「世界三大時計」は伝統と技術力が桁違い。高級なだけじゃない「雲上ブランド」のすすめ
世界三大時計? ロレックスは入っていないの? という方も少なくはないのでは。世界三大時計とは、スイスの高級時計ブランドであるパテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンのことである。
長い歴史や伝統、高度な技術力と美的感覚を持つ高級時計製造ブランド。他のブランドと一線を画すことから「雲上ブランド」とも呼ばれている。今回は、世界三大のヴィンテージウォッチについて、ヴィンテージ時計専門店ならではの視点で解説していく。
生粋の時計好きが語る、雲上ブランドのイメージとは
実は、世間が持つ高級腕時計の人気モデルのイメージと、ヴィンテージ時計屋スタッフが持つ印象が少し違う部分もある。野村店長と髙橋さんが、世界三大時計やブランドに対しての思いを語る。
「ヴァシュロン・コンスタンタンは、やはりマルタ十字がかっこいいよね」(野村店長)
「僕はもしかすると、雲上ブランドの中では一番好きなブランドかもしれないです。本数も少ないイメージがあって貴重ですよね」(髙橋さん)
「現存する最古のブランドっていうのも、やはり良いですよね。パテックフィリップはアガリの時計かなっていうイメージ。僕の中ではもうパテックと言ったらクンロクなのかな」(野村店長)
ヴァシュロン・コンスタンタンのアイデンティティーとも言えるマルタ十字のブランドロゴは1880年頃に誕生した。創業は1755年と、現存する最古の時計ブランドとして名高い老舗ブランドだ。
「3社どれをとっても素晴らしい。ここがやはり、雲上というところなんですよね。今、ヴァシュロンにしても、オーデマ ピゲ、パテにしても、パテが欲しい人は何が欲しいかと言うと、みんなノーチラスと言うじゃないですか」(野村店長)
「アクアノートとかも。良いと思います。個人的には、そこはあんまり否定的な気持ちはないんですけれども、本来は違うのかなと思いますけどね(笑)」(髙橋さん)
「20年前、30年前、一番パテックらしくない時計がノーチラスかなみたいな。入門機ですよね。しかも全然パテックっぽくないよねっていう時計だったのが、世間では今一番人気だよね」(野村店長)
「そうですね、ヴァシュロンもオーヴァーシーズが人気ですよね」(髙橋さん)
「格好いい時計だなとは思ってましたけど、三大メーカーらしくないなという時計が人気があって、ヴィンテージ好きからすると違うかなっていう気もしたりしつつ、でも実際は、作り込みに関していえばどの時計もすごいのはたしかですよね」(野村店長)
250年以上の歴史を持つ「ヴァシュロン・コンスタンタン」はクラシカルなデザインが魅力
高い精度と独特の美しさで知られているヴァシュロン・コンスタンタン。全て手作業で作られるため、希少性の高いモデルが多く、世界三大時計の代表格として世界中のコレクターに愛されている。
まず紹介するのは、クラシックなモデルとして人気がある『18KYGラウンドケース 自動巻き Ref.6378 Cal.K107』。ヴァシュロンらしい上品さと存在感が目を引く、スクリューバックを採用したしっかりとした厚みがある自動巻きだ。
「ヴァシュロンは自動巻きの金無垢、ローター搭載です。インデックスもピカピカ光って綺麗です」(髙橋さん)
「綺麗ですね」(野村店長)
「ベルトも尾錠も純正のものが付いています、これはいい時計ですね、シンプルな感じですけどね」(髙橋さん)
「本当ね。なんでこれが100万円するの? というふうにも見えますけど、腕に着けた時の存在感みたいなものがやはりね、スペシャル感ありますよね」(野村店長)
ひと目でヴァシュロンと分かる洗練されたデザインとマルタ十字が特徴的だ。現存する最古のブランドで、腕時計の生産数が多くないということもあり、希少価値が高い点も時計製造の歴史を感じさせる。
