ロレックス エクスプローラー Ref.1016 解説 ― Cal.1560・1570とダイヤルバリエーションの変遷

2026.03.27
最終更新日時:2026.03.27
Written by 編集部

# ロレックス エクスプローラー Ref.1016 解説 ― Cal.1560・1570とダイヤルバリエーションの変遷|FIRE KIDS Magazine

ロレックス エクスプローラーは、1953年のエベレスト初登頂を記念して誕生したモデルです。その中でもRef.1016は、1963年から1989年まで約26年間にわたって製造されたロングセラーであり、エクスプローラーの歴史を語る上で欠かすことのできない存在となっています。

3・6・9のアラビアインデックスとシンプルなブラックダイヤル。視認性と堅牢性を追求した「冒険家のための道具時計」としての設計思想は、四半世紀を超える長期生産の中でも一貫して守り続けられました。本記事では、Ref.1016に搭載されたキャリバーの変遷、ダイヤルバリエーション、そしてケースやブレスレットの特徴について詳しく解説します。

Ref.1016の歴史 ― 26年間のロングセラー

Ref.1016は、前身モデルであるRef.6610の後継として1963年に登場しました。Ref.6610からの大きな変更点のひとつが防水性能の向上で、Ref.1016では100m防水を実現しています。これはRef.6610の約2倍にあたる数値です。

1963年から1989年までの約26年間という製造期間は、エクスプローラーの歴代リファレンスの中でも最長です。その間にキャリバーの世代交代やダイヤルデザインの変更が行われましたが、36mmのオイスターケースに3・6・9アラビアインデックスという基本デザインは変わることがありませんでした。

1989年、Ref.1016の生産終了とともに後継モデルRef.14270が登場します。Ref.14270ではサファイアクリスタルの採用やCal.3000の搭載など近代化が図られましたが、3・6・9のアイデンティティはしっかりと引き継がれています。

搭載キャリバー ― Cal.1560からCal.1570への変遷

Ref.1016には、生産時期によって2種類のキャリバーが搭載されています。初期モデルにはCal.1560が、後期モデルにはCal.1570が搭載されました。

キャリバースペック比較

項目Cal.1560Cal.1570
駆動方式自動巻き自動巻き
石数26石26石
振動数18,000振動/時19,800振動/時
パワーリザーブ約42時間約48時間
ハック機能なしあり(1972年以降)
導入年1960年1966年
クロノメーター認定ありあり

※Cal.1560のスペック(自動巻き、26石、18,000振動/時、1960年導入)は。Cal.1570の振動数(19,800振動/時)およびパワーリザーブ、ハック機能の追加時期はWeb情報源による。

Cal.1560はロレックスの前期型キャリバーとして1960年に導入されました。60年代頃の自動巻きムーブメントとして数々のモデルに搭載されました。

Cal.1570は1966年頃から導入され、振動数が18,000振動/時から19,800振動/時に向上しました。さらに1972年頃にはハック機能(秒針停止機能)が追加され、リューズを引き出すと秒針が止まるようになりました。これにより、時刻合わせの精度が格段に向上しています。Cal.1570はサブマリーナ(Ref.5513)やGMTマスター(Ref.1675)にも搭載された、ロレックスの主力キャリバーです。

両キャリバーともCOSC(スイス公認クロノメーター検定協会)の認定を受けており、日差-4/+6秒以内の精度を15日間にわたって証明しています。

ダイヤルバリエーション ― ギルト・マット・グロスの変遷

Ref.1016の魅力のひとつが、26年間の生産期間に生まれた多彩なダイヤルバリエーションです。大きく分けて、ギルト(光沢+金文字)、マット、そして後期のグロス(光沢+白文字)の3つの世代があります。

ギルトダイヤル(1963年頃〜1967年頃)

初期のRef.1016に搭載されたギルトダイヤルは、光沢のあるブラックの文字盤に金色の文字とインデックスが配されたものです。文字盤の金色部分は印刷ではなく、真鍮のベースプレートが表面に露出するガルバニック製法によるものです。チャプターリング(分目盛りの環)の有無によってさらに細分化され、チャプターリング付きで4種、なしで3種のバリエーションが確認されています。

経年により独特の温かみのあるパティーナ(経年変化)が生じ、コレクターの間で特に高い評価を受けています。

マットダイヤル(1967年頃〜1980年代前半頃)

