ホワイトゴールドとは?特徴とプラチナの違い

2026.02.13
最終更新日時:2026.02.05
Written by 秋吉 健太

ホワイトゴールドとは何かと聞かれて、明確に説明できる人は意外と多くありません。白い外観からプラチナと混同されがちですが、素材としての成り立ちや性質は大きく異なります。

特にヴィンテージ時計の分野では、ホワイトゴールドは単なる装飾素材ではなく、当時の技術水準や実用性を踏まえたうえで選ばれてきました。その違いを理解しないままでは、素材の価値や時計そのものの評価を誤る可能性があります。そこでホワイトゴールドの基本的な定義から特徴、プラチナとの違いを整理したうえで、時計素材としての立ち位置や注意点を解説します。

ホワイトゴールドとは何か

ホワイトゴールドとは何か

ホワイトゴールドとは、金を主成分としながら白色に見えるよう設計された合金素材です。時計やジュエリーの分野では、プラチナに似た外観を持ちながら、異なる特性を持つ貴金属として扱われてきました。まずは素材としての定義と、なぜ白く見えるのかという基本構造から整理します。

ホワイトゴールドの成分と基本的な定義

ホワイトゴールドは、純金にパラジウムやニッケル、銀などの金属を混ぜて作られる合金です。純金は非常に柔らかく黄色味が強いため、そのままでは時計ケースの素材として適していません。そのため、強度を高めつつ色味を調整する目的で、他の金属を加えています。

一般的に時計に使われるホワイトゴールドは18金が主流であり、金の含有率は75%です。残りの25%にどの金属を用いるかによって、色合いや硬さ、加工性が変わります。

なぜ白い色になるのか(合金と表面処理)

ホワイトゴールドが白く見える理由は、合金による色調変化と、表面処理の影響によるものです。合金段階でも黄色味は抑えられますが、多くの場合、完全な白色にはなりません。

そのため、仕上げとしてロジウムコーティングが施されることが一般的です。ロジウムは非常に白く、耐食性に優れた貴金属であり、これを表面に薄くコーティングすることで、プラチナに近い外観が実現されます。

ただし、このロジウム層は永久的なものではなく、使用や研磨によって摩耗する点は理解しておく必要があります。

ホワイトゴールドの特徴とは?

ホワイトゴールドの特徴とは?

ホワイトゴールドは、同じ貴金属素材であるプラチナやイエローゴールドとは、見た目だけでなく性質や経年変化の点でも異なる特徴を持っています。特に時計素材として見た場合、外観の印象、使用による変化、メンテナンスとの関係を理解しておくことが重要です。ここでは、ホワイトゴールドならではの特徴を具体的に整理します。

見た目と質感の特徴

ホワイトゴールドは、白色系の金属でありながら、プラチナとは異なる落ち着いた光沢を持っています。ロジウムコーティングが施された状態では、非常に明るくシャープな白色に見える一方で、下地となる合金の影響により、どこか金属としての柔らかさを感じさせる質感があります。

時計のケースとして見ると、イエローゴールドほどの華やかさはなく、ステンレススチールよりも上質で控えめな印象を与える素材です。そのため、ヴィンテージ時計においては、過度に主張しない高級素材として選ばれてきました。

経年変化とロジウムコーティングの影響

ホワイトゴールドの大きな特徴のひとつが、経年変化の現れ方です。多くのホワイトゴールド製時計には、表面にロジウムコーティングが施されていますが、このコーティングは使用により徐々に摩耗します。

ロジウムが薄くなると、下地のホワイトゴールドが現れ、わずかに黄味や温かみを帯びた色合いに変化します。この変化は劣化ではなく、素材本来の性質によるものです。特にヴィンテージ時計では、この色味の変化が経年の味わいとして評価されることもあります。

一方で、白さを保ちたい場合には再コーティングという選択肢もありますが、オリジナリティを重視するか、外観の美しさを優先するかによって判断が分かれる点でもあります。

ホワイトゴールドとプラチナの違いを素材特性から比較

ホワイトゴールドとプラチナの違いを素材特性から比較

ホワイトゴールドとプラチナは、いずれも白色系の高級素材として時計に用いられてきました。しかし、その成り立ちや性質は大きく異なります。見た目が似ているからこそ、素材特性の違いを理解しておくことが重要です。

