女性だけじゃない。男性も惹かれるヴィンテージ・カルティエの人気腕時計4選

2025.12.01
最終更新日時:2025.12.01
Written by 編集部

時計マニアが集まるFIRE KIDSのスタッフが、ヴィンテージ時計の魅力を伝えるYouTubeコーナー。毎回異なるテーマで、厳選されたモデルをご紹介する。

カルティエと聞くと「女性のためのブランド」というイメージを持つ人は少なくない。確かに世界五大ジュエラーの一角を占めるカルティエは、リングやネックレスなどで女性に人気を博してきた。しかし実は、腕時計においては男性からの支持も厚い。本記事では、FIRE KIDSが誇る4種類のヴィンテージカルティエを、松浦とパルティマの会話を交えながら深掘りしていく。

男性の腕にカルティエはアリか?

カルティエといえば、ジュエリーや女性向けの華やかな時計を思い浮かべる方が多いかもしれない。実際、FIRE KIDSの店頭に立つパルティマも、お客様から「カルティエの腕時計はちょっと女性っぽいかな」という声を聞くことがあるという。

しかし、同店の松浦は、この「カルティエ=女性」というイメージは、ここ数年のアパレル業界からの発信や、若い世代の男性がカルティエのメンズモデルを着用し始めたことで、大きく変わりつつあると語る。

「カルティエの初腕時計は、男性が依頼して作られたものですよね?」とパルティマが尋ねると、松浦は「元々そういう素地があったんだと思う」と答える。実はカルティエは、王侯貴族の男性向けに時計を納品していた歴史があり、ブランドの礎を築いたのは男性顧客だったという。

「ロレックスやパテックだけじゃないんだな」と、ヴィンテージ市場でのカルティエの評価を驚きとともに語る松浦。オークションでは1,000万円を超えるヴィンテージのカルティエも珍しくなく、その爆発力は男性モデルの方が圧倒的だという。

「今お店に並んでいるものも、いつかそういう風になっちゃうかもしれないからね」と笑う松浦とパルティマ。ヴィンテージのカルティエは「価値ある一本」として注目すべき存在だ。

ヴィンテージで注目すべき4種類5本

クラシックでカルティエを象徴する存在『タンクルイ』

カルティエの顔ともいえるタンクシリーズ。その中でも、最初期モデルの血を引くのが『タンクルイ』。紹介するのは『タンクルイ18金無垢LMサイズ PARISダイヤル 手巻 1984年ギャラ、箱付き Ref.7808 純正金無垢尾錠付き』だ。

「カッコいいんだよね。何年か前、まだそんなにカルティエに自分自身が着目していない頃、知り合いのディーラーの方がこの時計を着けていたんですよ。『カルティエしているんだ、珍しいな』と思って」(松浦)

「当時は男性はあまりカルティエを着けていなかったんですか?」(パルティマ)

「そんなに。どちらかというと、ロレックスのスポーツモデルとか、デイトナとかに注目が行く時だったので。その時にタンクをさらっと着けているのが、すごくおしゃれに見えて」(松浦)

「確かに、男性の時計といえば、スポーツ系か大きくて存在感のあるものを着ける人が多いですよね。タンクルイだとちょっと落ち着いていて、サイズも小さいし」(パルティマ)

当時は40mmオーバーの時計が主流だったため、小ぶりなタンクルイをさりげなく着けこなしているのが「粋だった」と、松浦は話す。タンクルイは18金無垢ケースに白のローマンダイヤルが基本で、王道のドレスウォッチ。非防水という「手間のかかる一本」だからこそ、愛着もわく。

カラーダイヤルや遊び心あるデザインで人気『マストタンク』

タンクルイは高額なため、より手頃な価格でカルティエの魅力を楽しんでもらいたいと登場したのが、『マストタンク』。紹介するのは『マストタンク 1980年代製 LMサイズ 手巻き ラピスラズリダイヤル』だ。

「ダイヤルがいろんなバリエーションがあるので遊べますよね」(パルティマ)

「ローマンダイヤルはもちろん、リューズにオニキスやラピス、ガーネットなど、様々な石が使われていて良い」(松浦)

「私はタンクルイを1本買うよりは、マストタンクを何本か持ちたいなと」(パルティマ)

「それは女性ならではの視点かもしれない。『今日はこんな気分』みたいな感じで、コレクションを楽しめるからね。こだわりたい人はタンクルイにいっていただいて、手軽に楽しみたいならマストで十分だと思う」(松浦)

マストタンクは、銀無垢に金を張った「ヴェルメイユ加工」のケースが特徴。様々なカラーバリエーションのダイヤルがあり、コレクション欲を刺激する。ヒビが入っていても「スパイダーダイヤル」として楽しむなど、ヴィンテージならではのユニークな楽しみ方もある。

