「ロレックスvsグランドセイコー」どちらを買うべき? ヴィンテージ腕時計屋が徹底検証

2024.11.09
Written by 編集部

時計マニアが集まるFIRE KIDSのスタッフが、ヴィンテージ時計の魅力を伝えるYouTubeコーナー。毎回異なるテーマで、厳選されたモデルをご紹介する。

「ロレックスとグランドセイコーはどっちが良い?」これは、世間でよく議論されているテーマの1つだ。時計の王様と呼ばれる「ロレックス」も、国産時計の最高峰とも言われる「グランドセイコー」も、ヴィンテージ市場で高い人気を誇っている。今回は、それぞれのおすすめモデルとともに、ブランドの強みや特徴について検証する。ロレックスとグランドセイコーで迷われている方、必見だ。

普遍的なデザインと精度の高さが際立つロレックス

知名度やステータス、技術が突出し、数ある高級腕時計ブランドの中でも非常に人気が高い「ロレックス」。一部の人々からは「金持ち」や「成金」といったマイナスイメージを持たれることもあるロレックスだが、実は「質実剛健な部分」もあると言う。

「精度も良い、整備性も高い、防水性も高い、もうパーフェクトじゃないですか。それでいてやはり世界的な知名度もありますし」(中根さん)

「確かにオーバーホール上がりのロレックスって、日差5秒以内とか非常に高い精度が出ていますよね」(新海さん)

まず1本目に紹介するのは、『オイスターデイト 1954年製 Ref.6494 ギョーシェダイヤル 赤黒カレンダー』。エンボスの楔インデックスとクラウンマーク、アルファハンドの組み合わせのダイヤルに、ギョーシェと呼ばれる1950年代の雰囲気が感じられる1本だ。

「ロレックスは昔からデザインも全然変わっていないですし、しかもギョーシェの彫りの文字盤や赤黒カレンダーは希少性も高いです」(中根さん)

おすすめの2本目は、ロレックスの希少耐磁モデル『ミルガウス Ref.1019 1968年製 メーカー修理明細付 ブラックダイヤル』。メーカー修理の際にダイヤルは交換されているようだが、人気のブラックダイヤルに、トリチウム夜光が程よく変色したヴィンテージ感のある1本だ。価格は398万円。

「何でミルガウスはそんなに値段が高いんですか?」(新海さん)

「ロレックスでは唯一の耐磁性能を持った腕時計ですし、ケースのサイズも唯一の37mmという。大体ロレックスは、34mmか36mmとかなんですけど、一回り大きくて珍しいモデルですね」(中根さん)

「腕が太めの方にもマッチしそうですね。ヴィンテージ腕時計だとサイズが小さいなという風に感じる人がいるかもしれないんですけど、そんな中で活躍するモデルということですね」(新海さん)

世界でも人気高まる国産腕時計の最高峰グランドセイコー

「ビジネスシーンと言えばこれですよ」ということで、精度や技術力、美しいデザインは世界的な評価も高く、国産腕時計を代表する「グランドセイコー」おすすめの1本目は、『57GS 1967年製 Ref.5722-9991 桐箱 ギャランティ付き』だ。

「このセカンドはファーストに比べてアップグレードされていて、日付が付いていてグランドセイコー規格を通っているので、精度は高いです」(新海さん)

「『セイコー』らしくてカッコいいですよね。特に昔のセイコーとかの箱ってあまり残ってないのですごく貴重かなと」(中根さん)

ファーストモデルと比べてステンレスケースが主流になり、裏蓋もスクリューバックに変更されたことにより防水性が増しており、さらにカレンダーが追加されたことで実用性が格段に上がったセカンド後期モデル。

続いて紹介するのは、諏訪精工舎から12型の「クラウン」をベースに開発され、25石仕様の手巻きムーブメントを搭載した初代グランドセイコー後期型『ファーストモデル 1963年製 箱、歩度証明書、タグ付き』だ。1960年から3年間だけ製造され、前期、中期、後期それぞれの文字盤が存在している。

「グランドセイコーという名前が付いた一番最初のモデル、最高じゃないですか? この時計は、2014年に日本機械遺産に登録されていて、博物館にも置いてあるような貴重なモデルが100万円代で買えてしまうんです」(新海さん)

「グランドセイコーは独自の規格を通しているんですよね。スイスのクロノメーター規格が−1秒〜+10秒の間なんですけど、実はグランドセイコーはもっとすごいんですよ。グランドセイコー規格は、平均日差が−3秒〜+5秒なんですよ。精度がかなり追い込んであります」(新海さん)

グランドセイコーおすすめの3本目は、「この中の腕時計で1番レアなモデルだと思う」ということで、1968年12月にのみ製造された希少なモデル『V.F.A 銀パラ 1968年製 Ref.6185-8018 61GS 箱付き』を紹介する。ケースに銀パラジウム合金を採用している。

「普通のステンレスモデルよりも、少し黒いと言いますか、銀らしさというか色味が少し違いますよね」(中根さん)

「色味でいうと、こちらの銀はただの銀じゃないんです。パラジウムに加えてタングステンが入っているんですよ。だからしっかり銀+黒というか、非常に渋いですよね。1ヶ月しか製造してないのでレアリティも高いです」(新海さん)

ロレックスもグランドセイコーも品質や精度に関しては非常に優れているので、なかなか勝敗を決めることは難しいが、デザインや金額、人に与えたい印象などをポイントに選ぶことが必要となる。決して安くはないヴィンテージ腕時計、情報を集めてじっくりと考えること、そして実際に色々と試着してみることが重要だ。

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