チューダー 薔薇サブ解説|Ref.7928・Ref.7016の特徴と選び方
チューダー(TUDOR)のオイスタープリンス サブマリーナに薔薇ロゴが配されたモデルは、通称「薔薇サブ(バラサブ)」と呼ばれ、ヴィンテージウォッチコレクターの間で高い人気を誇ります。ロレックスのオイスターケースを共有しながら、文字盤12時位置にチューダー家の家紋である薔薇ロゴを配した、1960年代後半までにしか存在しないダイバーズウォッチです。
本記事では、薔薇サブの代表的なリファレンスであるRef.7928とRef.7016の特徴、搭載キャリバーの違い、そしてヴィンテージ薔薇サブを検討する際に確認すべきポイントを解説します。チューダー オイスタープリンス サブマリーナに興味をお持ちの時計愛好家に向けた内容です。
薔薇サブとは何か

オイスタープリンス サブマリーナの成り立ち
薔薇サブの正式名称は「オイスタープリンス サブマリーナ」です。ロレックス サブマリーナのオイスターケースと王冠リューズを共有しながら、ムーブメントにETA製キャリバーを採用することでコストを抑えたダイバーズウォッチです。裏蓋には「ORIGINAL OYSTER CASE BY ROLEX GENEVA」の刻印が確認でき、ケース構造がロレックスと同一であることがわかります。
なお、「チューダー サブマリーナー」という呼称は1970年代後半以降の盾ロゴ世代のモデルに使われる名称であり、薔薇ロゴ世代の正式名称は「オイスタープリンス サブマリーナ」です。
薔薇ロゴとオイスタープリンス サブマリーナ
薔薇サブの「薔薇」とは、文字盤12時位置に配されたチューダーの薔薇ロゴを指します。イングランドのチューダー王朝の家紋に由来するこのロゴは、1970年頃まで使用されました。
オイスタープリンス サブマリーナのロゴ変遷
| 世代 | 年代 | 代表リファレンス | 文字盤ロゴ |
| 薔薇ロゴ世代 | 1960年代前半〜後半 | Ref.7928 | 薔薇ロゴ |
| 薔薇ロゴ最終世代 | 1960年代後半〜1970年頃 | Ref.7016/0 | 薔薇ロゴ |
| 盾ロゴ世代 | 1970年代後半以降 | Ref.9401/0 等 | 盾(ホームプレート)ロゴ |
Ref.7928 薔薇サブの特徴

モデル概要
Ref.7928は、チューダー オイスタープリンス サブマリーナにおいて「バラサブ」の代名詞となっているリファレンスです。1960年代前半から半ばにかけて製造が確認されており、文字盤12時位置に薔薇ロゴが配されたダイバーズウォッチとして、ヴィンテージチューダーの中でも特に人気の高いモデルです。
ダイバーズウォッチの武骨なオイスターケースに薔薇マークが組み合わさるコントラストが、薔薇サブ独特の魅力を生み出しています。
Ref.7928のスペック
| 項目 | 仕様 |
| 製造年代 | 1960年代 |
| ムーブメント | Cal.390(バタフライローター搭載) |
| ケースサイズ | 40mm |
| ケース素材 | ステンレス |
| ラグ幅 | 20mm |
| 裏蓋刻印 | ORIGINAL OYSTER CASE BY ROLEX GENEVA |
| ブレスレット | ロレックス製3連ステンレスブレス / リベットブレス |
Ref.7928の文字盤には外周サークル(分目盛り用のリング)が配されており、同年代のロレックス サブマリーナとは若干異なる意匠です。ベゼルは5分位置の目盛りが長い「ロング5ベゼル」と呼ばれる仕様で、1960年代初期のロレックス サブマリーナにも共通して見られるデザインです。
Cal.390のバタフライローター
Ref.7928に搭載されたCal.390は、バタフライローターと呼ばれる特徴的な形状の自動巻きローターを持つキャリバーです。蝶の羽のように左右に広がるローターの形状は、同時代のキャリバーの中でも独特の存在感を持っています。裏蓋を開けた際に確認できるバタフライローターは、チューダー コレクターの間でも注目されるポイントです。
Ref.7016 薔薇サブ最終世代の特徴

