヴィンテージならではの大きさでもありますね」(三好さん)
「ベルト幅が17mmで大分小さい。これは30mmだったかな」(松浦さん)
ロレックスでは、メンズとレディースの中間に位置するケースサイズを「ボーイズサイズ」に分類している。「実は今までは全然自分の頭の中になかったサイズです」と、「デカ厚」派だったという松浦さん。
「腕時計の好みの移り変わりみたいなものはありましたか?」(三好さん)
「パネライとか大きい時計のブームにも乗りましたし、その時代は小さい時計は全て選択肢から外していたんですよ。でも今はこのボーイズサイズが良いんだよね。自分的には40mmだと少し大きいなという感触が芽生えていて、これを着けた時に『おぉ、小さいのもアリだな』と」(松浦さん)
「これは全赤カレンダーですかね? なかなかないディティールというか」(三好さん)
「赤赤ですね。光が当たると赤色は飛んでしまって、それがどんどん黒に変わっていってしまう個体が多い中で、これは残っていると。今リューズを交換すると、王冠マークの下にマイナスとなってしまいますけど、これはプラスのやつが付いているんですよ」(松浦さん)
たまにこだわりを捨ててみたり、自分には似合わないからと決めつけないことも腕時計選びでは重要だと言う。「自分の世界が広がる瞬間はふと訪れますよね」と三好さんも話す。
繊細な仕上げが美しいIWCの『ドッペルクロノグラフ』
2本目はIWCの『ドッペルクロノグラフ』だ。ドッペルはドイツ語で「二重」を意味し、重厚なケースに複雑機構のスプリットセコンドクロノグラフを搭載している。
「ベルトは純正のブレスですか? スポーツモデルに付いている感じではないブレスというか、良いですね」(三好さん)
「純正です。もうメーカーにも在庫はなくて手に入らないとIWCに言われました。滑らかで良いんですよ、一個一個コマが外せて」(松浦さん)
「惚れたポイントはどこですか?」(三好さん)
「購入した時は、クロノグラフとか少し細かな複雑時計的なものが自分の中でブームだったんです。少しミリタリー要素もあったりして、着けた時にやはりカッコいいなと思って。男は割とそういうものに惹かれちゃうんですよね」(松浦さん)
ドッペルクロノグラフを新品で買った松浦さんだが、最近はサイズ感の好みが変わってきたことで少し出番が減ってきていると言う。ワンオーナーでポリッシュも入れていない状態の良い1本。名残惜しくはあるが「次の方のところに行くのかなって感じはあります」と、もっと活躍できる場を探しているとのことだ。
掘り出し物のロレックス『オイスター パーペチュアル デイト』
3本目は「なんだかんだ黒文字盤はカッコいいですよね」ということで、ロレックス『オイスター パーペチュアル デイト』を見ていく。
「これ実は前の仕事の仕入れの時に見つけたやつなんです。黒の場合って書き換えをしているものがとても多いんですけど、『あれ、これは大丈夫だな』と思った瞬間に欲しいってなっちゃって」(松浦さん)
「書き換えと言うと、どのような状態になるんですかね? めっちゃ綺麗? 見分けにくい感じもありそうですね」(三好さん)
「めっちゃ綺麗なものもあれば、やはり昔にやっていると、それなりの味が出ているものもあります」(松浦さん)
購入前に情報量が少なかったこともあり、機械の修理を依頼した職人に文字盤裏などを見てもらって裏付けをしっかり行ったと話す。黒のゴールドレターは出物が少ない希少なモデルだ。
「持っている腕時計はロレックスは多いですか?」(三好さん)
「ロレックスはなんだかんだ持っています。でも国産時計もありますし、オメガも好きですし」(松浦さん)
「自分が使う腕時計というところで、選ぶポイントはありますか?」(三好さん)
「『腕に乗せる・気分が上がる』これだけです」(松浦さん)
流行や自分のスタイル、環境によって好みは変わっていく。種類豊富なヴィンテージ腕時計の中から、そのときのお気に入りの1本を見つけて大事に楽しんでほしい。