まだお手頃? スポーティーな『パシャC』

「カルティエにはスポーツモデルがない」というイメージを覆すのが、スポーティな「パシャC」。ラグジュアリースポーツジャンルの名作のひとつ『パシャC 1990年代製 自動巻き Ref.2324 ピンクダイヤル』だ。

「昔、プールに入る時も絶対にカルティエを着けたいという方が依頼して作られた腕時計ですよね」(パルティマ)

「そうだね(笑)。それが元になって『パシャC』になった」(松浦)

「タンクやサントスのイメージが強いので、『パシャCもあるんだ』と驚かれることもありますね。価格的にも一番手頃ですよね」(パルティマ)

「一番掘られていないモデルだと思う。ブレスで着けられるからオールシーズンいけるし」(松浦)

パシャCは、約35mmという男女問わず着けやすいサイズ感や防水性の高さ、独特のリューズガードが魅力。デザイン性も高く、ジェラルド・ジェンタ氏が関わっているという説もある。

「カルティエの時計の中で一番変わった時計かもしれないですね。リューズガードがしっかり付いていて、外すとびっくりするくらい小さい」(パルティマ)

「このフォルムなのに、リューズが『あれ、ちっちゃ』となるよね」(松浦)

実用性と歴史が共存する「サントス」

「実は男性の時計だった」というカルティエの歴史を象徴するのが『サントス』。『サントス LMサイズ 1980年代製 Ref.2960 ステンレスケース 自動巻き』と『サントス オクタゴン 1980年代製 Ref.2965 LMサイズ SS ガーネットダイヤル』を見ていく。

元々は飛行家のサントス=デュモンが、飛行中に時間を計るためにカルティエに依頼したものがルーツ。今でこそカルティエは女性のイメージがあるが、そもそもは男性用の時計として作られた。

「100年以上続いているデザインってすごい。エターナルデザインと言うんですか。FIRE KIDSでは1980年代のものが中心だけど、このカクカクとしたメタル感がこの時代ならではだよね」(松浦)

「1970年代後半〜1990年代のサントスは、まだ見つけやすいと聞きました」(パルティマ)

「昔は簡単だったんだけど、今はそうでもなくて。コンディションの良いものを探すのは本当に大変になってきた。バイヤー泣かせですよ」(松浦)

サントスは、ビス留めされたベゼルが特徴的なデザイン。シンプルで着けやすいステンレスモデルから、八角形(オクタゴン)のベゼルが個性的なモデルまで、バリエーションが豊富だ。

「ステンレスのみは潔さがあって着けやすい。コンビもいいけど、より実用性を求めるならステンレスが良いと思う。この辺は好みの問題だね」(松浦)

特に近年、ヴィンテージ市場で注目されているのが、グレーの文字盤が特徴的なゴーストや、ミニッツトラック、ガーネットなど。FIRE KIDSでも入荷するとすぐに売れてしまうという。

Q&A①:カルティエはなぜ「女性のブランド」というイメージが強いの?

Q:カルティエの腕時計は女性のためのもの、という印象を持っている人が多いのはなぜでしょうか?

A:カルティエは世界五大ジュエラーのひとつで、指輪やネックレスなどジュエリーのイメージが特に強いためです。そのため「華やか=女性的」という連想がされがちですが、実際には男性のために作られた歴史的モデル(サントスなど)があり、近年は男性の人気も高まっています。

Q&A②:ヴィンテージのカルティエを選ぶとき、どのモデルが狙い目?

Q:初めてヴィンテージ・カルティエを買うなら、どのモデルがおすすめですか?

A:クラシックな『タンクルイ』、コレクション欲を刺激する『マストタンク』、スポーティーな『パシャC』、実用性の高い『サントス』が特に人気です。価格帯やスタイルによって選べるので、自分のライフスタイルやファッションに合わせるのがポイントです。

Q&A③:ヴィンテージ・カルティエの価値は今後どうなる?

Q:これからヴィンテージ・カルティエを買った場合、資産価値は期待できますか?

A:はい。オークションではすでに数百万円から1,000万円を超える落札例もあり、評価は右肩上がりです。特にコンディションの良い個体は年々希少になっており、購入時よりも価値が高騰するケースも少なくありません。ファッション性と資産性の両方を兼ね備えている点もカルティエの魅力です。

カルティエのヴィンテージ腕時計は、ドレスウォッチから実用的なスポーツモデルまで、幅広い選択肢があり、そのどれもが男性の腕にしっくりと馴染む。「カルティエは女性の時計」という固定観念は、歴史やヴィンテージの文脈を知ることで、簡単に崩れる。男性の腕に華を添える、カルティエのヴィンテージ腕時計。FIRE KIDSで、運命の一本を探してみてはいかがだろうか。

writer

ranking