キングセイコー 56KS Cal.5626A/5625A ヴィンテージ解説

2026.04.10
最終更新日時:2026.04.10
Written by 編集部

キングセイコーの歴史において、56KSは大きな転換点となったシリーズです。

それまでの手巻き式(44KS / Cal.4402系)から自動巻きへと進化し、ハイビートにデイデイトやデイト表示を組み合わせた実用性の高いモデルとして、1968年頃から1970年代前半にかけて展開されました。

本記事では、仕様情報をもとに、Cal.5626(デイデイト)とCal.5625(デイト)の違い、ワンピースケースの構造、クロノメーター仕様の特徴、そしてダイヤルバリエーションまで、56KSの全体像を解説します。

Cal.5626とCal.5625 ―― デイデイトとデイトの違い

キングセイコー 56KS Cal.5626A搭載モデル

56KSに搭載されたキャリバーは、大きく分けてCal.5626系とCal.5625系の2種類が存在します。

キングセイコーの搭載キャリバーとしてCal.5625とCal.5626が知られています。両者の基本設計は共通しており、いずれも自動巻き・ハイビートのムーブメントですが、カレンダー機能に違いがあります。

項目Cal.5626(5626A)Cal.5625(5625A)
駆動方式自動巻き自動巻き
振動数ハイビートハイビート
カレンダーデイデイト(日付・曜日)デイト(日付のみ)

Ref.5626-7000やRef.5626-7110にCal.5626Aが、Ref.5625-7041にCal.5625Aが搭載されていることが確認できます。いずれもハイビートの実用的なキャリバーです。

56KSがハイビートを採用したことは、キングセイコーの「高品質かつ実用的」という方向性を体現するものでした。

ワンピースケース ―― 前期型56KSの構造的特徴

56KSの初期モデル(前期型)には、ワンピースケースが採用されました。

ワンピースケースとは、ケースと裏蓋が一体成型された構造のことです。通常のスクリューバックのように裏蓋を開閉する仕組みではないため、防水性に優れています。ムーブメントの出し入れは風防側から行う設計となっています。

Ref.5626-7000およびRef.5626-7110がワンピースケースタイプとして確認されています。Ref.5626-7110は前期型のワンピースケースです。

裏蓋にはキングセイコーのメダリオンが刻まれており、ワンピースケースのモデルではメダリオンの状態が良好に保たれていることが多い点も特徴です。

なお、56KSにはワンピースケース以外のケースバリエーションも存在し、後期型ではスクリューバック仕様のモデルも展開されています。

セイコースタイルのケースデザイン

キングセイコー 56KS セイコースタイルケース

56KSのケースデザインは、いわゆる「セイコースタイル」と呼ばれる角張った形状が特徴です。

56KSのケースは「いかにもセイコーらしい角張った形状」「日本のスタンダードともいえる定番デザイン」と表現されています。このセイコースタイルは、1960年代後半のグランドセイコー(44GS)で確立されたデザイン文法を受け継いだもので、平面と稜線を活かしたシャープな造形が特徴です。

Cal.5626搭載のRef.5626-7000はセイコースタイルのワンピースケースに自動巻き・デイデイト・ハイビートを組み合わせた構成で、56KSの中でも代表的なリファレンスのひとつです。

クロノメーター仕様 ―― 国内検定を通過した高精度モデル

56KSには、通常仕様に加えてクロノメーター仕様のモデルも存在します。

56KSクロノメーター(Cal.5626搭載)およびRef.5625-7041(Cal.5625A搭載)のクロノメーターモデルが確認されています。

「国内にもクロノメーター検定が出来る施設が出来た本物のクロノメーター」とされています。これは、従来スイスの天文台等で行われていたクロノメーター検定が、日本国内の検定施設でも実施されるようになったことを意味しています。国内検定施設の設立により、セイコーは自社製品のクロノメーター認定を国内で取得できるようになりました。

クロノメーター仕様の56KSは、通常モデルと比較してより厳しい精度基準をクリアした個体であり、56KSの中でも特別なポジションに位置づけられるモデルです。

ダイヤルバリエーション

56KSの文字盤には、複数のバリエーションが存在します。

ダイヤルの種類は以下の通りです。

  • シルバーダイヤル:56KSの標準的な文字盤色。Ref.5626-7000等に見られる
  • ブラックダイヤル:Ref.5626-7110に採用されたブラック文字盤

