昭和の大スターから若手実力派まで。著名な俳優が愛用するヴィンテージウォッチはコレだ!
出演:野村店長×藤井(販売スタッフ)
石原裕次郎さんが愛したロレックス『GMTマスター』
「憧れの芸能人が着けている時計が欲しい!」という人も多いのではないだろうか。今回は著名な俳優から愛されてきた時計を3本紹介する。
昭和の大スター石原裕次郎さんは、ロレックスの『GMTマスター』を愛用していた。彼が着けていたのは“ロングE”と呼ばれるもので、ROLEXの“E”の真ん中の線が長めに書かれているものである。ここで紹介している『GMTマスター』(1977年製 Ref.1675 ペプシ)は“ロングE”ではないが、赤&青のペプシベゼルを着けていたので取り上げる。
野村店長は、石原裕次郎さんが着けていた実物を『石原裕次郎の軌跡』展にて見たことがあるという。
「ガラス越しですけれど、じっくり眺めてきましたよ。渡哲也さんや神田正輝さんも来ていて、ミーハーじゃないけれど格好良い人だなと思ったよね。それこそ石原裕次郎さんって凄かったのだろうな」(野村店長)
「皆さん、太陽みたいな人だったとおっしゃいますよね」(藤井さん)
いつも24時間表示のベゼルをずらしていたようだが、野村店長は「ハワイ時間に合わせていたのでは?」と推測する。ハワイに別荘を持っていたようなので、あり得る話だ。
「ドラマを観ていても何かずれているなとハッキリわかるので。彼のトレードマークだったと思うんですよね。しかも裕次郎さんは右手にしていますから。そこがまた格好良いですよね」(藤井さん)
古い日本映画に詳しい藤井さん曰く、1960年代には左手に着けていたこともあったようだが、いつの間にか右手にしており、ずらされたベゼルとともに彼の個性になっていたようだ。
「あのクラスの人が着けると目立つしね。ロレックスの良い宣伝になったと思いますよ。時計も格好良いし、石原裕次郎さんも格好良いし」(野村店長)
「男性ファンが多いのがあの時代のスターの特徴ですよね。これ系の話は止まらなくなっちゃいます(笑)」(藤井さん)
価格は268万円。石原裕次郎さんはロレックスの他に、ピアジェやコルムもコレクションしていたようだ。
>>GMTマスターをもっと知る
木村拓哉さん所有で話題沸騰!オメガ『スピードマスター』
続いて紹介するのは、二人とも「ゴツいですね」と語るオメガの『スピードマスター125』(1973年製Ref.378.0801)。2000年前後に木村拓哉さんが着けていたことで話題になったモデルだ。2000本限定で製造されている。
「1972年製と1973年製、なぜか1974年製がある。1973年がオメガの125周年なの。だから前年から作っているのはわかるけれど、なぜか1974年製がある。本数も諸説あって、本当は4000本じゃないかとか6000本という話も……。そんなにレアだと思っていなかった」(野村店長)
「確かによく見かけますよね」(藤井さん)
「1972年製があるけれど、僕も木村拓哉さんも1972年生まれなんだよね。たぶん1972年製を買ったんじゃないかな? 某雑誌の編集長さんが買ってプレゼントしてあげたという話がある」(野村店長)
「それは貴重な話ですね」(藤井さん)
機能面は、日付表示とクロノグラフ付き(針は2本で60秒計の下に60分計)で、自動巻きのクロノメーターと125周年にふさわしい1本だ。
「1969年に自動巻きクロノグラフが製品化されて、わずかの期間でクロノメーターも出る。すごいよね」(野村店長)
ムーブメントはレマニア。レイアウトはRef.5100に似ているが、構造はRef.861に近いといわれているという。
野村店長は「みんな探していたよね。一瞬にしてなくなった。何でこんなに売れるの?という状態になった」と話題になった当時を振り返る。売った値段よりも高く仕入れなければならない状態になったようで、その影響力から木村拓哉さんのスターぶりがうかがえる。
価格は52万8千円。
「レア度を考えると安くない? 1973年生まれの人はちょうど50歳。これを着けたら腕が上がらなくなっちゃうかもしれないけれどね(笑)」(野村店長)
「なかなか重量がありますね。後にも先にもこういう時計はないんじゃないですか?」(藤井さん)
先にエルプリメロやブライトリングがクロノマチックを売り出しており、オメガは自動巻きクロノグラフの開発は後れをとっていた。しかし、125周年に一歩先をゆくクロノメーター版を出したかたちになる。
「たぶん開発を急いだ分、分厚くなっちゃった。どうやって誤魔化そう?みたいなものがケースから見て取れる。面白さ、インパクトがあるよね。開き直ってデカくしちゃおうぜ!みたいな、そういう凄さがあるよね」(野村店長)
着けこなすには時計に負けない存在感が必要か?と思わせる1本だ。
菅田将暉さん効果で若者にも人気?オメガ『コンステレーション ジェンタ』
最後に紹介するのは、野村店長が「名前は知っているけれど顔が思い浮かばない」と苦笑いする、今をときめく俳優の菅田将暉さんの1本。オメガ『コンステレーション ジェンタ』(1968年製 リネンダイヤル デイデイト ブレス付き)だ。別名“Cライン”と呼ばれている。
「若い人がこういう良いものを使ってくれているのは嬉しいね。最近は若い人が狙っているのよ。菅田さんの影響があるのかな?」(野村店長)
「けっこう影響力ある人なのであると思いますよ」(藤井さん)
現行モデルは比較的大きいが、Cラインは日本人にちょうどいいサイズ感で細身の菅田さんにも似合う。野村店長が「着けた時のフィット感が最高」と語るデザインは、時計デザイナーの先駆者ジェラルド・ジェンタ氏によるもの。ジェンタ氏の時計はブレスまでデザインされているという。
価格は19万8千円と手が出しやすいうえ、当時のグレードはオメガ最高峰だ。
「1970年代の輸入時計カタログを見ていたら、当時『コンステレーション』は9万6千円(ブレス別売り+数千円)で、『シーマスター300』がブレス付きで7万8千円。それくらいグレードが高い時計なの」(野村店長)
「本当ですか? 今では価格が反転していますけれど。作りや機械という点ではこっちの方に力を入れていたということなんですね。これはだいぶお買い得!」(藤井さん)
Cラインには前期と後期があり、この『コンステレーション』は前期型になる。最初は日付表示のみだったが、のちに曜日が追加されてデイデイトになった。
なぜこんなに安いのか……。その理由は売れたからだと説明する野村店長。ジェンタ氏は『コンステレーション』を手掛けた後にパテックフィリップの『ノーチラス』などをデザインしているが、『コンステレーション』に比べて流通しなかったことから、そちらの価格は高め。『コンステレーション』は良い時計ながら割安となっている。
ちなみに、『コンステレーション』のCラインは安倍晋三元首相も愛用していたのをご存知だろうか。リオオリンピックの閉会式で流れたムービーのなかで、車に乗る安倍元首相が時計を見るシーンがあるが、その時計が『コンステレーション』である。
「スーツでサラッと時計を見るシーン。シャツの袖から『コンステレーション』が出るのは格好良いもんね。若い人からおじさんまで支持されている一生モノの時計」(野村店長)
このCラインは、WOWOWの連続ドラマ『フィクサー』の撮影に貸し出されたとのこと。現在WOWOWオンデマンドにてSeason1の全話が配信されている。主演俳優が着けているようなので気になる方はぜひチェックを!
どんな時計が良いのかわからないという方は、憧れの人が着けている時計を調べるところからスタートするのも面白いかもしれない。