「ロレックスが20万円代?」今がお買い得なヴィンテージ腕時計3選
時計マニアが集まるFIRE KIDSのスタッフが、ヴィンテージ時計の魅力を伝えるYouTubeコーナー。毎回異なるテーマで、厳選されたモデルをご紹介する。
ヴィンテージ腕時計は「市場価値」が全てではない。あまり注目されていないモデルでも「名品はたくさんある!」ということで、ヴィンテージ腕時計屋が「今この値段はお買い得」と考える狙い目のヴィンテージ腕時計3本を、FRIE KIDSの遠藤と中根がおすすめポイントとともに語る。
性別問わないボーイズサイズ。ロレックスの『スピードキング』
まず1本目は、ボーイズサイズで性別関係なく使用できるロレックスの『スピードキング 1942年製 Ref.3121 手巻き アルファハンド』。このモデルに限らず、ボーイズサイズの腕時計は比較的リーズナブルなモデルが残っているとのこと。

「小さめなケースデザインやアルファハンドだったり、ヴィンテージ感が出ていて非常に良い時計です。価格はなんと28万円という、お得感の塊みたいな時計です」(中根さん)
「ちゃんとアルファファンドで、ブルースチール秒針、ミニッツサークルというポイントがたくさん詰まっているので、時計屋から見てもすごく良い値段・時計ですよね」(遠藤さん)
ヴィンテージ市場が確立しているロレックス。1940年代というと、やはりバブルバックやミラーダイヤルが注目されており軒並み価格が上がっているが、そこから外れると安くなるという仕組みだそう。
「今の時代に普通に考えて、30万円以下でロレックスが手に入るってあまりないですよね」(中根さん)
「しかもインデックスは黒でクラウンはゴールドだったり、あとラジウム夜光は真っ黒になっていくんですけど、その黒くなったラジウムが時計の雰囲気を邪魔してないのも良いです」(遠藤さん)
手巻きでノンデイト、ダイヤルには砲弾インデックスにアルファハンドを配した非常に使いやすい1本だ。
シンプルで使いやすいIWCのレディース『Cライン』
2本目は、IWCのレディース腕時計『1977年製 Ref.R4109 純正尾錠付き 手巻き Cal.41』。ここ10年ほどで、レディースファッションでもヴィンテージの価値が見出されて人気が出てきているが、IWCに限らずレディースの時計はまだお得感があるという。

「現行時計だとサイズ径がそれなりに大きいものが出てきているので、そんな中で当時のこの小さい30mmアンダーのレディース時計というのは良いですよね。あとはやはり価格が魅力です」(遠藤さん)
「デザインも洗練されていて良いですよね。シーラインのケースやインデックスの12時・3時・6時・9時にちょっと太めのインデックスも」(中根さん)
サンレイ仕上げの2針のダイヤルは、IWCらしくシンプルで美しく実用性も高い。価格は10万8,000円。
「腕時計を小さくする技術はすごく高度と言われているんですよね。レディースの時計はかなり小さいので着けるかどうかは別として、ムーブメントなどの技術の結晶としては、小さいものにより魅力を感じるんですよね」(遠藤さん)
初代グランドセイコーに繋がる。セイコー『ロードマーベル』
3本目は、セイコーの高級機『ロードマーベル 1960年製 Ref.J14038 手巻き 彫文字ロゴ SDダイヤル』。価格は22万円。

「なぜ選んだかというと、このロードマーベルの彫り文字盤はグランドセイコー ファーストに繋がっていくと思うんですよ。初代グランドセイコーの最初はプリントロゴで、その後彫り文字盤、彫りロゴになってアップライトに変わっていくんですけども、系譜を踏んでいるシリーズですよね」(遠藤さん)
「確かにグランドセイコーのプロトタイプですと言われると、ちょっとカッコいいかなという感じがしますよね」(中根さん)
ステンレスラウンドケースにドルフィンハンドのシンプルな1本。高級感のあるSD文字盤で、ロゴは彫り文字になっている。
「グランドセイコーファーストの親戚というか、一世代前のモデルで22万円。まだ手が届きやすい価格なのに歴史を感じられる」(遠藤さん)
「単体で見るよりも、系列や大きい枠組みで見ると、もっと価値は本当は高いんじゃないかというモデルがたくさんありますよね」(中根さん)
時計は「市場価値だけじゃない」と遠藤さんは話す。搭載機械や歴史などを突きつめていくのも良いが、世間は「こっちの方が良い」と言っていても、「私はこう思う」と自分の考えを軸に時計を選ぶのも楽しい。市場価値に縛られずに、隠れた名品を探してみてはどうだろうか。
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