ブラックダイヤルのRef.5626-7110は、前期型ワンピースケースとの組み合わせで展開されたモデルです。シルバー文字盤が主流の56KSにおいて、ブラック文字盤は異なる表情を見せるバリエーションとなっています。

なお、1960〜70年代の国産時計では、経年により文字盤にシミや腐食が生じている個体も多いことが記されています。文字盤の状態はヴィンテージ56KSの評価において重要な要素のひとつです。

56KS リファレンス・キャリバー一覧

キングセイコー 56KS リファレンス一覧

56KSの主要なリファレンスとキャリバーの組み合わせは以下の通りです。

Ref.キャリバーカレンダーケース備考
5626-7000Cal.5626Aデイデイトワンピースケースセイコースタイル
5626-7110Cal.5626Aデイデイトワンピースケース(前期型)ブラックダイヤル
5625-7041Cal.5625Aデイトクロノメーター仕様

いずれもハイビートの自動巻きムーブメントです。

こんな方におすすめしたい――56KSの楽しみ方

自動巻きのキングセイコーを日常使いしたい方

56KSはキングセイコーが手巻きから自動巻きへ進化した世代のモデルです。Cal.5626A(デイデイト)やCal.5625A(デイト)といったハイビート自動巻きキャリバーを搭載し、カレンダー機能も備えた実用性の高い構成になっています。「高品質かつ実用的」というキングセイコーの理念を日常で体感したい方に適しています。

ワンピースケースの構造に興味がある方

56KSの前期型(Ref.5626-7000、Ref.5626-7110)には、ケースと裏蓋が一体成型されたワンピースケースが採用されています。裏蓋の開閉がないため防水性に優れ、ムーブメントは風防側から出し入れする独特の構造です。通常のスクリューバックとは異なるケース設計に関心のある方にとって、興味深いモデルです。

セイコースタイルの角張ったケースデザインが好みの方

56KSのケースは、44GSで確立された「セイコースタイル」を受け継いだ平面と稜線を活かしたシャープな造形が特徴です。Ref.5626-7000はこのセイコースタイルのワンピースケースにハイビート自動巻き・デイデイトを組み合わせた構成で、56KSの中でも代表的なリファレンスです。角張った端正なケースデザインを好む方におすすめです。

クロノメーター仕様の高精度モデルを探している方

56KSには、国内のクロノメーター検定施設で精度検定をクリアしたクロノメーター仕様が存在します。Cal.5626搭載やRef.5625-7041(Cal.5625A)のクロノメーターモデルが確認されており、通常モデルよりも厳しい精度基準を満たした特別なポジションのモデルです。

56KSに関するよくある質問

Q: Cal.5626AとCal.5625Aの違いは何ですか?

A: 最大の違いはカレンダー機能です。Cal.5626Aはデイデイト(日付と曜日)、Cal.5625Aはデイト(日付のみ)を表示します。基本設計は共通で、いずれも自動巻きのハイビートムーブメントです。

Q: ワンピースケースとは何ですか?

A: ケースと裏蓋が一体成型された構造のことです。裏蓋の開閉がないため防水性に優れています。56KSの前期型(Ref.5626-7000、Ref.5626-7110等)に採用されました。ムーブメントの出し入れは風防側から行います。

Q: 56KSのクロノメーターモデルは通常モデルとどう違いますか?

A: クロノメーターモデルは、国内のクロノメーター検定施設で精度検定をクリアしたモデルです。通常モデルと搭載キャリバー(Cal.5626またはCal.5625系)は共通ですが、より厳しい精度基準を満たしている点が異なります。

Q: 56KSのハイビートとは何ですか?

A: ハイビートとは、ロービートモデルよりも高い振動数で動作するムーブメントのことです。56KSは自動巻きのハイビートキャリバーを搭載しており、キングセイコーの中でも精度面で優れたモデルとして位置づけられています。

まとめ

56KSは、キングセイコーが手巻きから自動巻きへ進化した世代を代表するシリーズです。

Cal.5626A(デイデイト)とCal.5625A(デイト)の2系統のハイビートキャリバー、防水性に優れたワンピースケース、国内クロノメーター検定をクリアしたクロノメーター仕様、シルバーやブラックのダイヤルバリエーション。これらの要素が、「高品質かつ実用的」というキングセイコーの理念をそのまま体現しています。

第二精工舎が追求した実用性と品質のバランスは、56KSにおいてひとつの完成形に達しました。56KSが示した「日常使いの高級機」という方向性は、ヴィンテージセイコーの中でも独自の魅力を放っています。

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