【お洒落対決 時計deバトル】紺色のテイラードジャケットにマッチする腕時計は?
対談:ハッサン×ナカD
時計を複数持つのはもう当たり前。問題はそれをどう身に着けるのか? ヴィンテージウォッチを上手に使いこなしてこそ本物のジェントルマン。そこで着こなしにウルサい二人がお題に則して“正解”時計をピックアップ。お互いのコーディネイト理論を戦わせながらウォッチ巧者を決めていく。果してアナタはどっちの味方?
第一回お題アイテム:ネイビージャケット
大人の必携アウターとしてスーパーベーシックな紺色のテイラードジャケット。何にでもマッチするオールマイティな一着だが、そんなアイテムだからこそ、合わせる時計でセンスの有無が垣間見えるもの。さてさて二人は一体どんな時計を選ぶのか?
<お題>
今回用意したネイビージャケットは、テイラードながら肩パッドや裏地を排した今風の軽量タイプ。トラッドな段返りの三つボタンにしてスポーティにも装えるパッチポケット、メッシュ調の生地使いがポイント。
<バトルスタッフ紹介>
ハッサン 学生時代からトラッド好きを貫くアラフィフ男子。フリーランスの売文業。趣味は時計とバイクと古い服。ラルフ ローレン・ファンをひた隠しながら、自分らしい着こなしができてるとウソブく元祖負けず嫌い。近眼で老眼。
ナカD メディアを操りなんでも金に替えるディレクター。お堅いクライアントを持つため、表向きはジャケパンなどキレイめ系の着こなしを得意とする。ただしお洒落と言われたいため、昨今はムリして古着屋にも顔を出すアラフォー。クルマ狂い。
手堅さと同時に個性引き立つチョイスで差を付ける!
ハッサン ちょっとした買い物やデートのときまで重宝するネイビーのジャケット。昨今はTシャツにも合わせられる軽い仕立てが主流だよね。
ナカD ふ、デートなんて行かないクセに。でも確かに紺ジャケは重宝するから、僕も年イチで買ってる感じ。個人的にはオーソドックスなアイテムゆえ、ちょっとした小物で個性を出すのを心掛けてるかな。とは言え、押しつけがましいのはNG。僕はビジネスマンなので、やっぱ控えめが旨。てことで無地の紺ジャケに白シャツ、そしてカルティエ タンクのバスキュラントとイキたいですね。
ハッサン うーん、お洒落だけど少し分かりづれぇー! 普通にタンクでいいじゃない。
ナカD それじゃあ物足りないっしょ。このバスキュラントはケースを反転させるとムーブメントが見えるのよ。ミステリアスな二面性が人物像に深味を与えるというかナンというか……。
ハッサン まったくビジネス関係ナイじゃない。でも、確かにノータイでもカルティエの一本が入ると、途端に締まる感じはする。薄手ケースでスタイリッシュなのも昨今の軽いジャケットにマッチしてる。
ナカD でしょ? ハッサンはどうよ?
ハッサン オンスタイルということなら、普通のドレスシャツにちょっとオールドフレンチな柄タイを合わせ、ジャガー・ルクルトのヴォーグでキメたいトコっす。オーセンティックなんだけど、どこかロマンティックじゃない?
ナカD まあブルー系で色みも合ってるからお洒落とは思うけど、ビジネスにはちょい派手? まあハッサンは所詮フリーランスだから、コレぐらいインパクト合ったほうがイイのかな。にしてもレノマのタイとか良く持ってるよね。
ハッサン オイ、所詮ってなんやねん。フリーランスをナメとんのか! よし、もうひと勝負しようや。今度はこの紺ジャケを軸に、スポーティなオフスタイルだったらどうこなす?
ナカD そうね。そういう場合はフツーに黒色ポロに、IWCのポルシェデザイン オーシャン2000かな。ブラック文字盤やチタンケース&ブレスが精悍な印象で良いでしょ。実際僕、ポルシェに乗ってたしネ。
ハッサン 悪くはない。90年代のこのモデルはシンプルだけど42.5ミリケースで迫力もある。しかもトリチウムがキレイに焼けててグッドルッキン。通な雰囲気を匂わせる。
ナカD 時計好きって比較的オタクっぽい雰囲気の人が多いけど、これなら非常にアクティブ。ジャケットスタイルが溌剌で好印象な感じになると思うのよ。
ハッサン まあ、確かに敵ながらあっぱれよ。だけどナカD、今乗ってるの確かタントじゃん?
ナカD ミラクルオープンドアってか? そんなファミリー向けの軽じゃありませんっ!
ハッサン それはスミマセン。逆に僕なら今風にキャップを被ってロレックスの60年代オイスターデイトとかいっちゃうかな。
ナカD おー、確かにジャケット&キャップの提案は、昨今よく見るようになった。ヴィンテージのロレックスと合わせてラルフ ローレンっぽい感じもする。でも、シンプルにブルーダイヤルでイイんじゃない?
ハッサン まーね。けどそれはベタ過ぎよ。アズーロ・エ・マローネの公式じゃないけど、経年により茶味がかった文字盤の合わせが手だれっぽいでしょ?
ナカD 確かにイタリア人好みの「ネイビー×ブラウン」合わせのように見えないコトもない。だけど、きっとダーレも気付かないよそんなの。
ハッサン ケッコウケッコウ、お洒落は結局自己★満足! 分からんヤツなどほっとけい!
ナカD ……時計だけに? そういうトコが悲しきアラフィフなんよ。
writer
長谷川剛
1969年東京都生まれ。エムパイヤスネークビルディングに所属し、『asAyan』の編集に携わる。その後(有)イーターに移籍し『asAyan』『メンズクラブ』などを編集。98年からフリー。『ホットドッグプレス』『ポパイ』等の制作に関わる。2001年トランスワールドジャパンに所属し雑誌『HYBRID』『Warp』の編集に携わる。02年フリーとなり、メンズのファッション記事、カタログ製作を中心とする編集ライターとして活動。04年、エディトリアルチーム「04(zeroyon)」を結成。19年、クリエイターオフィス「テーブルロック」に移籍。アパレル関係に加え時計方面の制作も本格化。