プロ直伝!ヴィンテージウォッチ購入の際に必ず見るべきポイント
出演:野村店長×高橋(販売スタッフ)
古い時計は壊れやすい?
あまりヴィンテージウォッチに触れてこなかった方には、「壊れやすいのでは?」「上手く扱えるのだろうか?」といった不安があるのではないだろうか。確かに「古い=取り扱いが難しい」ものではあるが、見るべきポイントを押さえておけば安心!
今回は、年代も構造も違う時計を見ながら、ヴィンテージウォッチを選ぶ際のポイントを野村店長と販売スタッフの高橋さんが解説する。
まずは裏蓋をチェック!取り扱い要注意の1920年代
古い順に、1920年代の時計から見ていく。
「水もダメ、衝撃もダメ、磁気もダメ。扱いにくい時計ですね。耐震装置や防水性能がないのは昔の人からすれば当たり前だった。そう考えると今の人が使えないことはない。ただ、水や衝撃には気をつけたいですね。1920年代の時計を買う人はマニアックな人なので、ご理解いただいているかなとは思います」(野村店長)
「明らかに非防水ですものね」(高橋さん)
「選ぶときは裏蓋周りを見るのが大事で、腐食していて明らかに隙間が開いているものは注意しないといけないですね。表は綺麗でも裏蓋が腐食していて、汗も入ってしまうようなものがある」(野村店長)
ファイアーキッズでは仕入れの時に、表の見た目と同時に裏の状態もしっかり見て良し悪しを判断しているという。
「ヴィンテージのロレックスだとか左右でラグの太さが違うのがある。磨いてしまうと分かりづらいけれど、そういうところもチェックして買った方がいいと思います」(野村店長)
文字盤の状態も一つの指標に。1930年代
1930年代は防水性能が付き始めた頃だが、やはり裏蓋周りは丁寧にチェックする必要がある。
「裏蓋周りを見て、腐食があまりにも酷いようだと思いとどまった方がいいかな」(野村店長)
「耐震も付いていないですよね」(高橋さん)
個体(ケース)の状態を見るには文字盤も一つの指標で、文字盤が綺麗なものはケースの状態が良いものが多いという。
「焼け具合の濃いものでも塗料そのものが変質して色が変わっているものもあるので必ずしもではないけれど、ケースや文字盤の状態は見た方がいいですね」(野村店長)
ケースを見極めるためには、文字盤に余計な劣化がないかを確かめることも一つのポイントとなる。
丁寧に扱えば普段使いもOKの1940年代
オイスターケースで防水性能がある程度期待できるものでも裏蓋やリューズ周りは入念にチェックする必要があるが、1940年代以降になると水の侵入さえ気をつければ普段使いが可能だ。ただし、耐震性能が付いていないものは自転車やバイクなどの乗り物は避けた方がよいという。
「とにかく、1に防水。秋冬に使っていただくか、汗をかかないシチュエーションで使っていただくとよいですね」(高橋さん)
パッキンを交換できる1950年代
1950年代に入ると裏蓋やリューズ周りのパッキンが替えられるタイプが登場する。
「メンテナンスさえしっかりしていれば、汗程度の防水は期待できますよね」(高橋さん)
「そうですね。ただ1950年代は非防水の時計が多いので、その辺は要注意ですね」(野村店長)
この日、高橋さんが着けてきた1950年代の時計は、風防が曇っていたようだ。裏蓋が緩んでいたところに汗をかいたことが原因。やはり注意は必要である。耐震装置については付き始めているモデルもあるので、購入の際には専門店のスタッフに尋ねるとよいだろう。
安心感のある1970〜1980年代
この年代になるとサファイヤガラスが採用されたり裏蓋がスクリューバックになったりと、防水性能にも安心感が出てくる。野村店長によると、良い状態を期待していい年代だが、メンテナンスをしているか否かで差が出るという。
「ゴムパッキンが劣化するので、10〜20年使ってしまうと防水が効かなくなることもありますね。出来が良くなっているので防水は問題ないという認識で使っていると、ノーメンテナンスで裏蓋が腐食しているなんてことがありますよ」(野村店長)
年式が新しいものほど雑に扱われている場合があるので、やはり裏蓋やリューズ周りは古いものと同様にチェックした方が良さそうだ。
「総じて言えることはメンテナンスが一番大事!」(高橋さん)
「あとは、個体(ケース)の状態をチェックしてから買うようにしてもらうと良いと思います。僕らも仕入れの時は自分が使う気持ちになって行っていますので、そこは見ていただけると!」(野村店長)
今は、ネットオークションやフリマアプリでもヴィンテージウォッチが手に入る時代。野村店長は「当たりもあるがハズレも多いため、しっかりと裏蓋周りなど見てから購入を決めた方がいい」とアドバイスする。
「顔が綺麗で『これは当たりだ!』と思ったものが大ハズレなこともある。良いものを見ておくと状態の悪いものがわかるんですよね。買うか買わないかは別として、状態が良いものを見ておくことが大事かなと思います」(野村店長)
「(状態が良いものを見るのは)知識以上に大事かもしれませんね」(高橋さん)
安心できるお店で時計のプロに相談を!
今でこそ状態を見極められるプロの二人だが、失敗したこともあるようで……
「若い頃フリーマーケットで買った時に裏蓋に穴が開いていた。当時は裏蓋まで見なかったですね。とりあえず格好良いと思って買ったら、すごく曇るなみたいな。そういうのがありましたね」(野村店長)
「自分は角の時計を買って普段使いしていたけれど、風防が外れたエピソードがあります。知識がなかったのでビックリしました」(高橋さん)
「風防が外れるまではいいけれど、針がなくなるとか厄介ですよね。でもそういう失敗があってから気づく部分はあります」(野村店長)
あとは「安心できるお店で買うのも大切」という高橋さん。野村店長いわく、長年運営しているお店はおおかた大丈夫だと思ってよいようだ。保証の内容や質問への答え(ネガティブなポイントもしっかりと伝える)なども安心できるお店かどうかを見極めるポイントとなる。
ちなみに、ヴィンテージウォッチは半年保証のところが多いが、ファイアーキッズの保証は1年間と長め。3カ月保証と短いところは注意が必要だという。
まずは裏蓋の状態をチェックする——。これがヴィンテージウォッチを選ぶ際に外すことのできない第一のポイントと言えそうだ。