気づいたら倍近く? 2025年に“本当に値上がりした”ヴィンテージ腕時計3選

2025.12.17
最終更新日時:2025.12.17
Written by 編集部

時計マニアが集まるFIRE KIDSのスタッフが、ヴィンテージ時計の魅力を伝えるYouTubeコーナー。毎回異なるテーマで、厳選されたモデルをご紹介する。

ヴィンテージ腕時計の価格は、数年前には手が届いたモデルが、今や倍近い相場になっていることも珍しくない。FIRE KIDSでも同様で、2023〜2024年頃と現在の店頭価格を比較すると、値上がりの勢いに驚かされるモデルが存在する。今回は、吉田と新海の2人が「気づいたら値上がりしていた」3本をピックアップ。上がる理由と背景、そして「今買うべきか」を語りながら、ヴィンテージの醍醐味に迫る。

再評価され約1.4倍へ急騰。カルティエ『サントス』LMコンビ

最初に取り上げたのは、カルティエの中で注目度が非常に高いヴィンテージのひとつ、『サントス』LMサイズだ。

「一番人気がありますよね」(新海)

「2024年5月に販売した個体が、税込64万8000円でした。それが今は、状態にもよりますがおよそ90万円。1年半で1.4倍です」(吉田)

たしかに驚異的な伸びだが、「上がった」というより、「ようやく相場がブランド評価に追いついた」と2人は話す。

「前が安すぎたとも言えると思います。カルティエ自体が世界的に再評価され、ヴィンテージもその波に乗った形ですね」(新海)

ファッションアイテムとしての完成度、エレガンス、実用性。そのどれもが揃ったサントスは、今後も人気が続くと予想される。価格が伸びやすい王道の強さを象徴するモデルだ。

約48万円→約80万円へ。海外評価が押し上げる『グランドセイコー ファースト』

2本目は、多くのファンが「そろそろ来る」と感じていたモデル『グランドセイコー ファースト』だ。

「当店で2023年3月に販売したアップライトの個体が、税込48万円でした。それが今では約80万円弱。割合で言うと1.6倍ですね」(吉田)

「たしかに最近は80万円前後のイメージですよね」(新海)

値上がりの背景には、明確な理由がある。海外でセイコーやGSの人気が爆発的に高まり、「初代GS」に対する関心が一気に強まったのだ。

「店頭でも『セイコーはないか』『GSファーストはないか』と本当に多く聞かれます」(新海)

「海外のお客様に『グランドセイコーの一番最初のモデルなんですよ』とお見せすると、『素晴らしい!』とよく言われます。それに外装が金張りなので、状態の良い個体は年々減っていく。さらに希少性が上がる可能性がありますね」(吉田)

“モノが減るのに、需要は増える”。ヴィンテージの価格が伸び続ける条件が揃っており、今後も評価は高まり続けるのではないだろうか。状態の良い個体を持つ人は、資産級の1本を手にしていると言える。

2000年代のロレックス『サンダーバード』が約2倍近くへ急伸

最後の1本は、意外なモデルだという。

「ロレックスの『サンダーバード』です。2000年代のモデルで、比較的新しいので値上がりのイメージがないと思うのですが…」(吉田)

ヴィンテージは古いものから価格が上がっていくイメージがあるかもしれないが、実は、ほぼ現行期の『サンダーバード』が、ここ1年で大きく動いている。

「2024年8月の販売価格が税込74万8000円でした。それが今では138万円。気づいたら100万円を超えていて、150万円に迫っている状況です」(吉田)

「2011年に生産終了だから、もう15年近く経つんですね」(新海)

「やっと『もう手に入らないモデルなんだ』と気付く人が増えたというか。ロレックスのブランド価値や希少価値に加えて、固有名称を持つ稀少なモデルであることも、後追いで評価が高まっています」(吉田)

モデルの特性や背景次第で、2000年代モデルでもここまで伸びることを証明した例と言える。

「欲しいと思った時が買い時」ヴィンテージ相場の真理とは

3本を通して浮かび上がるのは、“値上がりには必ず理由がある”ということ。

「値上がりする時計って、ちゃんとその背景がありますよね」(新海)

「そうですね。ヴィンテージの相場は基本的に下がりません。結局、『欲しいと思ったその時がベストタイミング』なんじゃないですかね」(吉田)

「良いこと言いますね(笑)」(新海)

ヴィンテージ腕時計の魅力は、単に希少性だけではない。過去の価格推移を見れば、適正に評価されたモデルほど上がるべくして上がっていることがわかる。今回の3本はまさにその典型だ。もし気になるモデルがあるなら、相場が加速する前にチェックしておきたい。

FIRE KIDSでは、実物を手に取りながら状態や背景をスタッフと話せるため、自分に合う1本が見つけやすい。値上がりの波に乗るかどうかは、あなたの行動次第だ。

福留 亮司

記事の監修

福留 亮司

『流行通信』を経て1990年に『エスクァイア日本版』編集部に参加し、1995年に副編集長に就任。
1997年よりフリーとして活動し、ファッション・時計・ライフスタイル領域を中心に幅広い取材・編集を手がけてきた。
2011年には『GQ Japan』シニアエディターを務め、雑誌・Web双方で豊富な実績を持つ。

時計分野では1990年代後半から企画・ブランド取材・モデルレビューを担当し、バーゼルワールドやジュネーブサロン(現 Watches & Wonders)などスイスの主要時計展示会を長年取材。ヴィンテージから現行モデルまで横断的な知識と深い造詣を有する。

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