GS&ロレックスは毎日愛用。バリューもルックスも理想的だ!

2024.08.08
Written by 長谷川剛

文=長谷川剛

時計好きに「あなたの時計、見せてください」と依頼するこの企画。今回はファイアーキッズを代表する陽キャ・スタッフとして知られる廣瀬クリスにフォーカス。シアトルが育んだ流暢な英会話を駆使した接客は、中野ブロードウェイ店に訪れるインバウンド・ビジターからも好評という。そんなバイリンガル男子がいかにしてヴィンテージの世界に飛び込み、ウォッチラバーに至ったのかを徹底的に聞いてみた。

バイリンガルスキルが大きな戦力

主にファイアーキッズの中野ブロードウェイ店にて、接客を担当しているクリス。ほぼ中野店の固定スタッフとなっている。現在、彼だけでひと月に約80本ほど販売しているなか、購入者の多くが海外からの旅行者を含めた外国人だという状況がある。彼のバイリンガルスキルが、大いに戦力となっているのだ。

そもそも彼はアメリカのシアトル育ち。新たな可能性を模索するなか来日を果し、趣味の時計を仕事にしたいとファイアーキッズの門をたたいたという。

「これまでも色々な国でインストラクターやコンサルタントといった仕事をしてきました。しかし両親が日本人だったことから、日本は特別な国だと考えていました。またインストラクターやコンサルタント等の仕事で出会う人は、必ずと言っていいほど目に留まる良い時計をしていました。ソコで時計というアイテムに興味が湧き、時計ビジネスに身を置きたいと考えたのです。しかし、日本において時計に関わる仕事は非常に画一的。もっとクリエイティブに自分の個性やアイディアを前面に打ち出せる業務に携わりたいと探し続け、偶然にもファイアーキッズに出会いました(笑)」

外国人特有の(?)ポジティブ・トークを得意とするクリス。今季からはそのコミュニケーション能力を生かし、ファイアーキッズのYouTube製作ディレクターとしても活動を開始している。いまやヴィンテージウォッチもSNSを駆使して世に広めていく時代。すでにライバルは多い状況だが、クリスはどのように“布教”していくつもりなのだろう。

デザインや時計に合わせた服装シーンを提案

「やはり自分のキャラクターを生かしつつ、ヴィンテージウォッチの素晴らしさを紹介していきたいですね。ファイアーキッズには時計の歴史に詳しい人や、メカの知識を広く持つ人がいます。僕の場合は時計のデザインに関してや、その時計に合わせた服装やシーン選びなど、どういうふうに日常を楽しむかを提案したいと考えています。あとはヴィンテージウォッチ仲間をもっともっと増やしていきたい。同じ考えや価値を共有するウォッチフレンドを作って、互いに楽しく語り合うようなYouTubeを打ち出していこうと思います」

お洒落にもこだわるクリスは、着こなしも非常にスマートでスタイリッシュだ。本日は純白のホワイトスーツを着用しており、圧倒的な清潔感を放つルックス。そのクリーンな着こなしに合わせた一本が、グランドセイコー(以下、GS)だ。

「これは僕のコレクションのなかでも特にお気に入りの一本です。GSはご存知のとおり、現在、大谷選手の活躍もあって国内外で非常に大人気のブランド。僕はヴィンテージ・プレゼンターとして、GSの原初的な味わいを持つファースト(cal.3180)モデルに目をつけました。1960年製のこちらは、12時位置のロゴが彫り込み式のいわゆる“彫り文字盤”。シンプルですが強い味わいを放つところが気に入っています。確かこのモデルは1960年の12月製造。ちょうど僕の結婚も12月であり、その記念日に着けたりして楽しんでいます」

シーンを代表するグランドセイコーマン

すでにファイアーキッズのYouTubeでも盛んにGSの“推し活”を繰り広げているクリス。今後もその姿勢にブレはないのだろうか。

「いや、まだまだこれからが本番です(笑)。僕はシーンを代表する“グランドセイコーマン”として、GSの素晴らしさを、強く世に広めていくつもりです。現行のGSももちろん素晴らしいのですが、ヴィンテージの場合は買いやすいモデルが豊富に存在しているところも魅力のひとつ。手頃でバリューがあって、かつ格好よいヴィンテージGSを、沢山紹介してGSフレンドを作っていきたいと考えています(笑)」

そしてもうひとつコレクションとして持ってきてもらったのがヴィンテージのロレックス オイスター。マニア垂涎の金無垢バイセロイケースが目を引く一本だ。

「これは本当に奇蹟のカタマリです(笑)。1934年製なのにこのミントコンディションが実に素晴らしい。僕はこれ以上のバイセロイケースに出会ったことがありません。そして最大の奇蹟が、自分と出会うまで売れずにファイアーキッズのショーケースに留まっていたこと(笑)。こんな素晴らしいモデルが誰にも気付かれないなんて! 出会った途端に気に入ってしまいすぐに購入しました。当時から同色のボンクリップバンブーブレスが着いており、この組み合わせも僕好みのパッケージです」

コアなヴィンテージ・フリークから注目を浴びる貴重なロレックスのバイセロイ。しかも金無垢モデルとなると、それなりに使うシーンも限られるのだろうか。

「いや、そんなことなく、先ほどのGS同様普段から付けています。日本ではまだまだゴールドというと“お金持ち”のイメージが強くあると思います。しかし僕は“エレガント”という観点でこのゴールド時計を見ています。暖かみがあって肌馴染みも良くスタイルのアクセント役にもなる。デカ厚のダイバーズ等でアクセントを付ける人もいますが、僕の場合はこういったヴィンテージの金時計が自分流。そして金の時計はこれからもっと注目度がアップすると思っているんです。そう言う意味で、買いやすいモデルがあったら迷わず手に入れることを、周囲にも奨めていきたいと考えています」

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長谷川剛

長谷川剛

1969年東京都生まれ。エムパイヤスネークビルディングに所属し、『asAyan』の編集に携わる。その後(有)イーターに移籍し『asAyan』『メンズクラブ』などを編集。98年からフリー。『ホットドッグプレス』『ポパイ』等の制作に関わる。2001年トランスワールドジャパンに所属し雑誌『HYBRID』『Warp』の編集に携わる。02年フリーとなり、メンズのファッション記事、カタログ製作を中心とする編集ライターとして活動。04年、エディトリアルチーム「04(zeroyon)」を結成。19年、クリエイターオフィス「テーブルロック」に移籍。アパレル関係に加え時計方面の制作も本格化。

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