【インスタグラム・ライブ掲載12】2022.7.24 修理しやすく、長持ちする!時代背景、設計思想の違いが、アンティーク、ヴィンテージウォッチの魅力を形成している!
出演=野村一成(店長)藤井翔(副店長)
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オススメの3本
1. IWC 1937年製
2. ロレックス『パーペチュアルデイト』 1971年代製
3. チューダー 1935年製
なぜアンティーク、ヴィンテージウォッチが魅力的なのか?それは時計への考え方、そして、それに伴い、作りが違うからだということです。1930年代の古い時計とともに、野村店長が解説します。
山ほどあるヴィンテージの魅力
野村:今日はヴィンテージウォッチの魅力3つ。いろいろ魅力はあると思いますが、3点に絞ってお話をさせていただこうかなと思っております。なかなか15分で収まるかなという感じですが、よろしくお願いします。コメントもお待ちしております。ヴィンテージ、アンティークウォッチの魅力というとですね、山ほどあると思いますが、ひとつは値段かな。まあ、アンティーク屋さんなんでね、ちょっと格好いいこと言いたいんですが、僕がアンティークに入ったきっかけは、やっぱり、新品の時計が買えなかったから。やっぱり高かったんですよね。
藤井:なるほどね。
野村:いまもそうだと思うんですけど、新品の時計ってやたらと高い、というのもあって。アンティークでもプレミアがついてるものも多いんですけど。アンティークウォッチって一般の人からいうと、すごい高いみたいなイメージがあると思うんですけど、ほとんど中古価格なんですよね。
藤井:そうですね。
野村:そこがやっぱり、ひとつ魅力かなと思います。例えばなんですけど、これIWCなんですけど。インターですね。古いの好きな人は、もうインター。インターでいきましょう。インターナショナル・ウォッチ・カンパニー。1937年。1937年ですよ。85年前。85歳の方、是非。
藤井:生まれ年の。
野村:これはセクターダイヤルって言われるやつですけどね。これがいかに安いか。これ42万円なんですけど、機械を見てもらうと納得してもらえるかなと思います。
100万円以下じゃ売れない!
藤井:では機械をお見せします。
野村:いま現行品でも、ここまで機械を仕上げたらいくらになりますか?っていう話なんですけど。いくらになりますかね?
藤井:うーん、相当な。
野村:まあ、100万円以下じゃ絶対に売れないでしょう、というような作りなんですけど。それがアンティーク、ヴィンテージの世界では42万円で出てしまうと。
藤井:いま裏蓋を開けましたので。
野村:スゴいですよね。コート・ド・ジュネーブ仕上げ。素晴らしい。こんな仕上げの時計、100万円以下では売れないでしょ。
藤井:まず、無理ですよね。
野村:って考えると、42万円って無茶苦茶安くないですかっていう。アンティークの魅力のひとつは値段が安いっていうのがありますよね。例えばロレックスの『デイトジャスト』なんかでも59万8000円とか、うちの店ではありますけど、新品だといま100万円以上するんですよね。そう考えると、ホント中古の価格設定になってると思うので、価格って魅力的ですよね。100万円って聞くと、ちょっと引きますもんね。
藤井:そうですね、100万円ですからね。
野村:わかりますかね、この機械の仕上がりの良さ。
藤井:キレイな機械ですよね。
野村:はい、これ、1937年。スゴいよね。
藤井:80年以上前のものとは思えないですよね。
野村:キレイに見えると思うんですけど、実際キレイです。文字盤はキレイではないですけどね。
藤井:そうですね、キレイとは。。。
顔も魅力のひとつ
野村:キレイとは、という感じですね。あと、アンティークの魅力の2つ目は、やっぱり顔だと思うんですよね。変な話ですけど、もちろん、新品はキレイです。新品の時計の方がキレイです。なんですけど、こういう感じですよね。
藤井:黒文字盤ですけど。。。
