「考えたら負け」ヴィンテージ腕時計・薔薇サブの買い逃しが教えてくれたこと

2026.02.17
最終更新日時:2026.02.16
Written by 編集部

時計マニアが集まるFIRE KIDSのスタッフが、ヴィンテージ時計の魅力を伝えるYouTubeコーナー。毎回異なるテーマで、厳選されたモデルをご紹介する。

「あの時、買っておけばよかったな」。ヴィンテージ腕時計が好きなら、きっと一度はそんな後悔を思い出したことがあるはず。迷っているうちに売れてしまった一本、次に見た時には信じられない値段になっていた一本。時計の世界では、そんな話が決して珍しくない。

今回語られるのは、チューダーの薔薇サブを18歳の時に買い逃したという、野村の実体験。後悔から何を学び、どう向き合ってきたのか。FIRE KIDSで日々時計と向き合う2人が、「あの時」に戻れないからこそ伝えたい、ヴィンテージ腕時計との付き合い方を語る。

18歳、9万8,000円の分岐点。薔薇サブはこうして遠ざかった

「野村さん、買っておけばよかった時計ってありますか?」(小池)

「山ほどあるよ。その中でも一番はチューダーの薔薇サブだね」(野村)

18歳の頃、ショーケースに並んでいた薔薇のサブマリーナーは9万8,000円。高校生でも工夫すれば届きそうな価格であり。野村は実際に貯金を始める。しかし、次に店を訪れた時には売り切れ。

「その時は『あーあ』くらいだった」と笑うが、再会した時の値札は19万8,000円。さらに時計雑誌で薔薇サブ特集が組まれ、次は39万8,000円。倍々ゲームだ。

20代前半、働き始めて「買えなくもない」状況になっても、結局手を伸ばさなかった。そして現在、状態次第では200万円台、場合によっては30倍。

「1万円でもいいから取り置きしておけばよかった。あれは完全に教訓だね」(野村)

「意思を示す」ことで手に入ったGMT

薔薇サブを逃した後、野村が取った行動は決断の仕方を変えることだった。欲しいと感じたGMTマスターに対し、当時のオーナーへ「これ、欲しいです」とはっきり意思表示。結果、分割どころか物々交換で手に入れたという。

「意思ををそこでしっかりと示せたから手に入ったよね」(野村)

この経験は、FIRE KIDSでの接客にも直結する。迷う客には「迷わないで。考えないで」と、伝えている。腕時計は生活必需品ではないため、考え始めた瞬間、買わない理由はいくらでも見つかる。だからこそ、後悔しやすい。

とはいえ、価格は上がり続け、GMTマスターは200万円弱が当たり前になった。野村が語るFIRE KIDSの60回無金利へのこだわりは、自身の体験に基づく。

「一括じゃ買えない人の気持ちが分かるから。60回なら、100万円で月1万円台。貯めるより、持っておいた方がいいケースもある」(野村)

「あの時買っておけばよかった」という後悔を減らすための、現実的な選択肢であり、決断を無理なく後押しする仕組みだ。

金無垢という別の後悔。安全資産に近づく腕時計の現在地

話題は金無垢へ。「金は安全資産。でも腕時計は本来そうじゃない」と前置きしつつ、「ただ、腕時計の地位は安全資産に近づいてきている」と、野村は続ける。

金の価格はこの数年で大きく上昇。金無垢時計は、時計としての価値と素材価値がせめぎ合う。金として潰されるくらいなら「かわいそうだから時計として生かしたい」という想いで買った金無垢時計が、使われず眠ることもあるという葛藤も語られた。

それでも「今のうちなら」と名指しされるのが、ロレックス デイデイトのブレス付き。海外評価の高まり、日本個体のコンディションの良さ。100万円台前半が後半へと移る今、迷えばまた遠ざかる。

買わなかった後悔、売らなかった後悔

「手放したものは、ほぼ全部上がってる」と野村は笑う。ただし、売った後悔より買わなかった後悔の方が後を引く。

ヴィンテージは出会いであり、同じコンディションは二度と現れないことも多い。小池も「出会いですからね」と、頷く。

薔薇サブの9万8,000円は、もう戻らないが、教訓は残った。欲しいと思った瞬間に、意思を示すこと。現実的な支払い手段を用意すること。次に心が動いた時、同じ後悔をしないために、その一歩をしっかり踏み出してほしい。

ヴィンテージ腕時計の「買い逃し」を防ぐためのQ&A

「あの時、買っておけばよかった」という後悔は、ヴィンテージ腕時計では珍しくありません。ここからは、買い逃しを防ぐための考え方を、この記事に関連するQ&Aでまとめました。時計選びの参考にしてみてください。

Q1:ヴィンテージ腕時計は「迷ったら買い」なのでしょうか?

A:後悔しやすいのは、迷って買わなかったケースです。ヴィンテージ腕時計は、同じ個体・同じコンディションのものが二度と出てこないことも珍しくありません。価格や実用性を考え始めると、どうしても「買わない理由」は増えてしまいます。もちろん無理は禁物ですが、「本当に気になる一本」に出会った時は、後から振り返って後悔する可能性が高いのも事実です。

Q2:価格が高くて不安な場合、どう判断すればいいですか?

A:支払い方法も含めて考えるのがおすすめです。一括で考えると高く感じる時計でも、分割で見れば現実的になるケースがあります。ヴィンテージ腕時計は「あとで同じ価格では買えなくなる」ことも多いため、支払い方法を工夫することで、後悔のない選択につながる場合もあります。無理のない範囲で、選択肢を広く持つことが大切です。

Q3:今後「買っておけばよかった」となりやすい時計の特徴は?

A:評価が安定していて、個体数が限られるモデルです。長年人気が続いているモデルや、素材価値を併せ持つ時計は、後から評価が上がる傾向があります。特にヴィンテージの場合、海外からの需要が高まると国内で良い個体が見つかりにくくなります。「今はまだ買える」というタイミングこそが、実は一番の判断ポイントかもしれません。

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