『エアキング』のギルトダイヤル36mm径はすべての好条件が揃ったモデル
ヴィンテージロレックスの名機『エアキング』Ref.5500。今回紹介するのは、1950年代後半にわずかに製造されたその派生モデルでRef.5504のブラウンチェンジしたギルトダイヤルだ。
希少なビッグサイズの『エアキング』Ref.5504
ロレックスは非常にマーケティング戦略に長けたブランドだ。各々のモデルに名付けたペットネームも然りで、これによって商品の魅力を駆り立てている。
『エアキング』はロレックス史上最も古いペットネームであり、1945年に誕生したこのモデルはパイロットウォッチとしてのルーツを持ち、航空の世界への憧れを抱いている。
歴代モデルのなかでヴィンテージウォッチとしての『エアキング』地位を確立させたのが、Ref.5500だろう。誕生したのは、1950年代後半だと言われており、1988年まで製造された。34mm径の小ぶりのサイズに人気があり、著名人だとセリーヌのクリエイティブディレクターであるエディ・スリマンが愛用者として知られている。
デイト表示付きの『エアキングデイト』Ref.5700など、Ref.5500にはいくつかの派生モデルがある。今回紹介する1959に製造されたRef.5504もそのひとつである。その特徴はケースにあり、34mm径のRef.5500より2mm大きな36mm径のケースを採用されている。このサイズ感によって、『エクスプローラー』や『デイトジャスト』により近い汎用性の高さを得ているのが特徴だ。
この個体はギルトダイヤルであることが大きなポイントだ。ただでさえ玉数が少ないRef.5504でしかもギルトダイヤルとなれば、非常に珍しい1本だと言える。しかもうっすらとブラウン化したトロピカルダイヤルと、コンディションはパーフェクトに近い。これだけ条件が揃った個体を探すことはかなり難しいと思われる。
ちなみにRef.5504には、3・6・9のアラビアンインデックスを持つ通称エクスプローラーダイヤルのバージョンがある。こちらモデルも非常にレアだが、合わせて注目したい。
writer
戸叶庸之
神奈川県出身。大学在学中に出版社でのアルバイトからマスコミ関係の仕事に携
わる。その後、カルチャー誌、ファッション誌で編集・ライターとして活動をスタート。Web媒体は黎明期から携わり、藤原ヒロシ氏が発起人のWebマガジン「ハニカム」、講談社「フォルツァスタイル」などの立ち上げに参加。現在は、各種メディアで執筆、編集、ディレクションのほか、Webマーケティングや広告案件に従事。時計については、趣味でヴィンテージロレックスを収集しつつ、年代やジャンルを問わず、様々な角度から高級時計のトレンドを常に追いかけている。