内定・就職祝いに贈りたい。新社会人の門出にふさわしいヴィンテージ腕時計3選
時計マニアが集まるFIRE KIDSのスタッフが、ヴィンテージ時計の魅力を伝えるYouTubeコーナー。毎回異なるテーマで、厳選されたモデルをご紹介する。
新たな社会人生活のスタートは、人生の中でもとくに思い出深い節目になる。身の回りの準備が整い、いよいよ社会人として歩み出す瞬間、その大切なときに、長く寄り添ってくれる心強い相棒としておすすめしたいのが「一生モノの腕時計」だ。
そこでFIRE KIDSの宮崎と岩本が、新社会人の門出に贈りたい「実用性と美しさを兼ね備えたヴィンテージ腕時計」を3本ピックアップ。父から子へ受け継ぐ一本としてはもちろん、自分自身への小さなご褒美としてもふさわしい、長く寄り添う名品たちを紹介する。
<登場モデル一覧>
・グランドセイコー 2nd前期 セルフデーター 1965年製 Ref.5722-9990
・オメガ シーマスター 1969年製 Cal.565 Ref.166.003
・ロレックス デイトジャスト 1996年製 Ref.16200 ホワイトローマンダイヤル
1本目:渋さと実用性を兼ね備えたグランドセイコー セルフデーター
まず紹介したいのは、日本の時計史を代表するグランドセイコー。1965年製の『グランドセイコー セルフデーター Ref.5722-9990』は、ヴィンテージGSの中でも実用性に優れた一本だ。

岩本は「最初の1本としては、『安心して長く使える』というのが一番大事」と語る。彼自身、息子に贈るならこのモデルを選ぶという。
1stモデルから進化したこの2nd前期型は、日付表示とスクリューバックケースを採用。防塵・防水性能が高まり、社会人の毎日に寄り添う仕様になっている。搭載ムーブメントは手巻きCal.5722A。裏蓋にはライオンメダリオンが輝き、誇り高き日本製クロノメーターの証だ。
「最初は『シンプルすぎるかな』と思っても、10年、20年経って改めて着けたとき、『やはりカッコいいな…』と感じる時計ですよね」(宮崎)
「改めていいじゃん…となる一本です」(岩本)
年齢を重ねるごとに味わいを増し、落ち着いた佇まいが持ち主の人生に溶け込む。まさに「贈り物冥利に尽きる」一本といえるだろう。
2本目:王道で間違いなし。オメガ シーマスター
次に取り上げるのは、ヴィンテージ腕時計の王道、オメガ『シーマスター 1969年製 Ref.166.003』。シンプルなラウンドケースにシルバー文字盤、アップライトバーインデックスという飽きの来ないデザインが魅力だ。

自動巻きCal.565を搭載し、デイト早送り機能を備えるなど、現代でも十分通用するスペックを誇る。岩本によれば「FIRE KIDSでも最初の1本として選ばれることが多い」という。
「長く使う上でメンテナンスは欠かせませんが、シーマスターは個体数が多いから修理パーツも手に入りやすい。壊れても直せる安心感がありますよね」(宮崎)
ヴィンテージの魅力は、現行モデルにはない薄さと上品さ。このシーマスターはラグが細く、革ベルトとの相性も抜群だ。岩本は「贈り物として渡すなら、最初から革ベルトに替えておくのもおすすめ」と話す。
「革ベルトならそのまますぐ着けてもらえるし、サイズ調整の手間もない。お客さんにもよくおすすめしています」(岩本)
「贈った側が『替えてもいいよ』と言える懐の深さも素敵ですよね」(宮崎)
王道にして万能。フォーマルにもカジュアルにも馴染み、社会人生活のあらゆるシーンに対応する一本だ。
3本目:大人のステータスを静かに語る。ロレックス デイトジャスト
最後に紹介するのは、ロレックスの『デイトジャスト Ref.16200(1996年製)』。ホワイトローマンダイヤルにスムースベゼル、3連オイスターブレスの組み合わせが特徴で、控えめながらも確かな存在感を放つ。

