ロレックス『サブマリーナー』の魅力はさまざまな顔を持っていること
出演:遠藤×中根
今回は、ファイアーキッズの店頭に並ぶ(YouTube撮影時)ロレックス サブマリーナーを4本集め、商品部部長の遠藤さんと管理部の中根さんが語る。遠藤さん曰く「サブマリーナーはシリーズが多く、一部ミステリアスなモデルもある」という。4本を見比べながら、さまざまな顔を見せるサブマリーナーの魅力を掘り下げていく。
「ロレックスで最初に回転ベゼルを搭載したモデルをご存知ですか? ターノグラフが最初です。だからサブマリーナーが元祖ではないんですよ。今のモデルはベゼルが逆回転防止と言って酸素ボンベの時間を短く計測しないように配慮されているけれど、当時は両回転ベゼルでした」(遠藤さん)
希少な個体。ロレックス サブマリーナー 1966年製
1本目は、ロレックス『サブマリーナー 1966年製 Ref.5513』だ。
「これは人気ですよね!」(中根さん)
「そうですね。Ref.5513の特徴は、フチなしインデックスのドーム風防。40mm径で少々大きいサイズなので、リベットブレスとか巻きブレスだと不安感もあるんですけれど、雰囲気は抜群」(遠藤さん)
「リベットブレスにデベソバックルで格好良いですよね」(中根さん)
サブマリーナーは市場に出ている数が多い。そのなかでヴィンテージを選ぶ良さは、ベゼルやダイヤルに経年変化が表れることで唯一無二感や個性が加わることだ。
「いろいろなサブマリーナーがあるなかで、Ref.5513は27年の製造期間がある。Ref.5513は、メタファーストと呼ばれるという200mの防水表記が先に記されていて、かつミラーダイヤルです」(遠藤さん)
「サブマリーナーが人気だからこそ、細かな違いも注目されていくのだなと感じます」(中根さん)
「古いものになると、針が変わっていたり夜光が崩れてしまったりするじゃないですか? それがヴィンテージの価値としては下がることもあると思うけれど、その辺り、中根さんはどうですか?」(遠藤さん)
「自分は、なるべくオリジナルの状態を残していた方が好きです。個体のトータルの雰囲気ですかね。あまりに見栄えが悪すぎても良くないし、綺麗に直して違和感があっても良くはないと思うので、その辺りは難しいところではあります」(中根さん)
「僕は20年くらいヴィンテージに触れてきて、最初は完璧な物が欲しかったけれど、だんだんと『手が入れられている物=メンテナンスしている』という見方に変わってきた時に、それも一つの個性に見えた。違和感があるのは嫌だけれど、きちんとメンテナンスしているものは『悪くないな』と思えるようになりました」(遠藤さん)
この後に紹介する3本は、ヴィンテージとしては比較的新しい1980年以降の製造であるため、経年変化が少なく見た目の綺麗さが保たれている時計だ。遠藤さんは「気にしないで着けられる精神安定上良い時計」だと話す。
製造期間は3年のみ!ロレックス サブマリーナーデイト
2本目は、ロレックス『サブマリーナーデイト 1986年製 Ref.168000 トリチウム夜光』を紹介する。
「Ref.168000は1986年製。先ほどの時計よりも20年くらい新しくなっているので、使いやすく感じる」(中根さん)
「圧倒的に使いやすいです。ヴィンテージではあるけれど、インデックスもフチありになっていますし、トリチウムが残っているだけで現行っぽい雰囲気はありますよね」(遠藤さん)
Ref.168000という6桁の品番は、3年しか製造されていないといわれている。ロレックスはリファレンスが変わる場合、何かしらマイナーチェンジされているはずだが、これはマイナーチェンジが見られない個体だ。何かしら情報はあるのかもしれないが、今のところ見つけられておらず、遠藤さんは「ミステリアスな個体」と表現する。
フチあり夜光のロレックス サブマリーナー
続いて紹介するのは、ロレックス『サブマリーナー 1989年製 Ref.5513 最終L番 フチあり夜光』。1本目と同じRef.5513である。
「昔のヴィンテージ業界では圧倒的にフチなしが良かったけれど、製造から35年経っているので、僕が時計を見始めた時のフチありともちょっと印象が変わってきていています」(遠藤さん)
サブマリーナーのほかGMTなどにも言えるが、ベゼルの退色具合も印象を左右する。後年式のベゼルでも退色するケースがあるという。その理由は、ベゼルに施されたトップコートが使っているうちに取れてしまうこと。トップコートが剥がれることで一気に退色が進んでしまうが、それもまた味が出てくる。
「1980年代のサブマリーナーでも色が変わっているやつがあるんですよ。そういう個体は逆に魅力的に感じますね」(遠藤さん)
ダイヤ&サファイア付き。ロレックス サブマリーナー
最後、4本目に紹介するのは、ダイヤとサファイヤが光るロレックス『サブマリーナー 2001年製 コンビ Ref.16613 K番 グレーダイヤル サービスギャラ付き』だ。
「これは自分が使っている青サブの文字盤違いですね。自分の時計は1997年製ですがリファレンスも一緒です」(中根さん)
「良い時計着けていますね! こちらのRef.16613は、ダイヤルにダイヤとサファイアが入っているタイプです」(遠藤さん)
「パッと見、この4本の中ではこれが一番格好良い。やはり僕はこういうのが好きなんだなと感じます」(中根さん)
「物の見え方は時代によって変わりますね。1990年代はコンビに対しての印象があまり良くなかったんです。でも、今はすごく格好良く見えます。面白いのが、若い方が抵抗なく選んでいるイメージがあって、中根さんが着けているのも違和感はないですね。重さはどうですか?」(遠藤さん)
「正直、重さは慣れているので重い感じはしないです。逆に、他の時計を着けたときに『なんか軽いな』って感じてしまいます。今はほかの時計だとしっくりこないです」(中根さん)
一口にサブマリーナーと言っても印象の異なる4本。どんなサブマリーナーが良いかは意見が分かれるところだ。遠藤さんは「魅力的だからこそモデルとして最前線にいるんでしょうね」と語る。ロレックスではデイデイトが最高峰といわれているが、サブマリーナーの方が認知されており、“ロレックスといえばサブマリーナー”という方も多いようだ。