高騰傾向? ロレックス価格改定によるヴィンテージ腕時計業界への影響とは

2024.08.18
Written by 編集部

時計マニアが集まるFIRE KIDSのスタッフが、ヴィンテージ時計の魅力を伝えるYouTubeコーナー。毎回異なるテーマで、厳選されたモデルをご紹介する。

原材料費や人件費の高騰、供給を上回る需要によって、現行品の腕時計は年々値上がりしており、腕時計業界をリードしているロレックスも近年、価格改定を繰り返している。今回は、価格改定に伴うヴィンテージへ与える影響や、中古品の価値について語っていく。

相次ぐ現行品の価格改定について

昨今、度重なる価格改定を行っているロレックス。しかし、現行品の値上げはロレックスに限った話ではなく、時計業界はどのメーカーも高騰傾向にある。ヴィンテージ品は相場はあるが定価がないので、価格設定にはある程度自由があり、すぐに影響を受けるわけではないが、それでも昔より価値が変わってきていると言う。

「ブティックの店員さんと話すと、昔は皆さん定価をちゃんと覚えていたらしいんですが、最近は価格改定が多くて『もう追えないから覚えるのをやめました』という風におっしゃっていましたね」(髙橋さん)

「昔は1つの型番で年数も長かったし、同じ値段でずっとやっている期間が長かったからね。よく覚えているのが、オメガのスピードマスターが定価29万5000円というのが、10年くらいは変わってなかったりとか」(野村店長)

現在はプラスチック風防でも100万円を超えており、オメガも2023年でも2〜3回の値上げがあり、コレクションの定価はどんどん上がってきていると言う。

「メーカーの人も大変だね、値段の差し替えも必要だし。ヴィンテージは定価がないから」(野村店長)

「相場はありますけど、ある程度お店に考えや仕入れ価格があって、それに対しての値付けというのもあるので、少し異なってはいますけど、実感として価格が下がっているものはないですね」(髙橋さん)

ヴィンテージ業界で値上がりしているモデルとは

ヴィンテージ腕時計も全体的に右肩上がりではある中でも、特に最近、価格高騰を感じるモデルについてまず挙げたのは「金無垢系」だ。

「コンビも高いか。やはり金の値段もすごい右肩上がりじゃない。ロレックスも新品、金物が特に上がってるという話で」(野村店長)

「上がり幅というか率は高いですよね」(髙橋さん)

「素材が高くなれば仕方ないよねというところで、元々中古業界だとコンビの時計って評価が低いんですよ。なので正当な評価に近づいているというイメージかな」(野村店長)

「全体的にコンビの評価は上がっていますね」(髙橋さん)

「市場にゴロゴロしていたものがなくなっている、金物とかでも。多分金に対する需要も上がっているし、金自体の相場が上がってるにも関わらず、物が足りない的なところもあるかな」(野村店長)

またベーシックモデルも値上がりしていると話す。ロレックスのデイトジャスト、オイスターデイト、オイスターパーペチュアルデイトなどは買いやすかった印象があると言うが、コンディションと年代の整合性にこだわると、タマも少なく、金額も高くなっており、「今の若い人はかわいそう」と2人は話す。

「僕の時代でデイトジャストは10万円前半、オイスターデイトだと4万円くらいみたいなイメージ」(野村店長)

「今は10倍ですよね、100万円ですもんね。でもそれだけ価値が上がっているので、そういった部分も魅力なので」(髙橋さん)

「損もしない」(野村店長)

資産としての腕時計。売り買いのタイミングについて

時計を長く持っていると「あれ? 買った時より高く売れるんだ」という感覚になる時があると言う。

「愛着も湧くし、資産としても成長するという言い方が良いのか分かりませんが、価値が上がるという部分で言うと」(髙橋さん)

「そこを投資目的で買っちゃうと失敗するパターン」(野村店長)

「そこが1番最初に来ちゃうと楽しくないかもしれませんね」(髙橋さん)

「300万500万800万とかの時計を買える人って、20万円で買った時計が40万円で売れて、その時に50万円の時計買って、その50万円の時計を手放す時に今度は80万円になって、100万円の時計を買いましたみたいな。そういう成功体験があるから、300万円とか500万円をサクッと出せるっていう」(野村店長)

高額な時計を購入する人の全てはお金持ちというわけではなく「時計が好きな人」であり、売り買いの成功体験を持っている人は「そんなに損をしない」タイミングを見ていると言う。

「逆に値段が下がっているのは改造品」(野村店長)

「改造品というのは、整合性が合っていないということですよね。全部がダメ、パーツが偽物とかではなくて、ニコイチとかサンコイチはよりシビアに見られるようになりましたよね。全然合ってないものと合っているものが同じ扱いだったのが、今はもう雲泥の差というか」(髙橋さん)

「今はオリジナルの方が高いみたいな風潮があって。メーカーの純正品の中で変わっていれば、時計としては完璧なわけで、オリジナル度とかってあんまり言い過ぎるのも良くないなと思いますけどね。特に夜光とかは崩れたり、針の夜光が取れたりするのは当たり前なんですよ、何十年も使っていれば」(野村店長)

風防やパッキン、リューズなどは消耗品なので変にこだわらない方が良い部分もたくさんある。現行品、ヴィンテージともに価格が高騰している今、なかなか買い時売り時を見定めるのは難しいが、価値観と付き合い方、購入の目的を明確にして自分に合うスタイルを見つけてほしい。

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