「これは完全に贈ってもらいたい時計だね。通常のデイトジャストとは違うモデルですね。シンプルなデザインでこれもまた使い勝手がいいです」(岩本)
派手さを抑えた引き算の美学を体現するこのモデルは、あらゆるスタイルに自然と馴染む。
宮崎は「スムースベゼルにすると、キラキラ感が控えめになって、ぐっと落ち着いた印象になりますね」と続ける。さらに1996年製という点にも注目だ。「贈る相手の生まれ年で探すのも面白い。『君の生まれ年のロレックスだよ』なんて渡せたら最高ですよね」と話す。
価格はおよそ100万円前後と、他の2本に比べて一段上のレンジ。しかし、そのぶん一生を通じて使える格と満足感を兼ね備える。社会人としての自信と品格を象徴する一本だ。
一生モノの贈り物に、ヴィンテージを選ぶという選択
今回紹介した3本には共通点がある。どれも主張しすぎず、日常に溶け込む実用的なモデルばかりだ。
<それぞれの共通点>
・シンプルなステンレスケース&防塵や防水効果のあるスクリューバック
・日付が付いている
・3針(時針・分針・秒針)で時計が前に出過ぎないデザイン
「初めてのヴィンテージ腕時計、そして贈る腕時計として、その人の基盤になるかもしれない。もしかしたらそれだけで一生を終えるかもしれません。だからこそ、長く使えることを前提に選びたいですね」(宮崎)
「これを一本持っておけば、本当に間違いはないと思います」(岩本)
ヴィンテージ腕時計は単なるファッションアイテムではなく、時間とともに味わいを増す人生の相棒であり、贈る側にとっても、受け取る側にとっても特別な存在になる。
「贈る側としては『長く使ってもらいたい』という思いが一番強い。だからこそ、ヴィンテージの腕時計は最適なんです」(宮崎)
Q1.内定・就職祝いにヴィンテージ腕時計を贈るのはアリですか?
A1.とてもアリです。新社会人にとって腕時計は「大人の仕事道具」であり、毎日身につける相棒になります。なかでもヴィンテージ時計は、年を重ねても古びないデザインと、長く使うほど味わいが増すところが魅力です。
「内定おめでとう」「社会人としてのスタートを応援している」という気持ちが、物語のある一本だとより伝わりやすく、単なる記念品ではなく“人生に寄り添う道具”として残ります。
Q2.新社会人にヴィンテージ時計を贈るとき、どんなポイントで選べばいいですか?
A2.内定・就職祝い用なら、まずは“仕事で使いやすいかどうか”が基準になります。おすすめのチェックポイントは次の3つです。
シンプルなデザイン:
スーツやオフィスカジュアルに合わせやすい、3針+日付のすっきりしたモデルが安心です。
ステンレスケース&ブレス(もしくは革ベルト):
毎日使う新社会人には、丈夫で手入れがしやすい素材が向いています。
メンテナンス性:
オメガ、ロレックス、グランドセイコーなど、整備できる職人やパーツが比較的見つかりやすいブランドを選ぶと、長く使ってもらえます。
「職場で浮かないこと」と「将来、年齢を重ねても似合うこと」を両立したヴィンテージを選ぶのがコツです。
Q3.就職祝いで贈るヴィンテージ時計、どのくらいの予算を想定すればいいですか?
A3.本格的なヴィンテージ腕時計を内定・就職祝いで贈る場合、おおよそ20万〜100万円前後がひとつの目安になります。
『グランドセイコー』やオメガ『シーマスター』のようなモデル:
現実的な就職祝いとして選ばれることが多いレンジ。実用性が高く、メンテナンスもしやすいので「毎日使える一生モノ」としてちょうどいいゾーンです。
ロレックス『デイトジャスト』のようなモデル:
およそ100万円前後と一段上の価格帯ですが、そのぶん「一生を通じて使えるステータス」として特別な意味を持たせやすい一本です。
相手との関係性(親子なのか、親戚・恩師なのか、自分へのご褒美なのか)と、どれくらい“節目のギフト感”を出したいかで、同じヴィンテージでもモデルと予算帯を調整していくイメージです。
社会人としての最初の一歩を踏み出す大切な瞬間に、長く寄り添う一本を。それが、FIRE KIDSが提案する新社会人に贈るヴィンテージ腕時計だ。
記事の監修
福留 亮司
『流行通信』を経て1990年に『エスクァイア日本版』編集部に参加し、1995年に副編集長に就任。
1997年よりフリーとして活動し、ファッション・時計・ライフスタイル領域を中心に幅広い取材・編集を手がけてきた。
2011年には『GQ Japan』シニアエディターを務め、雑誌・Web双方で豊富な実績を持つ。
時計分野では1990年代後半から企画・ブランド取材・モデルレビューを担当し、バーゼルワールドやジュネーブサロン(現 Watches & Wonders)などスイスの主要時計展示会を長年取材。ヴィンテージから現行モデルまで横断的な知識と深い造詣を有する。
現在は『ファイアーキッズマガジン』編集長として、ヴィンテージ時計の記事企画・編集を統括。
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