王道からレアまで。外国人を魅了する国産ヴィンテージ時計6選

2025.03.18
Written by 編集部

出演:クリス×川口×寺田

ファイアーキッズにはインバウンドのお客様もたくさん訪れるため、バイリンガルスタッフも続々と入社している。外国人のお客様を対応することが多いクリスさん、川口さん(愛称:ステラ)、寺田さん(愛称:テディ)が、外国人を魅了する国産時計をフィーチャーする。

10振動のセイコー ロードマーベル

1本目は、セイコー『ロードマーベル 36000 1977年製 10振動手巻き 全アラビアダイヤル』を紹介。

「こちらは36000といって特別な機械です。普通の機械式腕時計はもう少しまったりとした動きだけれど、このロードマーベルはせかせかと速く動く。耳を当てると速い音が聞こえるのが魅力です」(寺田さん)

「確かにテディ! この針のスウィープの仕方は、羽生結弦さんの“on the ice rink”みたいな感じですね」(クリスさん)

「そうなんですよ。普通の機械式時計よりも高振動のムーブメントなので、スウィープが滑らかなんです」(寺田さん)

「あとは、パンの上のマーガリンくらいスムーズですね」(クリスさん)

「まさに(笑)」(寺田さん)

YouTubeの撮影時、ステンレスバージョンのほかにキャップゴールドバージョンもあったが、金時計が好きな川口さんはキャップゴールド推しだ。寺田さんはステンレスの方が好きだというが、キャップゴールドのベージュがかった文字盤の柔らかい雰囲気も捨てがたいと話す。いずれもリネンダイヤルであたたかみを感じるデザインだ。

「外国の方は、わりとグランドセイコーやキングセイコーを見るけれど、セイコー慣れしている方だとロードマーベルをお探しの方が一番多いです」(クリスさん)

「多いですね。グランドセイコーとキングセイコーを見た後に『これもあるんだ!』という感じ。最近はインターネットでも人気が出ているみたいで、英語で調べてもけっこうヒットします。手巻きなのもいいですよね。“巻くロマン”があって良い感じがします」(寺田さん)

エレガントなグランドセイコー ファースト

2本目は、川口さんのセレクトでグランドセイコー『ファーストモデル 1961年製 Ref.J14070E GS アップライトダイヤル 歩度証明付き』を見ていく。

「外国人のお客様でも、やはりグランドセイコーを最初に探している方が多いです。私個人としてもエレガントで上品で綺麗な時計だと思っているので、こちらを選びました」(川口さん)

比較的マイナーメーカーが好きだという寺田さんの目には、王道のグランドセイコーはどのように映っているのだろうか。

「圧倒されますね。基本的な機能を究極まで追い込んで、スタイルもシンプルさを極めている美しさを求めた一本。サイズ感だったり文字盤の感じだったり、金張りを見てもすべてが素晴らしいとしか言いようがありません」(寺田さん)

「そうなんですよ。素晴らしいという言葉しか出てこない」(クリスさん)

純正ブレス付き。オリエント オリンピアオリエント

続いて紹介するのは、純正のブレス付きが珍しいオリエント『オリンピアオリエント スイマー 21石 手巻き 1960年代製 Ref.119909』だ。

「純正のブレス付きは、1960年代の国産時計ではかなり珍しく、しかも国産時計のブレスはオシャレなものが少なくなってきているイメージのなか、この一本は特別ですね。ケースがシャープ。サイドから見たときの仕上げが綺麗に残っていますし、文字盤も綺麗ながら、夜光の焼け方がクリーム色になっていて良いですよね」(寺田さん)

セイコーに比べると知名度は落ちてしまうが、人と被らない時計を探している方にはおすすめ。価格も14万8千円とお求めやすい。腕に着けてみたクリスさんは「軽くていい!」と感激の様子。重くない分、着け心地に快適さのある一本だ。国産時計だが、筆記体の文字盤がヨーロピアンな雰囲気を醸している。

ブレス付きの国産時計が珍しいことから、外国人のお客様も興味をそそられるようだ。

「アイコニックなピースもあるけれど、物珍しい未使用品なども取り扱っているので、わりと外国人の方がお求めになられていますよね」(クリスさん)

「そうですね。特に国産時計のヴィンテージは、海外で仕入れるのが個人ではかなり難しそう。日本に来る時計好きの方は、ファイアーキッズなどのヴィンテージ専門店で見てみたいという方はいらっしゃいますね」(寺田さん)

「なにせ“JDMモデル”。Japan Domestic Modelは良い時計がたくさんあるので、日本の方も作りの良さとかもう少しじっくり見てみるといいですね、国産時計は狙い目ナンバーワンですよ!」(クリスさん)

堅実さのある、キングセイコー セカンド

次に紹介するのは、キングセイコー『1966年製 Ref.44-9990 44KS 2nd 後期 手巻き ロービート』。寺田さんはドイツのジーゲン大学に留学していたのだが、そのジーゲン大学を卒業したという方が来店した時に紹介した一本だという。

「近年復刻モデルも出ていて、すごく海外でも人気のあるモデルです。その中でも『オリジナルを見てみたい』ということでお出ししました」(寺田さん)

「最近は復刻モデルが多いですね」(クリスさん)

「ありますね。セイコーもそうですし、タグ・ホイヤーや他のブランドもそうですけれど、復刻は増えましたね。ただ、オリジナルの良いところは味があるのもそうですし、サイズ感や装着感も当時のものが好きですね」(寺田さん)

太いラグや針が特徴的で、堅実さが溢れている一本だ。

希少な一本。セイコー クロノグラフ ベビーパンダ

5本目は、製造期間が1年程度の希少な一本、セイコー『クロノグラフ 1975年製 Ref.6138-8001 Cal.6138B ベビーパンダ』を紹介する。

「私はフィリピンに住んでいたんですけれど、大学の博士号を取ったから自分へのご褒美を探しに来たというフィリピンのお客様がいらっしゃいました。ずっとセイコーを見られていて、何個かピックアップしたうちの1つがこのベビーパンダ。何度も『Beautiful!』と言っていました」(川口さん)

「実は4バリエーションくらいあって、これが一番後期ですね。一個前がインデックスの外側に夜光がプレイスメントされているモデルなんですけれど、これは夜光なしです。本当に良い時計です」(クリスさん)

「サイズ感もデザインも機械も、すべてが素晴らしい!」(寺田さん)

奇抜なデザインが目を引く、リコー 大阪万博記念モデル

最後に紹介するのは、クリスさんが「先日ご案内したお客様で、また戻って来られるそうなんですけれど……」と言いながら陳列棚から取り出した、リコー『大阪万博記念モデル 1970年製 ロジウムメッキ グレー文字盤 純正尾錠付き』だ。

「1970年の大阪万博を記念するモデルですね。今年も大阪万博があるので、この話でお客様と盛り上がりまして、たぶんピックアップしに戻って来られます」(クリスさん)

「ぜひ今年の大阪万博にこれを着けて行っていただきたいですね」(寺田さん)

大阪万博のロゴがモチーフとなった、珍しいペンタゴン(5角形)のケースが目を引く奇抜なデザイン。いくつかカラー違いも存在するが、これはロジウムメッキが施されたグレーダイヤルだ。

一口に国産と言っても、王道から珍しいものまでバリエーションが豊富。寺田さんは「スイス時計に比べると低価格で、ヴィンテージでも国産だと『まだ部品があった!』と街の修理屋さんで直してくれることも多い。国産は面白いです」とおすすめしている。

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