セイコー ダイバーズ 2ndモデル(植村ダイバー)解説|前期型・後期型の違いと選び方
セイコー ダイバーズ 2ndモデルは、1968年に登場した150m防水の自動巻きダイバーズウォッチです。世界的な冒険家・植村直己氏が北極圏12,000kmの犬ぞり単独行で着用していたことから「植村ダイバー」「ウエムラダイバー」の愛称で広く知られています。
植村直己氏が北極圏12,000kmの距離を犬ぞりで足掛け3年をかけて突破した際に着用していたモデルであり、このエピソードが植村ダイバーの伝説的な地位を確立しました。2ndダイバーには前期型と後期型という二つの仕様が存在し、外観もムーブメントも異なる事実上の別モデルです。
この記事では、前期型と後期型の違い、選び方のポイントを解説します。これから購入を検討している方にとって、後悔しない一本選びの参考になれば幸いです。
セイコーダイバーズの歴史と2ndモデルの位置づけ

セイコーのダイバーズウォッチは、1965年の1stダイバー(Ref.6217-8001)から始まり、2ndモデル、3rdモデルと進化を重ねてきました。2ndモデルはセイコーダイバーズの歴史において、実用性を大幅に高めた転換点となるモデルです。
1stモデルの設計を大幅に改良し、Cal.6105の自動巻きムーブメントを搭載。約10年にわたって生産された長寿モデルであり、セイコーがこの設計に高い信頼を置いていたことを示しています。
前期型と後期型の違い

2ndダイバーは、大きく前期型(Ref.6105-8000)と後期型(Ref.6105-8110)に分けられます。外観も内部構造も異なるため、購入前にこの違いを正確に理解しておくことが重要です。
前期型(Ref.6105-8000):1968〜1970年頃
前期型は2ndダイバーの初期バージョンで、生産数が少なく希少性の高いモデルです。後期型のウエムラダイバーが有名ですが、前期型はリューズガードとリューズロックが付いておらず、ケースサイズも後期型より約3mm小さいのが特徴です。
前期型の主な特徴
- リューズガードなし
- リューズロックなし
- ケースサイズが後期型より約3mm小さい(約41mm)
- Cal.6105Aを搭載
- カレンダーの早送り機能付きだが手巻き機構はなし
代表的な個体
- 1968年製 前期型 Ref.6105-8000(SS・約41mm)セイコー純正ウレタンベルト付き
後期型(Ref.6105-8110):1970〜1977年頃
後期型が「植村ダイバー」として知られる主力モデルです。前期型からの最大の変更点は、リューズガードの追加とケースの大型化にあります。前期型よりもボリュームのあるケースに改良され、特徴的なリューズガードがデザインされています。
後期型の主な特徴
- リューズガード付き(4時位置)
- ケースサイズ約44.5mm
- Cal.6105Bを搭載
- ねじ込み式とは異なる独自のリューズロック機構
後期型には独自のリューズロック機構が採用されています。ねじ込み式とは異なり、リューズに掘られた溝がケースにある小さな突起と合わさってロックされる仕組みです。ただし、このロック機構は経年により効かなくなっている個体が多い点には注意が必要です。
前期型 vs 後期型:スペック比較
| 項目 | 前期型(Ref.6105-8000) | 後期型(Ref.6105-8110) |
| リューズガード | なし | あり |
| リューズロック | なし | あり(独自機構) |
| ケースサイズ | 約41mm | 約44.5mm |
| Cal. | Cal.6105A | Cal.6105B |
| 手巻き機構 | なし | なし |
| カレンダー早送り | あり | あり |
植村直己と2ndダイバーの物語

植村直己氏が北極圏12,000kmの距離を犬ぞりで足掛け3年をかけて突破した際に着用していたモデルが、この2ndダイバー後期型です。通称「植村直己モデル」と呼ばれています。
マイナス50度にも達する極寒の環境で、バッテリー不要の自動巻き時計は「止まらない相棒」として機能し続けました。この実績が「植村ダイバー」「ウエムラダイバー」という愛称の由来であり、2ndダイバーをセイコーダイバーズの中でも特別な存在にしている最大の理由です。
2ndダイバーの選び方:4つのポイント
ポイント1:前期型か後期型か
- 前期型(Ref.6105-8000):生産数が少なく希少性を重視するコレクター向け。リューズガードなしのすっきりとした外観が好みの方に
- 後期型(Ref.6105-8110):「植村ダイバー」としての正統なストーリーを持つモデル。流通量が比較的多く、状態の良い個体が見つかりやすい
初めての2ndダイバーであれば、後期型から検討するのが選びやすいでしょう。
ポイント2:リューズロック機構の状態
後期型のリューズロック機構は経年劣化しやすい部分です。ロック機構が正常に機能しているかどうかは、時計の保存状態を判断する重要な指標となります。
ポイント3:ベゼルと文字盤の状態
ダイバーズウォッチのベゼルは実使用で摩耗しやすい部分です。また、夜光やSEIKOロゴは経年で傷みが生じることがあるため、文字盤本体の状態とロゴ・夜光の状態を分けて確認することが大切です。
ポイント4:防水性能の現状を理解する
ヴィンテージダイバーズは経年劣化している可能性があるため、当時の150m防水性能は保証されません。日常生活防水として使用し、水中での使用は避けることが前提となります。オーバーホール時にパッキン交換を行えば日常防水レベルは維持できますが、ダイビングへの使用は推奨されません。
よくある質問
Q: 2ndダイバーは日常使いできますか?
A: 可能です。ただし、ヴィンテージウォッチのためオーバーホールでパッキンを交換すれば日常生活防水(手洗い・雨程度)は維持できますが、水泳やダイビングでの使用は避けてください。
Q: 前期型と後期型はどちらがコレクション価値が高いですか?
A: 生産数の少ない前期型(Ref.6105-8000)は希少性の面で高い評価を受けています。一方、「植村ダイバー」としての歴史的ストーリーを持つのは後期型(Ref.6105-8110)です。どちらも異なる魅力を持つモデルであり、何を重視するかによって評価が変わります。
Q: 2ndダイバーのオーバーホールは可能ですか?
A: 可能です。Cal.6105は堅牢な設計のため、パーツの入手も比較的容易です。ダイバーズウォッチはオーバーホール時にパッキンの交換も重要なポイントとなります。
まとめ
セイコー ダイバーズ 2ndモデルは、植村直己氏の北極圏犬ぞり走破という壮大なエピソードを持つ、国産ダイバーズウォッチの代表格です。前期型の希少性、後期型の歴史的ストーリー、いずれも「ただの時計」を超えた物語性を持っています。
前期型と後期型の違いを正しく理解し、リューズロック機構やベゼルの状態を確認した上で、自分にとっての「最良の一本」を見つけてください。
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