ロレックス サブマリーナ 14060・114060 ノンデイト解説
ロレックス サブマリーナのラインナップにおいて、ノンデイト(日付表示なし)モデルは一貫して特別な位置を占めてきました。デイト付きモデルがサイクロップレンズを備え実用性を重視する一方、ノンデイトモデルは左右対称の文字盤デザインと日付合わせ不要の手軽さで、多くの愛好家から支持されています。
本記事では、ノンデイト サブマリーナの近代3世代――Ref.14060、Ref.14060M、Ref.114060――を取り上げ、各リファレンスの特徴と世代ごとの変遷を解説します。ヴィンテージのRef.5512・5513については既存記事で詳しく扱っていますので、本記事では1990年代以降の近代ノンデイトに焦点を当てます。
ノンデイト サブマリーナの系譜

ノンデイト サブマリーナの歴史は、1950年代のRef.6204・6205に始まります。その後Ref.5508、Ref.5512、Ref.5513と続き、約27年間製造されたRef.5513が1989年に生産終了を迎えると、後継としてRef.14060が登場しました。
ノンデイトの系譜を簡潔にまとめると以下のようになります。
- Ref.5512 / 5513(1960年代〜1989年):Cal.1520 / Cal.1570搭載、200m防水
- Ref.14060(1990年〜2000年頃):Cal.3000搭載、300m防水へ強化
- Ref.14060M(2000年〜2012年頃):Cal.3130搭載、COSC認定追加
- Ref.114060(2012年〜2020年):Cal.3130搭載、セラミックベゼル採用
Ref.14060以降の3世代は、いずれも40mmケースと300m防水を共有しながら、ムーブメントや外装素材を段階的にアップデートしてきました。以下、各リファレンスの詳細を見ていきます。
Ref.14060の特徴
Ref.14060は1990年頃に登場し、2000年頃まで製造されたノンデイト サブマリーナです。先代Ref.5513からの最大の変化は、ムーブメントがCal.3000に刷新されたことと、防水性能が200mから300mへ強化された点です。
Cal.3000はロレックスが1980年代後半に開発した自動巻きキャリバーで、先代のCal.1520系から大幅に近代化されたムーブメントです。ケースサイズは40mmを踏襲し、逆回転防止ベゼルにはアルミニウムインサートが採用されています。
Ref.14060の製造期間中には、夜光塗料がトリチウムからルミノバ(スーパールミノバ)へと切り替わる過渡期がありました。初期の個体はトリチウム夜光で、文字盤6時位置に「T SWISS MADE T」または「T<25」の表記が見られます。後期の個体はルミノバ夜光となり、「SWISS MADE」表記に変わります。
ブレスレットは純正ステンレスの93150に501Bのフリップロッククラスプという組み合わせが標準です。無垢のオイスターブレスレットが採用されており、ヴィンテージモデルと比較して堅牢性と装着感が向上しています。
なお、Ref.14060はCOSC(スイス公式クロノメーター検定協会)の認定を受けていません。文字盤には「SUPERLATIVE CHRONOMETER OFFICIALLY CERTIFIED」の表記がなく、シンプルな2行表記(OYSTER PERPETUAL / SUBMARINER)となっています。
Ref.14060Mの特徴

