【今月の1本】鈴木雄士(顧問) 『ナビタイマー』のデザインを決定づけた2ndモデルには、男のロマンが詰め込まれている
パイロットウォッチに注目
だんだん夏が近づいてダイバーズウォッチや、ロレックスなどもオールマイティに使えて人気なのですが、作りがよくて、みんなが持ってるわけではない時計もいいのではないでしょうか。現在、映画『トップガン マーベリック』が上映されていることもあり、パイロットウォッチに注目したい。ブライトリング『ナビタイマー』の 2ndモデルを押したいです。
2ndモデルは60年から60年半ばくらいに製作されたモデルです。ファイアーキッズは状態のいいものを在庫しているので、是非ご覧いただきたいと思っています。
『ナビタイマー』はミスターブライトリングと言っても過言ではない時計です。まず注目されるファーストモデルですが、これは希少性があって滅多に出てこないこともありますが、50年代のモデルなので状態のいいのが少ないのです。また、文字盤もブラック一色です。インダイヤルが色分けされている2ndモデルの方が視認性がいいですし、なによりデザインがより計器的だと思うのです。
デザインのキーポイントでもあるクロノグラフや計算尺は、普段使うことがあまりなく、日常生活には必要のないものですが、計測機という付加機能がついている格好良さがあります。男のロマンが詰め込まれたような世界観ですね。
『ナビタイマー』をお持ちだった松本零士先生が、そこからヒントを得たのかと思うと感慨深いものがあります。松本メーターっていう言葉もありますが、そういうデザイン性が魅力なのです。
私は2ndモデルが、ナビタイマーの意匠を決定づけ、完成させたと思ってます。現行モデルもほとんど変わっていないですし。41㎜というケース径は、当時は33~35㎜が普通だったので、かなり大きなサイズでしたが、現代ではちょうどいいサイズ感です。今年発表された新作が46、43、41㎜の3モデルだったので、現行では一番小さいサイズになります。
状態のいいモデルは少ない
アンティーク市場での『ナビタイマー』2ndモデルは、超稀少品というわけではないので、専門的なお店に行けば置いてあるとは思います。ただ、状態がいいモデルは少ないです。
そもそもこのモデルにはパッキンが入ってないのです。ブライトリング社の正式見解かどうかは知らないのですが、パッキンが入ってないことに対して「空を飛ぶのに水はかからない」と言ったというエピソードは聞いてます。
パイロットウォッチといえども、当然、日常で使用する人もいますし、日本もそうですが高温多湿な環境の国もあります。そういう意味では気を使う時計ですし、その分、いい状態のものが少ないのだと思います。
ただ、ファイアーキッズに置いているものは、状態のいいものが多いです。なので、お勧めしているのです。
価格的には70万円半ばくらいが平均です。ムーブメントはヴィーナス178などが載っています。当時はヴィーナスが載っていれば上級モデル。上級と中級を担ってたのがバルジュー、その下がランデロンという感じでした。ビーナスが搭載されていれば高級機と言われ、信頼性があったのです。
アンティークウォッチは、その性格上、コレクションになることも多いですが、できれば日常で格好良く使って欲しいと思っています。とくに若い人たちには、クロノグラフなどのスポーツ系の腕時計をさりげなく使って欲しいです。