野村:見えますかね。星がたくさん、みたいな。
藤井:なんかブツブツしてるような。
野村:一応、これギャラクシーダイヤルと呼んでます。ギャラクシーダイヤル(笑)誰が言い出したのかというとですね、十数年前に僕が言い出しました(笑)十数年前に言い出したところ、他のお店でもそう呼んでくれてるところがある、というのを最近知って嬉しくなりました。
藤井:ジワジワ浸透はしてるみたいですね。
野村:まあ、星みたいな感じで、これね黒のギルドダイヤル、ミラーとかいわれるタイプの文字盤ですけど、星が散っている。
藤井:いまコメントで、昨日6694購入させていただきました。早速、装着しております。
野村:ありがとうございます!6694、箱付きのやつだ。嬉しいですね。生まれ年に近いの。
藤井:生まれ年に近いんですね。
野村:1年ずれだったんですけど。まあ、76年ってないので。
藤井:ないですよね。
アンティークならではの個性
野村:諦めてもらって。でも1年違いでも愛着が出ると思うので、大事にしてください。ありがとうございました。こちらの時計が1971年。俺と同級生だ。88万円。まあ、ミラーダイヤルでちょっと高いですけどね。それでもちょっとスペシャルな現行品を買おうと思ったら、まだ安いかなと。2つ目の魅力は何かと言うとですね、個性です。美人は3日で飽きるという言葉があるんですけど、この文字盤なんかは見れば見るほど、自分の時計だっていう愛着みたいなものが出たりだとか、そういうのがあるんじゃないかな。さっきのインターの顔なんかも汚いんですよ。汚いんですけど、自分のものだ、って感じにはなると思うんですよね。そういったところが、アンティークのいいところじゃないかなと。もちろん、キレイなアンティークを探すっていうのも、ひとつの手だと思うんですけど。まあ、傷ひとつ一つがなんかね、愛着じゃないですけど、自分でぶつけたりしてもね、自分がやっちゃったっていうのも愛着が出たりすると。
藤井:確かにそうですね。
野村:もちろん、キレイなものっていうのを探してもらうのもいいですけど、まあ、ちょっと欠点があった方が愛着が湧いたりとか、そういうのに繋がるんじゃないかなって思ってみたりもします。自分だけの1本っていう部分で、人には違うものが持てるというところがいいところですかね。ロレックス『パーペチュアルデイト』ギャラクシーダイヤルですね。これが88万円。まだホームページ出てません。
藤井:そうですね。まだ出す前ですね。
長持ちするのもアンティークならでは
野村:まあ、こういう珍しい個体を持っていると、自分だけの1本じゃないですけど、そういう相棒になれるんじゃないかな、という風に思います。まあ、ちょっと狙ってみてください。3つ目。それがなんとなく気になったんで出しただけで、話とはちょっと違うんですけど、長持ちするというところがアンティークの時計のいいところかなと。現行品の時計が長持ちしないかというとですね、大事に使うと長持ちすると思うんですけど、ただ設計の思想が違うんですよね。いまの時計っていうのは、変な話、使い捨て。腕時計って使い捨てっていう感覚もある時代のものだと思うんですけど、古いものって基本的に使い捨てっていう思想では作ってないんですよね。それだけ腕時計が高価なものだったというのもあるんですけど、使い捨てっていう感覚が出るのは1970年代中盤、後半くらいから。クォーツの時計が安くなってからですね。1970年代後半の本に、クォーツのデジタル時計が数千円という値段で出てるんですけど、そうすると高い修理代を払って直そうというものではない、という時代があってからの現行品の時計なんで。というのがひとつ。もうひとつが、修理。現行品の時計を修理しましょうっていうと、メーカーに出そうという思想のもとで作られているんですけど。
藤井:確かに、いまそういう感じになってますよね。
野村:昔は、町に一軒は必ず時計屋さんというのがあって、そこのご主人が仕入れから販売、修理、全部やるというのが普通の時代だったんですね。町の時計屋さんは自分が修理できない時計は仕入れないと思うんですよ。
