ROLEXリファレンスナンバー(型番)の読み解き方 文=土田貴史

ケース脇12時位置を見れば、出荷時のオリジナルの状態を見極められる
数多くのモデルをリリースするロレックスだが、そのすべてにリファレンスナンバー(型番)があるとされている。リファレンスナンバー(通称:Ref番号)は、モデル、ベゼル、ケース素材、装飾の有無を表しており、リファレンスナンバーを理解していれば番号だけでどんなモデルかがイメージできるのだ。ゆえに、リファレンスナンバーを熟知することは、ロレックスを深く知る近道。ロレックスはこの件について公式見解を出していないが、今では多くの研究家によってリファレンスナンバーが検証され、アンティーク市場ではリファレンスナンバーによって情報がやり取りされている。
なぜか? この型番は、目の前の時計が本物かどうかを知る手がかりとなる。もしも、リファレンスナンバーが示す情報と、現在の姿が異なっているとしたら、過去に何らかの手が加えられたと疑ってみるべきだ。過去のオーナーが、修理の一環として、身近なパーツを代用した場合も考えられるが、故意にパーツを寄せ集めて販売につなげた場合も考えられる。逆に製造時の情報と現在の姿が合致していたら、オリジナルの姿を留めている証拠のひとつになっていく。
つまり、ロレックスを購入するなら、このリファレンスナンバーを理解していることはマストとなる。といっても、リファレンスナンバーの読み方には、下記のルールがあるので、このルールで読み解いていけば、決して難しくはない。
ちなみに、リファレンスナンバーは4桁から6桁の桁数の違いでおおよその特徴を掴むことができる。ロレックスは2000年頃よりリファレンスナンバーを6桁化し、2010年頃にはほとんどのシリーズが6桁となった。つまり、6桁のリファレンスナンバーは、ほぼ最新の型式と呼べる。5桁のリファレンスナンバーは、1980年代~2000年代まで使用されていたもの。この頃のモデルが、現在最も多く市場に出ているものだ。そして、4桁のリファレンスナンバーは、1980年代以前のいわゆるヴィンテージアイテムとなっている。

リファレンスナンバーはこう読む

上記のように、レファレンスナンバーは①~④のパートに別れている。最期のアルファベット記号が④、そのひとつ前の数字1桁が③、さらにその前の1桁が②、残りの2~4桁が①というように読んでいく。
①モデル番号
サブマリーナー・エクスプローラーⅠなど、モデルを指す2~4桁の番号(※4桁は現行モデル)。
②ベゼル番号
ベゼル(※風防ガラスを固定する枠)の形状を示す番号。ポリッシュドベゼル・エンジンターンドベゼルなど。
③ケース・ブレスレット番号
使用素材を示す番号。ステンレススチールなど。
④装飾記号
ダイヤモンドによるインデックス、シェルダイアルなど、特別な装飾が施されている場合に用いられる。

