映画に登場したヴィンテージ時計3選。ボンド、シュワちゃん、トム・クルーズが愛した名機たち
時計マニアが集まるFIRE KIDSのスタッフが、ヴィンテージ時計の魅力を伝えるYouTubeコーナー。毎回異なるテーマで、厳選されたモデルをご紹介する。
映画を見ていて「この時計、カッコいいな」と思ったことはないだろうか。スクリーンの中で輝く腕時計には、物語を象徴する意味が隠されている。今回は、FIRE KIDSスタッフの西川と久保が、映画史に名を残す3本のヴィンテージ時計、ロレックス『サブマリーナー』、セイコー『ツナ缶』、ロレックス『デイデイト』について語り合った。
<この記事でおすすめする腕時計>
・ロレックス『サブマリーナー』
・セイコー『ダイバー』
・ロレックスの『デイデイト』
ジェームズ・ボンドを象徴するロレックス『サブマリーナー』
今回の3本は、FIRE KIDSスタッフ・西川自身が影響を受けて「欲しい」と思った時計を基準で紹介していく。まず1本目は、ロレックスの『サブマリーナーデイト』だ。
『007/ゴールドフィンガー』(1964)でショーン・コネリー演じるジェームズ・ボンドが着けていたのが、サブマリーナーRef.6538。白いタキシードに、NATOベルトのダイバーズウォッチというアンバランスさがたまらなくカッコよかったと西川は語る。
「『タキシードにダイバーズ!?』と衝撃でした。普通はドレスウォッチを着けるじゃないですか。でもボンドはNATOストラップのサブマリーナーを堂々と合わせていて、それが見事にハマっていたんです。僕も憧れて同じPhoenix社のNATOストラップを買いました(笑)」(西川)
ボンドが着けていたRef.6538は200m防水。あえて100m防水のRef.6536ではなく、よりプロフェッショナルなモデルを選んでいる点にも、西川はロマンを感じるという。
「ボンドが選ぶなら、やっぱり潜れる時計ですよね。そういう細部にスパイとしてのリアリティを感じてしまうんです」(西川)
映画とともに注目されたサブマリーナーは、現在でも不動の人気を誇る。FIRE KIDSでも販売中のRef.16610(1991年製)は、現行品にはない40mmサイズで腕乗りも良く、ヴィンテージらしいトリチウム夜光の焼けが魅力的な一本。
西川は「この時計を着けるだけでボンドになれる気分」と笑う。
通称・ツナ缶。タフな男の象徴セイコー『ダイバー』
次に紹介されたのは、セイコーのプロフェッショナルダイバー。世界初のチタンケースを採用した600m防水モデルだ。

「この時計が似合うのは、やっぱりアーノルド・シュワルツェネッガー。『プレデター』(1987)で彼が着けているシーンが忘れられません。冒頭のヘリの中で、サングラスを外した手にツナ缶。筋肉+ツナ缶です(笑)」(西川)
「もうそれだけで絵になりますね」(久保)
ケース径は50mmという圧倒的な存在感。だが実際に着けてみると驚くほどフィットするという。
「『誰が着けるの?』と思うけど、着けると不思議としっくりくる。チタンだから軽いし、ケースとバンドの一体感もあって心地いいんですよ」(西川)
シュワルツェネッガーが愛用したことで、海外では、ツナ缶シリーズのアナログとデジタル時計が融合したモデルが「アーニー」と呼ばれるようになった。映画ファンからも愛される理由がそこにある。
「世界に誇る日本のセイコーが映画の中で使われているというのも感慨深いですし、強さと実用性を兼ね備えた時計です。タフな男に似合う一本ですね」(西川)
富の象徴ロレックスの『デイデイト』
3本目は、映画『レインマン』(1988)に登場したロレックス『デイデイト』。18金無垢のケースとブレスを備えた、ロレックス最上位モデルRef.1803だ。

「金無垢のロレックスって、映画によく出てくるんですよ。富や成功の象徴として使われることが多い。『レインマン』ではトム・クルーズが着けています」(西川)
劇中では、彼が金無垢のロレックスを売るシーンがある。「ゴールド=お金」という分かりやすい象徴性を持ち、物語の中で重要な意味を持つ小道具となっている。
「全世界で誰が見ても、金無垢のロレックスは“富の象徴”。一目でわかる存在感ですよね」(西川)
「確かに、映画で見ると欲しくなりますね」(久保)
さらに西川は、同じくダスティン・ホフマン出演の『マラソンマン』(1976)で、主人公が兄から譲り受けたというサブマリーナーを着け続ける姿は印象的だったと話す。
「作中で『兄からもらったロレックス』と語られるんです。ジュビリーブレス仕様で、これがまた洒落てる。当時アメリカではアップチャージでジュビリーブレスに替える人も多かったそうですよ」(西川)
こうした映画の中の時計は、単なる小道具ではなく、登場人物の世界観を語る相棒でもある。
「俳優さんって、プライベートでも腕時計好きが多いんです。ジェイソン・ステイサムは『エクスプローラーⅡ』、ブラッド・ピットはヴァシュロン・コンスタンタンを着けている。そういうのを知ると欲しくなっちゃうんですよね」(西川)
「確かに。自分が持っている時計が俳優と同じだったら、テンション上がりますね」(久保)
スクリーンの中で輝いた名作腕時計たちは、今もヴィンテージ腕時計としてその輝きを放っている。お気に入りの一本を手にして、映画のヒーローになった気分を味わってみてはいかがだろうか。
映画に登場した名作時計の“裏話”をQ&Aで解説時計
Q1. 007『ゴールドフィンガー』でボンドが着けたサブマリーナーはどのリファレンス?
A. 一般にはRef.6538として知られる“大リューズ”の初期サブ。劇中のストラップはナイロン系で、現在は「NATOベルト」として検索されることが多い。
Q2. 『プレデター』でシュワルツェネッガーが着けていたセイコーは“ツナ缶”?“アーニー”?
A. 劇中で着用しているのはセイコー H558-5000/5009(通称“アーニー”)。“ツナ缶”は別系統で、代表格は600m級チタンケースなどを備える本格ダイバーズ。どちらも外装シラウド(shroud:ベゼル外周を覆う保護パーツ)が象徴だが、モデルの系譜と用途が異なる。
Q3. セイコー“ツナ缶”はなぜ大きいのに着けやすい?
A. チタンによる軽さ、ケースとバンドの一体感、ラグの落ち方で実寸よりフィット感が出やすい。見た目の迫力と装着快適性のギャップが魅力。
Q4. 『レインマン』で使われたロレックス デイデイトの見どころは?
A. 金無垢ケース+プレジデントブレス、曜日・日付表示(デイデイト機構)が“富・成功の象徴”として物語に機能。映画文脈と相性の良いモデル。
スクリーンを彩った名作時計を、手元で時を刻む相棒にする。映画と腕時計、その二つの物語を、あなたの腕から始めてみればいつもの一日も少しだけドラマチックに変わるはず。
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