ROLEXリファレンスナンバー(型番)の読み解き方 文=土田貴史

2023.01.13
Written by 土田貴史

ケース脇12時位置を見れば、出荷時のオリジナルの状態を見極められる

 数多くのモデルをリリースするロレックスだが、そのすべてにリファレンスナンバー(型番)があるとされている。リファレンスナンバー(通称:Ref番号)は、モデル、ベゼル、ケース素材、装飾の有無を表しており、リファレンスナンバーを理解していれば番号だけでどんなモデルかがイメージできるのだ。ゆえに、リファレンスナンバーを熟知することは、ロレックスを深く知る近道。ロレックスはこの件について公式見解を出していないが、今では多くの研究家によってリファレンスナンバーが検証され、アンティーク市場ではリファレンスナンバーによって情報がやり取りされている。

 なぜか? この型番は、目の前の時計が本物かどうかを知る手がかりとなる。もしも、リファレンスナンバーが示す情報と、現在の姿が異なっているとしたら、過去に何らかの手が加えられたと疑ってみるべきだ。過去のオーナーが、修理の一環として、身近なパーツを代用した場合も考えられるが、故意にパーツを寄せ集めて販売につなげた場合も考えられる。逆に製造時の情報と現在の姿が合致していたら、オリジナルの姿を留めている証拠のひとつになっていく。


 つまり、ロレックスを購入するなら、このリファレンスナンバーを理解していることはマストとなる。といっても、リファレンスナンバーの読み方には、下記のルールがあるので、このルールで読み解いていけば、決して難しくはない。

 ちなみに、リファレンスナンバーは4桁から6桁の桁数の違いでおおよその特徴を掴むことができる。ロレックスは2000年頃よりリファレンスナンバーを6桁化し、2010年頃にはほとんどのシリーズが6桁となった。つまり、6桁のリファレンスナンバーは、ほぼ最新の型式と呼べる。5桁のリファレンスナンバーは、1980年代~2000年代まで使用されていたもの。この頃のモデルが、現在最も多く市場に出ているものだ。そして、4桁のリファレンスナンバーは、1980年代以前のいわゆるヴィンテージアイテムとなっている。

リファレンスナンバーはこう読む

 上記のように、レファレンスナンバーは①~④のパートに別れている。最期のアルファベット記号が④、そのひとつ前の数字1桁が③、さらにその前の1桁が②、残りの2~4桁が①というように読んでいく。


①モデル番号
サブマリーナー・エクスプローラーⅠなど、モデルを指す2~4桁の番号(※4桁は現行モデル)。


②ベゼル番号
ベゼル(※風防ガラスを固定する枠)の形状を示す番号。ポリッシュドベゼル・エンジンターンドベゼルなど。


③ケース・ブレスレット番号
使用素材を示す番号。ステンレススチールなど。


④装飾記号
ダイヤモンドによるインデックス、シェルダイアルなど、特別な装飾が施されている場合に用いられる。

リファレンスナンバーはここに記されている

 リファレンスナンバーは、時計本体で、ブレスレットを外した12時位置のケース側面に刻印されている。見本のモデルは、「16800」と刻印されているので、168=①モデル、0=②ベゼル、0=③ケース、ブレスレット、と読み解くことができる。

 ちなみに、リファレンスナンバーとよく混同されがちなのが、シリアルナンバー(個体番号)。型番とは異なり、個体ひとつずつに割り当てられた番号だ。2010年以前に製造されたものは、6時位置ケース側面に刻印、それ以降のものは文字盤の内側に刻印されている。このシリアルナンバーからは、製造年を逆算・類推することができる。