「パテック フィリップ」の超人気コレクション『カラトラバ』
次に紹介するのは、常に最高の品質を求め、技術革新を続けているパテック フィリップの『カラトラバ Ref.3445 Cal.27-460M 純正尾錠 18KWG』。精密な機械式ムーブメントを搭載し、非常に高い精度を誇るブランドだ。
「割とよく見かける時計ですね、ホワイトゴールドですよね。後年の尾錠付きです」(髙橋さん)
「これは箱、保証書がフルセットみたいな感じで付いています」(野村店長)
「素性の良い時計ですね。割とよく見かける時計です。ホワイトゴールドで、後年の尾錠付き、こちらも自動巻きです。」(髙橋さん)
パテック フィリップの数多くのコレクションの中でも「シンプルで永遠のクラシック」とも評される代表的なデザインの『カラトラバ』。一切の無駄がない薄くシンプルなデザインが特徴で、1932年に登場してから多くの愛好家を魅了している。
「まぁ名作。これはスモールセコンドが特徴的ですね。デイト付きのスモセコで自動巻きは本当にないですよ。当時のパテックとしては、このモデルが主力です」(野村店長)
「この時代らしいですよね、75年という時代にも関わらず、スモセコで、年代に沿ったデイト付きみたいな」(髙橋さん)
「この品番は、結構60年代から出ているんですけどね。デザインもほぼ一緒ですね」(野村店長)
「ロングセラーですね」(髙橋さん)
「たぶん70年代は開発金がなかったんだと思いますよ」と、野村店長から裏話も。すべてのムーブメントと外装を自社で設計しており、180年以上にわたり伝統的技法を受け継ぎ、一時的な流行に左右されない芸術的な要素を取り入れたデザインが印象的なパテック フィリップ。今回紹介したウォッチには、オリジナルのボックスと保証書が付属するので安心感と特別感のある1本だ。
セレブや有名人の愛好家も多い憧れの「オーデマ ピゲ」
3本目は、高級機械式時計ブランドであるオーデマ ピゲの『18KYGスクエアケース エナメルダイヤル』。1976〜79年製で、当時としては大振りな25㎜幅のケースに、約4㎜の薄型モデルだ。
「ダイヤルはエナメルですね、だから変色もほとんどしないですし。ひび割れることはあるんですけどね」(野村店長)
「これは肉眼でも、ルーペでも大丈夫です」(髙橋さん)
「この年代のカルティエが出てくるとほぼ割れてますしね」(野村店長)
「そういうところも、オーデマ ピゲの商品クオリティの高さですよね」(髙橋さん)
オーデマ ピゲは、特にスポーティなデザインが特徴で、耐久性や防水性にも優れ、複雑な機能を備えたモデルも多い。
「カルティエ タンクと比べても厚みも全然違いますし。機械の厚みも違うし、逆にサイズ・幅も実際、当時のタンクのメンズサイズより幅もある」(野村店長)
ムーブメントメーカーとして多くの時計ブランドを支えていたジャガー・ルクルトにも触れる髙橋さんと野村店長。世界三大時計メーカーも機械を供給していたこともあり、「結局すごいのはジャガー・ルクルトじゃないか」という裏話も。
「さすがオーデマ ピゲ。そしてジャガー・ルクルト。カルティエでジャガー・ルクルトムーブメントなんていったらめちゃくちゃ高いですもんね?」(髙橋さん)
「カルティエに100万円出すんだったら、これに100万円出した方が良いんじゃない。どう考えても、あれ? この時計ちょっと安すぎないか? という気がしますよ(笑)」(野村店長)
三大メーカーなのに人気のカルティエより安く、オーデマ ピゲもスポーツモデル以外のヴィンテージは意外と「あっそんなもんか」という値段で収まったりする場合もあると言う。三大メーカーについては、中古感覚で考えると、価格は安いのにクオリティは高く、現行品を考えるとかなり格安で狙い目だ。
歴史が長いだけではなく、伝統や伝統、技術革新をバランス良く取り入れた世界三大時計をご紹介した。
>>世界三大時計のブランドは?雲上ブランドの魅力と人気の理由を解説