王道から変化球まで楽しめるロレックス『デイトジャスト』4選!

2023.09.05
Written by 戸叶庸之

文=戸叶庸之

1945年に発表されたロレックスの「デイトジャスト」は、オイスターケース、パーペチュアルローター、革新的なカレンダー機構を兼ね備えた記念碑的な傑作であり、ブランドきってのロングセラーだ。連載第4回では、「ファイアーキッズ」の店頭に陳列された品々から、ヴィンテージロレックスに該当するリファレンスナンバーが4桁の「デイトジャスト」の魅力について解説しよう。

1.ロレックス デイトジャスト Ref.1601(1969年製)

ロレックス『デイトジャスト』 Ref.1601 自動巻き(Cal.1570) 1969年製 18Kホワイトゴールド×ステンレススチールケース 36mm径 ¥628,000 (税込)

『デイト ジャスト』 Ref.1601と聞くと、1980年代のバブル時代を彷彿させる18Kイエローゴールドのコンビケースをイメージする人がいると思うが、実際には様々なバリエーションがある。ここでは、18Kホワイトゴールド製のフールテッドベゼル、シルバーダイヤルのモデルを『デイトジャスト』の入門機として一押ししたい。

 購入する際の注目すべきポイントは、ケースやベゼルの研磨、ダイヤルのデザインだろう。ケースが丸くなりすぎているとベゼルの刻みとの間にギャップが生まれるので、なるべくオリジナルのフォルムを残しているものから選びたい。針とインデックスのバリエーションもいくつも種類があり、古い年代であればあるほどめずらしいディテールが見つかる。

ヴィンテージの味わいを優先するか、それとも新品のようなコンディションにこだわるか。そこでの正解はない。玉数が多い分、まだ比較的落ち着いた価格で購入できるのも大きな魅力だろう。

2.ロレックス『デイトジャスト』 Ref.1601(1968年製)

ロレックス『デイトジャスト』 Ref.1601(1968年製) 18Kホワイトゴールド×ステンレススチールケース 36mm径 ¥1,480,000 

前述の『デイトジャスト』Ref.1601のシルバーダイヤルとほぼ同年代の個体だが、こちらはブラックのミラーダイヤルが変色しており、同じリファレンスのモデルでも趣がまったく異なる。

ヴィンテージウォッチの醍醐味であるミラーダイヤルは、メーカーやモデルにによって材質なども変わることからコンディションは千差万別である。状態が良ければ良いほど評価は上がり、とりわけブラウン化したダイヤルはコレクターに好まれる。真逆に劣化が酷くなると、マットダイヤルよりも安く買えることさえある。

「デイトジャスト」の場合、シルバーダイヤルのダイヤルの対して、ブラックダイヤルの製造本数が圧倒的に少ない。それゆえ、仮に状態のいいダイヤルを見つけたとしても交換ダイヤルの場合が多いため、細心の注意を払いたい。ここは焦らず、理想の1本が見つかるまで吟味するのもひとつの手だろう。

3.ロレックス『デイトジャスト』Ref.1603(1969年製)

ロレックス『デイトジャスト』 Ref.1603 自動巻き(Cal.1570) 1969年製 ステンレスケース 36mm径 ¥1,280,000 (税込)

いざ探すとなかなか見つからないRef.1603は、Ref.1601の廉価版として登場したモデルであり、Ref.1601のベゼルが18Kゴールド製のフルーテッドベゼルであることに対して、模様が違うステンレススチール製のベゼルを用いている。

こちらで紹介した1969年製の個体は、ミラーダイヤルであることからに高い評価を得ている。ダイヤルは多少のダメージは見られるが良好な部類に入るかと思われる。ケースのコンディションも上々でオリジナルのシェイプを残している。伸びの少ないRef.6251H/FF55のジュビリーブレスレットが付属していることも嬉しいポイントだ。

もちろん、完璧なコンディションであることに越したことはないが、良質な個体と出合うには、少なからず人脈や運が必要になってくる。肩肘張らずに自分らしい理想の1本を探し出したい。

4.ロレックス『デイトジャスト』(1971年製) 

ロレックス『デイトジャスト』 Ref.1600 自動巻き(Cal.1570) 1971年代 18Kイエローゴールド ×ステンレススチールケース、36mm径 ¥880,000  (税込)  

かつてバブル時代に一斉を風靡した『デイトジャスト』のコンビケース。着こなしにもよるが、金無垢のケースよりも派手やかに見えるのは、あながち嘘ではないかと思う。それゆれ、苦手意識を持っている層が未だに多いため、人気は下火だと言わざるを得ない。

ところが、同じようなデザインの時計でもちょっとしたパーツの違いで見違えるほどスタイリシュに見えるモデルが稀に存在する。

Ref.1600は『デイトジャスト』の象徴のひとつであるフールテッドデゼルをスムースベゼルに変更したモデルだ。さらに、こちらの個体はグレーダイヤルであるため、シルバーやシャンパンカラーよりもこなれ感がある。かなり珍しい組み合わせゆえ、評価が価格にも反映している。

人気はさておき、簡単には見つからない1本なので、気になる方はこのチャンスを逃さないように心がけたい。

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戸叶庸之

戸叶庸之

神奈川県出身。大学在学中に出版社でのアルバイトからマスコミ関係の仕事に携

わる。その後、カルチャー誌、ファッション誌で編集・ライターとして活動をスタート。Web媒体は黎明期から携わり、藤原ヒロシ氏が発起人のWebマガジン「ハニカム」、講談社「フォルツァスタイル」などの立ち上げに参加。現在は、各種メディアで執筆、編集、ディレクションのほか、Webマーケティングや広告案件に従事。時計については、趣味でヴィンテージロレックスを収集しつつ、年代やジャンルを問わず、様々な角度から高級時計のトレンドを常に追いかけている。

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