腕時計を買うなら新品or中古? ヴィンテージのプロが教える後悔しない“最初の1本”の選び方
時計マニアが集まるFIRE KIDSのスタッフが、ヴィンテージ時計の魅力を伝えるYouTubeコーナー。毎回異なるテーマで、厳選されたモデルをご紹介する。
高級腕時計を初めて購入する際、多くの人が迷うのが「どこで買うべきか」「新品か中古か」「正規店か並行輸入店もしくはヴィンテージ店か」といった選択肢ではないだろうか。今回は、ヴィンテージ腕時計専門店のFIRE KIDSの野村・葛西・石原の3名による“時計の買い方入門”から、失敗しないためのリアルな視点をチェックしていく。
新品or中古、正規店or並行店のメリットと注意点
まず野村さんが語るのは、「正規店で新品を購入するのが一般的」という基本的なスタンスだ。
「正規直営店や正規取扱店であれば、メーカー保証や修理対応の面で安心感があるよね。メーカーによっては“正規購入でなければ修理を受け付けない”というケースも存在するから、何が欲しいかによって、どこのお店で買うべきかは違ったりするね」と話すが、人気モデルの入手は簡単ではない。
「たとえばロレックスのようにプレミアムがつくモデルは、正規店に並ぶことすらほとんどない」と言うが、並行輸入店には価格的な利点もある。

「為替の影響などで、正規定価より安く並行品が手に入ることもあったりするから、そういう買い方もアリかな」と野村さんはいう。
現在、正規店で欲しい時計が買えないという状況もあり、中古やヴィンテージ店で探している人が多いが、そういった店を利用する際は、正規店での修理が難しい可能性を頭に入れておく必要がある。
ヴィンテージ時計の魅力と落とし穴
FIRE KIDSが得意とするのは、まさにヴィンテージや中古の領域。「ヴィンテージ腕時計は、当時のオリジナルパーツがどれだけ残っているかで価値が大きく変わりますよね」と葛西さんは話す。
ただし、「価値が下がる=悪い時計」というわけではないと野村さんが補足する。
「たとえばロレックスの時計を40年前に購入して、定期的にメーカーでメンテナンスを受けていたとするよね。メンテナンスを受けていればその過程でパーツが交換されるのは当たり前の話で。使っている本人にとっては大切に使ってきた時計だけど、オリジナルを重視するコレクターから見るとマイナスになるから、価値観の問題だよね」と語る。
ネット購入にひそむ“リスク”とは?
最近ではヤフオクやメルカリなど、ネットで時計を購入する人も増えている。しかし野村さんは「正直、アタリもあればハズレもあるとしか言いようがなくて」と話す。
「チューダーの『デカバラ』は半数以上が偽物だよね。オメガの『シーマスター300』に至っては、8割が偽物という場合もあるので」と語る。
「『本物かどうかわかりません』という曖昧な説明でヤフオクで買った人が、『本物』として売っているようなケースもあるから、見る目に自信がない人はやめておいた方が良いと思う」と注意を促す。
ネット購入は非常に難しく、野村さんは「プロで相談ができる人は作っておいた方が良いんだよね、中古店やヴィンテージ店でも良いから」と語る。
「正規店では新品の“良い部分”しか語られないが、ヴィンテージ店では“新品の弱点”や“中古・ヴィンテージの魅力”も含め、本音で情報提供ができる」と話す。
さらに、「10年後にそのブランドが残っているかどうか」も、時計選びの大事な判断材料になるという。
「1970〜1980年代のクォーツショックでは、スイスの時計ブランドの3分の2がなくなったから。現在のブランドの中には、10年後に存在していないところもあるかもしれない。長く使用するために修理対応を考えるなら、“ブランドの継続性”にも注目した方が良い」と野村さんは語る。
新品か中古か、正規店か並行輸入か、あるいはヴィンテージか。時計の買い方に絶対的な正解は存在しないが、知識がないままネットで買ったりすることにはリスクが伴う。最終的に大切なのは、信頼できる相手から購入することだ。まずは、プロに相談することから始めると良いのではないだろうか。
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