まず、ホワイトゴールドは金を主成分とする合金素材です。白色に見せるために他の金属を混ぜており、素材としての性質は配合によって左右されます。一方、プラチナは単一金属に近い性質を持つ貴金属であり、自然な白色と高い比重が特徴です。

硬度の面では、ホワイトゴールドは比較的硬く、ケース形状を保ちやすい素材です。プラチナは粘りがあり、傷が付きやすい一方で、削れた金属が周囲に残る性質を持ちます。そのため、使用による表情の変化はプラチナの方が顕著に現れる傾向があります。

重量感にも違いがあります。プラチナは比重が高く、同じサイズのケースであっても手に取ったときに明確な重さを感じます。ホワイトゴールドはプラチナほどの重量はなく、装着感としてはやや軽快です。この違いは、長時間着用する時計においては好みが分かれるポイントでもあります。

また、メンテナンスの観点でも差があります。ホワイトゴールドはロジウムコーティングによって外観を整える必要がある場合がありますが、プラチナは素材そのものの色味が変わらないため、再コーティングは不要です。ただし、傷の入り方や磨きによる形状変化には注意が必要です。

このように、ホワイトゴールドとプラチナは、見た目が似ていても素材としての性質や扱い方は大きく異なります。時計素材として選ばれてきた背景を理解することで、ヴィンテージ時計を見る目も変わってきます。

比較項目ホワイトゴールドプラチナ
素材の成り立ち金を主成分とした合金白金族金属
一般的な品位18K(75%)Pt950など
色味の特徴合金配合や表面処理で差が出る落ち着いた灰白色
経年劣化ロジウム摩耗で色味が変わる場合あり色味の変化は少ない
硬さ・扱いやすさプラチナより硬い場合が多い柔らかく傷が出やすい
ヴィンテージの採用比較的多い非常に少ない
時計素材としての位置付け実用性と装飾性のバランス特殊・高級素材

時計素材として見たホワイトゴールドの立ち位置とは

時計素材として見たホワイトゴールドの立ち位置とは

ホワイトゴールドは、白色系素材の中でも独特な位置づけを持つ素材です。ステンレススチールほど実用性一辺倒ではなく、プラチナほど希少性や重量感を前面に出す素材でもありません。この中間的な性質が、特定の時代において時計ケース素材として選ばれてきた背景につながっています。

ヴィンテージ時計でホワイトゴールドが使われた背景

ヴィンテージ時計の時代を振り返ると、ホワイトゴールドは「外観を抑えつつ価値を持たせる素材」として位置づけられていたことがわかります。当時のカタログやラインナップを見ると、同一デザインの時計において、ステンレススチールやイエローゴールドと並んでホワイトゴールドが用意されている例が多く確認できます。

白色系の外観は控えめでありながら、素材としては貴金属であるため、ドレスウォッチやフォーマル用途の時計と相性が良いと考えられていました。このような背景から、ホワイトゴールドは実用性と高級感のバランスを重視する選択肢として採用されてきました。

プラチナが使われなかった理由と素材比較

一方で、同じ白色系素材であるプラチナは、ヴィンテージ期において一般的な時計ケース素材ではありませんでした。これは、当時の製造環境を考えると自然な流れといえます。

プラチナは比重が高く、融点も高いため、加工には高度な技術と手間を要します。その結果、製造コストが上がりやすく、安定した量産には向きませんでした。実際に、ヴィンテージ市場やオークションカタログを見ても、プラチナ製ケースの個体数は限定的であることが確認できます。

これに対してホワイトゴールドは、合金設計によって加工性を調整しやすく、当時の製造技術でも安定した品質を確保しやすい素材でした。そのため、現実的な選択肢として時計ケースに採用される場面が多かったと考えられます。

ホワイトゴールドが使われた代表的なヴィンテージ時計

ホワイトゴールドは、主に高級ラインや素材違いのバリエーションとして用いられてきました。たとえば、ロレックスのデイトジャストやデイデイトでは、イエローゴールドやピンクゴールドと並ぶ選択肢としてホワイトゴールドが設定されています。また、パテック・フィリップのドレスウォッチにおいても、ホワイトゴールドケースのモデルが存在します。