モデル番号モデル名対象性別カレンダーなど
114・14エアキングなどメンズノンデイト
140エアキング・サブマリーナ―などメンズノンデイト
142・1142・2142エクスプローラーⅠ・オイスターパーペチュアルなどメンズノンデイト
15パーペチュアルデイト・クロノメーターなどメンズデイト
116・16デイトジャスト・デイトジャストⅡ・クロノメーターなどメンズデイト
1164ミルガウスなどメンズノンデイト
165・1165・2165デイトナ(旧型自動巻き)・エクスプローラーⅡなどメンズデイト
166・1166サブマリーナー・ヨットマスター・シードゥエラーなどメンズデイト
2166ヨットマスターⅡなどメンズデイト
167・1167GMTマスター・GMTマスターⅡなどメンズデイト
1169エアキング(新型)などメンズノンデイト
168サブマリーナーなどメンズデイト
170・17オイスタークオーツ・デイトジャストメンズデイト
118・18デイデイトなどメンズデイ&デイト
218デイデイトⅡなどメンズデイ&デイト
19オイスタークオーツデイデイトなどメンズデイ&デイト
68・1686デイトジャスト・ヨットマスターなどボーイズデイト
69・1696デイトジャスト・ヨットマスターなどレディースデイト
76・176オイスターパーペチュアルなどレディースノンデイト
77・177オイスターパーペチュアルなどボーイズノンデイト
78・178デイトジャストなどボーイズデイト
79・179デイトジャストなどレディースデイト

ベゼル番号ベゼル通称備考
0ポリッシュドベゼルほか加工を施さないシンプルな磨きベゼル形状。
1ファインリーエンジンターンドベゼルほかサテン仕上げを全面に、5分刻みで鏡面仕上げを施した機械彫りの形状。
2エンジンターンドベゼル・タキベゼルほか1分刻みで鏡面とサテン仕上げを施した形状。エンジンの回転をイメージしたとも。
3フルーテッドベゼルほか山谷のギザギザを連続させた凹凸形状が特徴。光をきらびやかに反射する。
4手彫りベゼルほか特殊な手彫り加工が施されているもの。アンティーク品で、稀に存在する。
5ピラミッドベゼルほかピラミッドのような三角錐が彫り込まれた形状。
6回転ベゼル、サンダーバードほかダイバーズウオッチの逆回転防止ベゼルのほか、GMT用の両回転ベゼルなども。
ケース・ブレスレット番号素材
0ステンレススチール
1ピンクゴールド/ステンレススチールのコンビ
2プラチナ/ステンレススチール(ロレジウム)のコンビ
3イエローゴールド/ステンレススチールのコンビ
4ホワイトゴールド/ステンレススチールのコンビ
5ピンクゴールド
6プラチナ
7―末尾番号7はいまのところ存在しない
8イエローゴールド
9ホワイトゴールド
装飾記号 
G10Pダイヤインデックス
A8Pダイヤインデックス+2Pバゲットダイヤインデックス
BICトリドールブレスレット(18KWG+18KYG+18KPG)
LRダイヤモンド+ルビーインデックス
LEダイヤモンド+エメラルドインデックス
LB青べゼル
LN黒ベゼル
LV緑ベゼル
NAシェルダイアル+アラビア数字インデックス
NRシェルダイアル+ローマ数字インデックス
NGシェルダイアル+10Pダイヤ数字インデックス
NSGシェルダイアル+サファイア+ダイヤモンド
NGRシェルダイアル+ルビー+エメラルド
NGSシェルダイアル+サファイア+エメラルド
OPGピンクオパールダイアル+ダイヤインデックス
RGルビー+ダイヤインデックス
SGサファイア+ダイヤインデックス
LPGラピス+ダイヤインデックス
MGミリヤード・ダイヤ
Mミリヤード 
Bバケットダイヤモンド
GVグリーンガラス(ミルガウス)

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土田貴史

土田貴史

ワールドフォトプレス『世界の腕時計』編集部でキャリアをスタート。『MEN’S CLUB』『Goods Press』などを経て、2009年に独立。編集・ライター歴およそ30年。好きが高じて、日本ソムリエ協会の「SAKE DIPLOMA」資格を保有。趣味はもちろん、日本酒を嗜むこと。経年変化により熟成酒が円熟味を増すように、アンティークウオッチにもかけがえのない趣があると思っている。「TYPE 96」のような普遍のデザインが好きだが、スポーツROLEXや、OMEGA、BREITLINGといった王道アイテムも、もちろん大好き。

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