1960年代後半、ロレックスはダイヤルの仕上げをギルトからマットに変更しました。銅板の上にざらつきのあるブラックの表面処理を施し、文字やインデックスは白色で印字されています。ギルトダイヤルの華やかさとは対照的に、道具時計としての実用性を前面に出したデザインです。

ギルトからマットへの移行期(1967年前後)には、両方の特徴を併せ持つ過渡期のダイヤルも存在し、コレクターの間で注目されています。

グロスダイヤル(1980年代前半頃〜1989年)

生産末期のRef.1016には、光沢のあるブラックにホワイトの文字を組み合わせたグロスダイヤルが採用されました。マットダイヤルの実用的な印象から一転し、洗練された雰囲気を持つ仕上がりとなっています。

ケース・ブレスレットの特徴

Ref.1016のケースは、エクスプローラーの標準となる36mmのオイスターケースです。スムースベゼルを備え、100m防水を実現しています。風防はプラスチック製のアクリルクリスタルで、後継のRef.14270で採用されるサファイアクリスタルとは異なり、独特のドーム形状が温かみのある表情を生み出します。

ブレスレットは、時代によってリベットブレスレット(初期)から巻きブレスレット、そしてハードブレスレットへと変遷しています。リューズはねじ込み式のトリプロックではなく、ツインロック方式が採用されています。

ケースサイズは36mmですが、現代の基準からすると小ぶりに感じるかもしれません。しかし、ラグからラグの長さが適度に抑えられているため、手首への収まりは非常に良好です。メルセデス針(ベンツ針とも呼ばれる短針)は、暗所での視認性を高めるための実用的なデザインです。

ヴィンテージRef.1016を選ぶ際のポイント

Ref.1016は26年間にわたって生産されたため、個体ごとの違いが大きいモデルです。以下のポイントを意識すると、自分に合った1本を見つけやすくなります。

**ダイヤルの種類を決める**: ギルト、マット、グロスのいずれを好むかで、探すべき年代が変わります。ギルトダイヤルは初期生産分に限られるため、数が少ない傾向があります。

**キャリバーを確認する**: Cal.1560搭載の初期モデルか、Cal.1570搭載の後期モデルかで、ハック機能の有無やパワーリザーブが異なります。実用面を重視するなら、ハック機能付きのCal.1570搭載モデルが使いやすいでしょう。

**ケースのコンディション**: オイスターケースの研磨歴やラグの痩せ具合は、ヴィンテージウォッチ選びの重要なチェックポイントです。過度な研磨によりケースのエッジが丸くなっている個体もあります。

**夜光の状態**: トリチウム夜光は経年で変色し、クリーム色やブラウンに変化します。均一に焼けている個体は美しいパティーナとして評価されます。

よくある質問

**Q. Ref.1016のケースサイズは何mmですか?**

A. 36mmです。スムースベゼルのオイスターケースを採用しており、100m防水に対応しています。前身のRef.6610から防水性能が約2倍に向上しました。

**Q. Cal.1560とCal.1570の見分け方はありますか?**

A. 裏蓋を開けてムーブメントを確認するのが確実ですが、おおまかな目安として、1960年代前半の個体はCal.1560、1960年代後半以降の個体はCal.1570を搭載している傾向があります。ハック機能(リューズを引くと秒針が止まる)の有無も判別の手がかりになります。

**Q. Ref.1016の前身モデルと後継モデルは何ですか?**

A. 前身はRef.6610、後継はRef.14270です。Ref.14270は1989年に登場し、サファイアクリスタルやCal.3000など、大幅な近代化が図られました。

**Q. ギルトダイヤルとマットダイヤルの違いは何ですか?**

A. ギルトダイヤルは光沢のあるブラック文字盤に金色の文字・インデックスが配されたもので、1967年頃までの初期モデルに見られます。マットダイヤルはざらつきのあるブラック文字盤に白い文字が印字されたもので、1967年頃以降のモデルに採用されました。製法も異なり、ギルトは真鍮ベースプレートを活かしたガルバニック製法、マットは銅板に表面処理を施したものです。

まとめ

Ref.1016は、エクスプローラーの完成形として26年間作り続けられたモデルです。Cal.1560からCal.1570へのキャリバー変遷、ギルトからマット、そしてグロスへと移り変わるダイヤルバリエーション。長い生産期間の中で静かに進化を重ねながらも、3・6・9アラビアインデックスと36mmオイスターケースという根幹のデザインは最後まで変わりませんでした。

「冒険家のための道具時計」という原点を守り続けたRef.1016は、ロレックスの設計哲学を体現した1本といえるでしょう。

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