これらの事例からも、ホワイトゴールドは特定のブランドやモデルに限られた素材ではなく、当時の高級時計における標準的な選択肢のひとつであったことが読み取れます。

ヴィンテージ時計で注意すべきホワイトゴールドのポイント

ヴィンテージ時計で注意すべきホワイトゴールドのポイント

ホワイトゴールド製のヴィンテージ時計は、見た目だけでは状態を判断しにくい素材です。実際に、オークションカタログや時計専門誌においても、ケースの研磨状態や表面処理の有無は重要な評価項目として扱われています。そのため、素材特有の注意点を理解したうえで個体を確認することが重要です。

ケース痩せと研磨履歴の見極め

ホワイトゴールドは合金素材であり、研磨による影響を受けやすい側面があります。過去に強い研磨が行われている個体では、ケースのエッジが丸くなり、本来の形状が損なわれていることがあります。

ヴィンテージ市場では、ラグの立ち上がりやケースサイドのラインがどれだけ保たれているかが、状態評価の重要な基準とされています。実際に、フィリップスなどの海外のオークションハウスのコンディションレポートでも、過度な研磨はマイナス要素として明記されることが一般的です。見た目が整っているからといって、必ずしも状態が良いとは限らない点には注意が必要です。

ロジウム再コーティングの有無

ホワイトゴールドの白さは、ロジウムコーティングによって保たれていることが多く、過去に再コーティングが行われている個体も存在します。宝飾業界の一般的な解説でも、ホワイトゴールドは素材そのものが完全な白色ではなく、ロジウムによって色味を補っていると説明されています。

たとえば、GIA(米国宝石学会)では、ホワイトゴールドとロジウムコーティングの関係や、摩耗による色味の変化について明確に言及されています。再コーティング自体は不具合ではありませんが、オリジナルの状態とは異なる点を理解したうえで評価することが重要です。

現行時計との素材感の違い

ヴィンテージ時計に使われているホワイトゴールドは、現行モデルとは素材設計や表面処理の考え方が異なる場合があります。これは、合金技術や仕上げ工程が時代とともに進化してきたためです。

現行モデルについては、ロレックスなどのメーカー公式サイトでも、独自合金や素材開発について説明されています。こうした公式情報と比較すると、ヴィンテージのホワイトゴールドが持つ色味や質感の違いは、素材そのものの欠点ではなく、時代背景による違いであることが理解できます。

ホワイトゴールドの刻印と素材表記とは

ホワイトゴールドの刻印と素材表記とは

ヴィンテージ時計において、ケース素材を確認する際の重要な手がかりが刻印です。ホワイトゴールドは外観が似た素材が多く、見た目だけで正確に判断することはできません。そのため、刻印や素材表記の読み取りが欠かせません。

ただし、ヴィンテージ時計の刻印は現行モデルのように統一された表記ルールに基づくものではありません。当時の製造背景や国ごとの慣習を踏まえたうえで、慎重に解釈する必要があります。

18KWGとは何を意味するのか

18KWGとは、18金ホワイトゴールドを示す素材表記です。18Kは金の含有率が75%であることを意味し、残りの25%にはニッケルやパラジウムなどの白色系金属が合金として加えられています。WGはホワイトゴールドを指す略称です。

金の品位については、当時からスイスをはじめ各国で貴金属検定制度による管理が行われていました。そのため、18Kという表記自体は現在と同様に、金の純度を示すものとして理解できます。

一方で、ホワイトゴールドの色味や合金配合については、現在のような統一的な基準が設けられていたわけではありません。そのため、同じ18金ホワイトゴールドであっても、製造年代やメーカーによって色調に差が見られる場合があります。ヴィンテージ時計において、現代的な白さを前提に考えるのは適切ではありません。

ヴィンテージ時計に見られる刻印の特徴

ヴィンテージ時計の刻印は、簡略的である場合が多く見られます。ケース裏の内側やラグの裏側など、外観からは確認できない位置にのみ刻印が打たれている個体も存在します。そのため、外側から刻印が確認できないという理由だけで素材を否定することはできません。

また、スイス製時計であっても、すべての個体に公式ホールマークが確認できるとは限りません。ホールマークとは、貴金属が一定の品位基準を満たしていることを示す公的な検査・認証印です。これは第三者機関によって管理されるもので、製造者が任意で打つ刻印とは性質が異なります。

ヴィンテージ時計の場合、製造年代や流通形態、メーカーの慣習によって、ホールマークが省略されている個体も存在します。そのため、ホールマークの有無だけで素材や真贋を断定することはできません。