Ref.14060Mは2000年頃に登場し、2012年頃まで製造されました。リファレンス末尾の「M」は「Modified(改良型)」を意味し、主にムーブメントの変更とCOSC認定の追加が行われています。
搭載キャリバーはCal.3130に変更されました。Cal.3130はCal.3135(デイト付きサブマリーナに搭載)からデイト機構を省いたキャリバーで、31石、28,800振動/時の自動巻きです。パラクロム・ヘアスプリングの採用により、耐磁性と耐衝撃性が向上しています。
COSC認定が追加されたことで、文字盤の表記も変更されました。Ref.14060では2行表記だった文字盤が、Ref.14060Mでは「SUPERLATIVE CHRONOMETER OFFICIALLY CERTIFIED」の4行表記となり、クロノメーター認定モデルであることが明示されています。ただし、Ref.14060Mの初期生産分にはCOSC認定なし(2行表記)の個体も存在するとされ、過渡期の仕様として知られています。
Ref.114060の特徴
Ref.114060は2012年に登場し、2020年まで製造されたノンデイト サブマリーナの最終世代です。ムーブメントはRef.14060Mと同じCal.3130を搭載していますが、外装面で大幅な刷新が行われました。
最も目を引く変更がベゼルインサートの素材です。従来のアルミニウムからセラクロム(セラミック)に変更され、傷や紫外線による退色に対する耐性が大幅に向上しました。アルミニウムベゼルのノンデイトサブマリーナを求める場合、Ref.14060MまたはRef.14060が最終世代となります。
ケースは40mmを維持していますが、ラグ形状の変更やケース側面の仕上げが改良されており、全体的により肉厚で重厚感のある印象になっています。ブレスレットは93250系に変更され、グライドロッククラスプを採用。工具なしで微調整が可能となり、装着感が改善されています。
Ref.114060は2020年に後継のRef.124060(Cal.3230搭載、41mmケース)にバトンタッチして生産終了となりました。40mmケース・ノンデイト・セラミックベゼルという組み合わせの最初で最後のリファレンスとして、独自の立ち位置を持つモデルです。
3世代比較表
| 項目 | Ref.14060 | Ref.14060M | Ref.114060 |
| 製造期間 | 1990年頃〜2000年頃 | 2000年頃〜2012年頃 | 2012年〜2020年 |
| ムーブメント | Cal.3000 | Cal.3130 | Cal.3130 |
| COSC認定 | なし | あり | あり |
| ケースサイズ | 40mm | 40mm | 40mm |
| 防水性能 | 300m | 300m | 300m |
| ベゼル素材 | アルミニウム | アルミニウム | セラクロム(セラミック) |
| 夜光塗料 | トリチウム→ルミノバ | ルミノバ | クロマライト |
| ブレスレット | 93150 / 501B | 93150 / 501B | 93250系 / グライドロック |

よくある質問
Q: Ref.14060とRef.14060Mの見分け方は?
A: 最もわかりやすい見分け方は文字盤の表記行数です。Ref.14060は「OYSTER PERPETUAL」「SUBMARINER」の2行表記、Ref.14060M(COSC認定後期)は「SUPERLATIVE CHRONOMETER OFFICIALLY CERTIFIED」を含む4行表記です。ただし、Ref.14060Mの初期個体には2行表記のものも存在するため、リファレンス番号での確認が確実です。
Q: ノンデイト サブマリーナはなぜ日付合わせが不要なのですか?
A: ノンデイトモデルには日付表示機構そのものが搭載されていないためです。デイト付きモデルでは月末(30日・31日の切り替わり)に日付の手動修正が必要ですが、ノンデイトではその手間がありません。また、サイクロップレンズ(日付拡大レンズ)もないため、文字盤が左右対称のすっきりとしたデザインになっています。
Q: Ref.114060のセラミックベゼルとアルミニウムベゼルの違いは?
A: セラミック(セラクロム)ベゼルは、アルミニウムと比較して傷がつきにくく、紫外線による色褪せが起きにくい特徴があります。一方、アルミニウムベゼルは経年で退色し、独特の風合い(フェード)が生まれるため、その変化を好む愛好家も少なくありません。素材の違いは実用性と経年変化の味わいという異なる価値観に関わるため、どちらが優れているかは好みによります。
Q: Cal.3000とCal.3130の主な違いは?
A: Cal.3130はCal.3000の後継にあたるキャリバーで、Cal.3135(デイト付き)からデイト機構を省いた構成です。Cal.3135は31石・28,800振動/時で1988年に導入されたロレックスの基幹キャリバーであり、Cal.3130はその設計を受け継いでいます。パラクロム・ヘアスプリングの採用による耐磁性・耐衝撃性の向上が主な改良点です。
まとめ
ノンデイト サブマリーナの近代3世代は、Ref.14060でCal.3000と300m防水を獲得し、Ref.14060MでCal.3130とCOSC認定が加わり、Ref.114060でセラミックベゼルとマキシダイヤルへと進化しました。基本設計の40mmケース・ノンデイト・300m防水は一貫しており、ムーブメントと外装の段階的なアップデートによって完成度を高めてきたことがわかります。
日付表示を持たないシンプルな構成は、ダイバーズウォッチの原点を感じさせるサブマリーナならではの魅力です。どの世代を選ぶかは、アルミニウムベゼルの経年変化を楽しむか、セラミックベゼルの耐久性を取るかなど、好みによるところが大きいと言えるでしょう。
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