モデル概要
Ref.7016は、1960年代後半から1970年代前半にかけて製造された、薔薇ロゴ世代のオイスタープリンス サブマリーナ最終世代のリファレンスです。サフィックス「/0」が付くRef.7016/0が広く知られています。
Ref.7928から世代交代し、ムーブメントや細部の仕様が更新されています。薔薇ロゴを配したオイスタープリンス サブマリーナとしては最後の世代であり、この後継として1970年代後半以降は名称も「チューダー サブマリーナー」に変わり、盾ロゴのモデルへと移行していきます。
Ref.7928との主な違い
Ref.7016はRef.7928と比べて、以下の点が異なります。
- ムーブメントがCal.390からETA製の後継キャリバーに変更
- 文字盤デザインの細部(外周サークルの仕様等)が更新
- ブレスレットがリベットブレスから巻きブレスに変更された個体が多い
薔薇ロゴの最終世代として「最後の薔薇サブ」という歴史的な意味を持つ一方、Ref.7928に比べると製造年代が新しいぶん、状態の良い個体が見つかりやすい傾向にあります。
薔薇サブの魅力を支える3つの要素
1. ロレックスのオイスターケースとチューダーの個性
薔薇サブの最大の特徴は、ロレックスのオイスターケースにチューダーの薔薇ロゴが共存している点です。ケースやリューズはロレックスと共通でも、文字盤の薔薇ロゴや外周サークルなどのデザインでチューダーとしての個性を明確に打ち出しています。
2. ヴィンテージとしての経年変化
1960年代製の薔薇サブでは、ベゼルの褪色や夜光の経年変化が味わい深い個体が多く見られます。半世紀以上の時を経た薔薇サブだからこそ生まれる独特の表情は、ヴィンテージウォッチの醍醐味です。均一に褪色したベゼルや、時を経て変色した夜光は、コレクターからポジティブに評価されています。
3. Cal.390のバタフライローター
Ref.7928に搭載されたCal.390のバタフライローターは、薔薇サブならではの機械的な魅力です。蝶の羽のように左右に広がるローターの形状は視覚的なインパクトが大きく、現代のムーブメントでは見られない構造です。
薔薇サブの文字盤を見極めるポイント
リダン(再塗装)の存在
薔薇サブの中にはリダン(文字盤の再塗装)された個体が存在します。リダンの有無は価値に直結するため、購入時に正確に把握することが重要です。
オリジナル文字盤の薔薇サブとリダン文字盤では、コレクターからの評価が大きく異なります。文字盤がオリジナルかどうかは、薔薇サブを検討する際の最も重要な確認事項の一つです。
夜光の経年変化
オリジナル文字盤の薔薇サブでは、インデックスと針の夜光が時間とともに変色します。均一に経年変化した夜光はヴィンテージの雰囲気を高めるとともに、文字盤のオリジナル性を裏付ける手がかりの一つでもあります。
よくある質問
Q: 薔薇サブはロレックスの時計ですか、チューダーの時計ですか?
A: チューダーの時計です。ケースやブレスレット、リューズはロレックスと共通パーツを使用しており、裏蓋にはロレックスのオイスターケースである旨の刻印がありますが、文字盤にはチューダーの薔薇ロゴが入り、ムーブメントにはCal.390や後継のETA系のキャリバーが搭載されています。
Q: Ref.7928とRef.7016、どちらが人気ですか?
A: Ref.7928はバタフライローター搭載のCal.390を持ち、製造年代がより古いため残存個体が少なく、コレクターからの評価が高い傾向にあります。特にオリジナル文字盤の状態が良い個体は年々少なくなっています。Ref.7016/0は薔薇ロゴ最終世代としての独自の価値があり、比較的状態の良い個体が見つかりやすい面があります。
Q: 薔薇サブの文字盤がオリジナルかどうか、どうやって判断しますか?
A: 夜光の経年変化の均一性や、薔薇ロゴの印刷品質なども判断材料になります。信頼できる専門店では、リダン(再塗装)された文字盤とオリジナル文字盤を区別して明記しているため、経験のある専門店で確認することを推奨します。
Q: 薔薇サブのケースの状態はどのように確認すればよいですか?
A: 50年以上経過した個体では、ケースやブレスの小キズの有無に加え、研磨履歴によるエッジの痩せや、ベゼルインサートの状態を確認することが重要です。ベゼルの退色具合やインサートの欠けも併せてチェックしましょう。
Q: 薔薇サブのベゼルの褪色は欠点ですか?
A: 褪色自体はヴィンテージの味わいとして評価されています。適度に褪色したベゼルはむしろポジティブに捉えられており、均一に褪色した個体はコレクターからも好まれる傾向にあります。
まとめ
チューダー オイスタープリンス サブマリーナの薔薇サブは、ロレックスのオイスターケースにチューダー家の家紋である薔薇ロゴが輝く、1970年頃までにしか存在しないヴィンテージモデルです。Ref.7928のバタフライローター搭載Cal.390、グロスダイヤルという固有の仕様は、ロレックス サブマリーナにはない独自の魅力を持っています。薔薇ロゴ最終世代のRef.7016/0も含め、リファレンスごとの特徴を理解したうえで個体を選ぶことが、薔薇サブ選びの第一歩です。
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