素材の判断においては、刻印だけに依存するのではなく、ケース構造や重量感、経年変化の現れ方などを総合的に確認することが重要です。ブランドのアーカイブ資料や、スイスの貴金属検定制度に関する公的な考え方を踏まえながら判断することで、より信頼性の高い評価につながります。

ホワイトゴールドとは?よくある質問

ここでは、ホワイトゴールドについて疑問に感じやすい点を整理します。素材の基本を踏まえながら、ヴィンテージ時計としての実用面や考え方に焦点を当てます。

Q: ホワイトゴールドは変色するのか

A: ホワイトゴールド自体は合金であり、使用によって素材そのものが急激に変色することはありません。ただし、多くの場合、表面にはロジウムコーティングが施されています。このコーティングが摩耗すると、下地の合金色が見え、やや黄味を帯びた印象になることがあります。これは劣化ではなく、素材特性による変化です。

Q: プラチナと比べた見た目の印象はどうか

A: 新品時の見た目は、ロジウムコーティングの有無によって差が出ます。一般的に、ホワイトゴールドはシャープで白い印象になりやすく、プラチナはやや落ち着いた灰白色に見えます。ヴィンテージ時計では経年変化の影響が加わるため、単純な色比較は難しい点に注意が必要です。

Q: ヴィンテージ時計として実用性はあるのか

A: 適切にメンテナンスされていれば、ホワイトゴールドのケースであっても実用上の問題はありません。ただし、ステンレススチールと比べると柔らかいため、強い衝撃や過度な研磨には注意が必要です。日常使用よりも、扱い方を意識した着用が求められます。

Q: ロジウムコーティングは必ず必要か

A: 必須ではありません。オリジナル状態を重視する場合、あえて再コーティングを行わない選択もあります。一方で、外観を整えたい場合には有効な処置です。ヴィンテージ時計では、価値観や使用目的に応じて判断することが重要です。

Q: ホワイトゴールドの資産性や価値はどう考えるべきか

A: ホワイトゴールドの価値は、素材単体よりも時計としての希少性や状態、ブランド性によって左右されます。素材が貴金属であることは一定の価値を持ちますが、それだけで評価が決まるわけではありません。ヴィンテージ時計として総合的に捉える視点が必要です。

まとめ

ホワイトゴールドとは、金を主成分としながら、白色系金属を組み合わせることで上品な色味と質感を持たせた素材です。プラチナと比較されることが多いものの、素材の成り立ちや性質、経年変化の考え方にはそれぞれ違いがあります。

ヴィンテージ時計の分野では、ホワイトゴールドは見た目だけでなく、当時の技術や実用性を背景に用いられてきました。18KWGなどの刻印や素材表記は理解の助けになりますが、製造年代や素材特性とあわせて捉えることで、より立体的な理解につながります。

ホワイトゴールドの特徴やプラチナとの違いを知ることで、時計を見る視点は一層深まります。素材そのものに目を向けながら、ホワイトゴールドの時計が持つ魅力を楽しんでいきましょう。

福留 亮司

記事の監修

福留 亮司

『流行通信』を経て1990年に『エスクァイア日本版』編集部に参加し、1995年に副編集長に就任。
1997年よりフリーとして活動し、ファッション・時計・ライフスタイル領域を中心に幅広い取材・編集を手がけてきた。
2011年には『GQ Japan』シニアエディターを務め、雑誌・Web双方で豊富な実績を持つ。

時計分野では1990年代後半から企画・ブランド取材・モデルレビューを担当し、バーゼルワールドやジュネーブサロン(現 Watches & Wonders)などスイスの主要時計展示会を長年取材。ヴィンテージから現行モデルまで横断的な知識と深い造詣を有する。

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秋吉 健太

秋吉 健太

秋吉 健太(あきよし けんた)
編集者/クリエイター

雑誌編集20年、Web編集10年。『東京ウォーカー』編集長、Yahoo!ニュース エキスパートとして多数の記事を制作し、インタビュー企画・レビュー・解説記事など一次情報に基づくコンテンツを数多く手がけてきた。時計分野では5年以上にわたりブランド取材、モデルレビュー、専門家インタビューを担当し、ヴィンテージと現行の両領域に精通している。

FIREKIDSマガジンでは、ヴィンテージ時計の入門記事から専門的な取材記事、SEO構成の設計まで幅広く担当。正確な年代表記、モデル背景、真贋情報など、時計専門店として求められる一次情報と正確性を重視した記事づくりを心がけている。

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