藤井:そうですね、修理も自分でやると。
町の時計屋さんが修理
野村:そういう体制ですから、自分で修理できないような時計は仕入れてくれないというところもあって。基本的に古い時計の修理の思想っていうのは、町の時計屋さんが修理を嫌がらないように設計されていると。そういう時計が基本なんですよね。なので、修理しやすいっていうのが古い時計のいいところで。すべての時計がそうかというと、ちょっと特殊なものもありますけど、基本的には町の時計屋さんが修理をするという前提で設計されてますから、まあ、変な機構がない、逆に。いまご紹介しているのが1935年。
藤井:これまた古いですね。
野村:1935年のいまではチューダー。おじさんにはチュードル。
藤井:チュードルですよね。
野村:盾バラですね。盾バラチューダー。おじさんにはチュードル。アラビアインデックス。カッコいいですね。インスタの画面から見るとでっかい時計に見えるけど、ちょっと小ぶりな30ミリくらいですね。こんなのつけてたらオシャレだなぁ。チューダーの時計なんかも、メンテナンスしやすい機械ですよね。構造がシンプル。
藤井:そうですね。
野村:昔のロレックスとかもそうなんですけど、手巻きの時計なんかは構造がシンプル。そういったところが魅力かなと。メンテナンスしやすいんで、長く使えますよという形なんですね。例えば、針ひとつとっても、針緩くなりました。では、かしめて使いましょう。何十回、抜き差ししても大丈夫な作りですよね。現行品の時計って大丈夫なの?って作りのものも結構ありますよね。多分メーカーで修理をするから、もうオーバーホールの時に、針も一緒に交換しましょうっていう前提で設計されてるようなものっていうのは、スゴい多いと思うんですよね。
メーカーが潰れたらどうする?
藤井:その都度、オーバーホールごとに交換と。
野村:そういうような設計のものって、変な話、メーカー潰れたらどうするんだろうな、っていう気がするんですよね。実際に、1970年代から80年代にかけて、スイスの時計産業は8割方のメーカーがなくなったと、統合されたりとか、そういうのもあって。有名どころでいくとブライトリングなんかも潰れたりとか。まあ、いろんなところ、名前がなくなって、2000年代に入って復活したメーカーもたくさんありますけど、じゃあ、昔の部品を持ってますか、というと、持ってないんで。それを考えると、メーカーってなくなんないのかな?って思いますよね。
藤井:続く保証もないですしね。
野村:って考えると、オーバーホールのたびに交換するパーツがあるっていうのは、大丈夫なのかな。まあ、汎用パーツだったらいいんですけどね。機械は元気でも針はダメ、みたいな、だと目も当てられない。そういう状況ってあるんじゃないか思ったりすると、アンティークの古い時計の方が、かえって設計上は一生もんなのかなと。どっちが長持ちっていったら、ヴィンテージの時計の方が長持ちしちゃうんじゃないかなというところが、アンティークの魅力なんじゃないかなと思います。1930年代の時計。もちろん、50年代、60年代の時計もいいですし。ちなみにチューダーは、1935年製、29万8000円。
藤井:結構、お買い得な。
野村:そうですね、お財布にもちょっと優しめ。1935年、何歳ですか?
藤井:87歳ですかね。
野村:87歳の方、是非。
藤井:85歳と87歳ですかね。
野村:85歳、87歳。高齢の方に、是非。でも、その歳の人がこんなのしてたら格好いいなぁ。
藤井:確かにそうですね。
野村:71年製もありますんで、71年製も是非!年式でも、かなりの数を揃えてますので。うちの店では2002年製まで、頑張って集めてますから。年式で探していただいてもいいかなと。店頭も約300本。店頭以外も在庫がありますんで、是非、お店に遊びに来てください。
藤井:店頭に並べる前に、お見せしているのもいくつかありますし。
野村:ホームページやインスタで紹介する前に旅立っていく時計も、見せたかった、という時計もあったりするんで、是非、お店に遊びに来てください。