IWCを腕に着けていることを、周囲が気づいてくれることが何より嬉しかった~総合広告代理店勤務 壬生恭平

2023.08.10
Written by 土田貴史

文=土田貴史

時計好きに「あなたの時計、見せてください」という企画。今回、時計を見せてもらったのは、営業職を経て、現在は大阪の総合広告代理店にてマーケティング業務を担当している壬生恭平(みぶ・きょうへい)さん(36歳)。愛用モデルは、IWC『ポルトギーゼ・クロノグラフ』である。

ずっと昔からあるデザインのものがいい

「新卒で入った会社で、はじめて営業成績が残せたタイミングでした。その時に、何か自分のステータスになるものが欲しいと思ったんです」

壬生さんは社内の仲間、先輩に相談しながら、IWC『ポルトギーゼ・クロノグラフ』を選んだ。

「オメガ、ロレックス、タグ・ホイヤーなども勧められるなかで、一番、自分自身っぽいと思ったのがIWCでした。アンティークっぽさがあり、なおかつ高級感がある。そして予算100万円の範囲内で収まる(※当時)。そう考えていくと、この時計だなって」

IWCはデザインの普遍性が高く、トレンドを追わない。機能に直結しているゆえに、見た目も過去のモデルと大きく変わらないのだ。そんなところに、壬生さんはアンティーク感を感じたのだろう。ちなみにクロノグラフを選んだ理由を尋ねると「そこは直感ですかね」と、即答。もっと予算があったら、違った選択になっていたかもしれないが、「普段使いするのに、あまり高額なモデルだと気疲れしてしまいますしね」。

それでも購入直後の率直な感想は、「これで富裕層の仲間入りをした感じがありました(笑)」。自分自身の腕にフィットする満足感もさることながら、IWCを腕に着けていることを、周囲が気づいてくれることが何より嬉しかったそうだ。

「『ええ時計、してるやん!』っていう。あるいは『この時計を着けているなら、きっと仕事ができるんだろう』と思ってくれるクライアントが結構いました。腕時計によってワンステージ上がった感触が、周りの反応から感じられたことを今でも覚えています」

腕時計は、コミュニケーションツール。身につけている腕時計が、その人自身を表すものだ。なかでもIWCのブランドイメージは「機能美」「実直」「スマート」。そんなイメージを着用者本人にも重ね合わせることが多いのではないだろうか。

”IWCが好き”という共通項がつなぐ肯定感

「クルマと一緒。自分が乗っているクルマって、街中で目にとまると、つい見ちゃうじゃないですか。腕時計もきっと同じで、自分もIWCを着けている人を見てしまいます。そして、何となく自分と似ているなと」

IWCとは、知る人ぞ知る時計ブランド。いわゆるラグジュアリーブランドとしての立ち位置から、さらに一歩踏み込んだ存在だ。それゆえに、時計をよく知っている人だけが、IWCと気づく。ましてや、IWCユーザー同士ならば、両者の距離感は一気に詰まる。

「やっぱりIWCを持っている人って、『IWC着けてるやん!』っていう会話が結構あるんですよ。他のブランドもそうなのかわかんないですけど。でも、そういう打ち解け方って案外いいものだなと思っています」

ちなみに時計を通じて、人との出会いにいい変化が起きたことはあったかどうかうかがうと……

「僕、昨年に結婚したんですけど、向こうのご家族にご挨拶に行ったときに、やっぱり打ち解けるのが早かったと思います」

じつはお母様から、腕時計を褒められたそうだ。もしかするとブランドを熟知しているわけではなかったかもしれない。それでも、いいもの感は伝わったはずだ。そのことが、娘の結婚相手の収入に対する不安を払拭する一助になったかもしれない。言葉で言い表しにくいことを、代わりに時計が語ってくれた好例である。

ちなみに壬生さんは、『ポルトギーゼ・クロノグラフ』以降、次の1本にはまだ手を出していない。IWCをもう1本欲しいなと思っているそうだが、タイミングよく買えていないそうだ。

「この『ポルトギーゼ・クロノグラフ』よりも、もっと気兼ねなく普段使いできるIWCを買おうとしていたんです。ベルトもレザーではなく、ファブリックストラップのものとか。いい出会いがあったら欲しいなと、常に思っているんですけど」

確かにファブリックストラップならば、汗ばむ季節にも普段から着けられるだろう。なるほど、いい選択である。一方で、購入に至るまでにあれこれと悩むのも時計の楽しみのひとつだ。だから焦らず、プロセスを楽しむべきなのである。そのスタンスを自然に実行している壬生さんは、まさに「実直」「スマート」。やはり、IWCのブランドイメージに、そのまま重なってくる。

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土田貴史

土田貴史

ワールドフォトプレス『世界の腕時計』編集部でキャリアをスタート。『MEN’S CLUB』『Goods Press』などを経て、2009年に独立。編集・ライター歴およそ30年。好きが高じて、日本ソムリエ協会の「SAKE DIPLOMA」資格を保有。趣味はもちろん、日本酒を嗜むこと。経年変化により熟成酒が円熟味を増すように、アンティークウオッチにもかけがえのない趣があると思っている。「TYPE 96」のような普遍のデザインが好きだが、スポーツROLEXや、OMEGA、BREITLINGといった王道アイテムも、もちろん大好き。

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