リファレンスナンバーはここに記されている
リファレンスナンバーは、時計本体で、ブレスレットを外した12時位置のケース側面に刻印されている。見本のモデルは、「16800」と刻印されているので、168=①モデル、0=②ベゼル、0=③ケース、ブレスレット、と読み解くことができる。
ちなみに、リファレンスナンバーとよく混同されがちなのが、シリアルナンバー(個体番号)。型番とは異なり、個体ひとつずつに割り当てられた番号だ。2010年以前に製造されたものは、6時位置ケース側面に刻印、それ以降のものは文字盤の内側に刻印されている。このシリアルナンバーからは、製造年を逆算・類推することができる。
| モデル番号 | モデル名 | 対象性別 | カレンダーなど |
| 114・14 | エアキングなど | メンズ | ノンデイト |
| 140 | エアキング・サブマリーナ―など | メンズ | ノンデイト |
| 142・1142・2142 | エクスプローラーⅠ・オイスターパーペチュアルなど | メンズ | ノンデイト |
| 15 | パーペチュアルデイト・クロノメーターなど | メンズ | デイト |
| 116・16 | デイトジャスト・デイトジャストⅡ・クロノメーターなど | メンズ | デイト |
| 1164 | ミルガウスなど | メンズ | ノンデイト |
| 165・1165・2165 | デイトナ(旧型自動巻き)・エクスプローラーⅡなど | メンズ | デイト |
| 166・1166 | サブマリーナー・ヨットマスター・シードゥエラーなど | メンズ | デイト |
| 2166 | ヨットマスターⅡなど | メンズ | デイト |
| 167・1167 | GMTマスター・GMTマスターⅡなど | メンズ | デイト |
| 1169 | エアキング(新型)など | メンズ | ノンデイト |
| 168 | サブマリーナーなど | メンズ | デイト |
| 170・17 | オイスタークオーツ・デイトジャスト | メンズ | デイト |
| 118・18 | デイデイトなど | メンズ | デイ&デイト |
| 218 | デイデイトⅡなど | メンズ | デイ&デイト |
| 19 | オイスタークオーツデイデイトなど | メンズ | デイ&デイト |
| 68・1686 | デイトジャスト・ヨットマスターなど | ボーイズ | デイト |
| 69・1696 | デイトジャスト・ヨットマスターなど | レディース | デイト |
| 76・176 | オイスターパーペチュアルなど | レディース | ノンデイト |
| 77・177 | オイスターパーペチュアルなど | ボーイズ | ノンデイト |
| 78・178 | デイトジャストなど | ボーイズ | デイト |
| 79・179 | デイトジャストなど | レディース | デイト |
| ベゼル番号 | ベゼル通称 | 備考 |
| 0 | ポリッシュドベゼルほか | 加工を施さないシンプルな磨きベゼル形状。 |
| 1 | ファインリーエンジンターンドベゼルほか | サテン仕上げを全面に、5分刻みで鏡面仕上げを施した機械彫りの形状。 |
| 2 | エンジンターンドベゼル・タキベゼルほか | 1分刻みで鏡面とサテン仕上げを施した形状。エンジンの回転をイメージしたとも。 |
| 3 | フルーテッドベゼルほか | 山谷のギザギザを連続させた凹凸形状が特徴。光をきらびやかに反射する。 |
| 4 | 手彫りベゼルほか | 特殊な手彫り加工が施されているもの。アンティーク品で、稀に存在する。 |
| 5 | ピラミッドベゼルほか | ピラミッドのような三角錐が彫り込まれた形状。 |
| 6 | 回転ベゼル、サンダーバードほか | ダイバーズウオッチの逆回転防止ベゼルのほか、GMT用の両回転ベゼルなども。 |
| ケース・ブレスレット番号 | 素材 |
| 0 | ステンレススチール |
| 1 | ピンクゴールド/ステンレススチールのコンビ |
| 2 | プラチナ/ステンレススチール(ロレジウム)のコンビ |
| 3 | イエローゴールド/ステンレススチールのコンビ |
| 4 | ホワイトゴールド/ステンレススチールのコンビ |
| 5 | ピンクゴールド |
| 6 | プラチナ |
| 7 | ―末尾番号7はいまのところ存在しない |
| 8 | イエローゴールド |
| 9 | ホワイトゴールド |
| 装飾記号 | |
| G | 10Pダイヤインデックス |
| A | 8Pダイヤインデックス+2Pバゲットダイヤインデックス |
| BIC | トリドールブレスレット(18KWG+18KYG+18KPG) |
| LR | ダイヤモンド+ルビーインデックス |
| LE | ダイヤモンド+エメラルドインデックス |
| LB | 青べゼル |
| LN | 黒ベゼル |
| LV | 緑ベゼル |
| NA | シェルダイアル+アラビア数字インデックス |
| NR | シェルダイアル+ローマ数字インデックス |
| NG | シェルダイアル+10Pダイヤ数字インデックス |
| NSG | シェルダイアル+サファイア+ダイヤモンド |
| NGR | シェルダイアル+ルビー+エメラルド |
| NGS | シェルダイアル+サファイア+エメラルド |
| OPG | ピンクオパールダイアル+ダイヤインデックス |
| RG | ルビー+ダイヤインデックス |
| SG | サファイア+ダイヤインデックス |
| LPG | ラピス+ダイヤインデックス |
| MG | ミリヤード・ダイヤ |
| M | ミリヤード |
| B | バケットダイヤモンド |
| GV | グリーンガラス(ミルガウス) |
writer
土田貴史
ワールドフォトプレス『世界の腕時計』編集部でキャリアをスタート。『MEN’S CLUB』『Goods Press』などを経て、2009年に独立。編集・ライター歴およそ30年。好きが高じて、日本ソムリエ協会の「SAKE DIPLOMA」資格を保有。趣味はもちろん、日本酒を嗜むこと。経年変化により熟成酒が円熟味を増すように、アンティークウオッチにもかけがえのない趣があると思っている。「TYPE 96」のような普遍のデザインが好きだが、スポーツROLEXや、OMEGA、BREITLINGといった王道アイテムも、もちろん大好き。

