初めて買ったヴィンテージ時計は何?スタッフがヴィンテージの良さを語り尽くす

2023.12.07

出演:野村店長×高橋&クリス(販売スタッフ)

スタッフ高橋:デザインに一目惚れ!オメガ『コンステレーション』

今回のお題は初めて買ったヴィンテージ時計について。ファイアーキッズのスタッフが、初めて手にしたヴィンテージ時計について熱く語る。

宮城県仙台市出身の高橋さんは、高校2年生の時に地元のヴィンテージショップにてオメガの『コンステレーション』(12角 デイト付き)をセールで購入。デザインに惹かれたのが決め手だという。

ブレスなしを買い、ガルーシャのブレスを付けて普段使いしていた高橋さん。「ガルーシャの高校生!? インパクトあるね」と野村店長は驚きを隠せない。

「日本の学校だと校則が厳しそうなイメージがあるんですけれど、どうなんですか?」(クリスさん)

「男の人は洋服の制約ってあるじゃないですか? 中学、高校、大学で少し自由になりますけれど、社会人になっても堅い服装で仕事する。でも腕時計だけは治外法権というか許されていましたよね。金無垢だけはちょっと……というのはありましたけれど、唯一男が個性を出せるアクセサリー。自分の個性を表現できるのは腕時計だった」(高橋さん)

制服があったり、仕事でもスーツを着たりと、何かと自由が利かないファッションのなかで、唯一個性が出せる時計にはこだわりを持つ人が多いのは頷ける。

野村店長:綺麗なやつこそ正義!チューダー『デカバラ』

野村店長の初のヴィンテージ時計は、高橋さんと同様に高校生の時に手にしたオメガ。『シーマスター』を購入したという。買った理由は安かったから。当時の価格は1万8千円で、今の感覚でいえば3〜4万円のイメージだ。すでに初めての『シーマスター』についてはYouTubeにて語っているため、その半年後に買った2本目、チューダー『デカバラ』(ブラック 1964年製)について深掘っていく。

「自動巻き。プリンスオイスター、デイト付きの黒のリダンダイヤル(修復した文字盤のこと)。今も人気があるモデルですね。『デカバラ』は綺麗なやつこそ正義。自動巻きだけれど巻き上がらなかったから、半分手巻きくらいの気持ちで使っていたかな」(野村店長)

「メンテナンスできていなかったとか?」(高橋さん)

「定期的に分解掃除したかと言われるとしていなかったかな。高校生でお金もなかったので。こういうものだと思って使っていたかもしれないです」(野村店長)

「オーバーホールは今の価格と変わらないですか?」(クリスさん)

「オーバーホールも1万5千円とかで安かった。今80代90代の人たちが現役の頃は、安くオーバーホールしてくれたんですよね。その人たちが引退して、今やオーバーホールは3万円〜見たいな感じですけれど。時代を考えると1万5千円が3万円になってもおかしくないのかな」(野村店長)

当時3万円台で購入したという『デカバラ』。今ならば6〜7万円くらいの価値だろう。高橋さん曰く、その昔『時計Begin』という雑誌で取り上げられ、“バラチュー”という言葉が流行っていたという。野村店長が購入したのはその言葉が流行る前だ。

「当時から人気があったのですね」(高橋さん)

「人気があったというか見つけちゃったみたいな。フリーマーケットとかで自分で見つけるのが楽しくて仕方がない頃。価格的にも頑張れば買える時代だったので、似たような時計を買っちゃうんですよね」(野村店長)

「ブレス付きでしたか?」(高橋さん)

「ブレスは後からリベットを買いました。『リベットで良いの?』みたいな安物扱いだった。ただ、オリジナルにうるさくない時代ですよね。だからリダンしているものも多かったし」(野村店長)

「リベットが安物扱いされていた時がありましたよね。時計に関して、今の方が細かく細分化されていますし、メンテナンスに関しても今の方がしっかりしている気がしませんか?」(高橋さん)

「それはその通りです。1990年代はメーカーに出して、ケース・文字盤・針を全部変えるのが流行りましたもんね。だからオリジナル云々よりも、その性能を維持して綺麗な方が良いみたいな時代でした。今オールニューにしたら『バカじゃないの?』という話だけれど、当時はそれが凄かった」(野村店長)

「まだたくさんオリジナルがあったからですもんね」(クリスさん)

「ちょっと文字盤がヤレていたら『メーカーに出しちゃえよ』みたいな時代でしたね。俺はそういう“ヤレている時計”が好きだったので、当時から(オリジナルから変えることは)邪道だなと思っていたけれど、当時はそれを自慢する人がたくさんいた」(野村店長)

野村店長は、若い時から流行りに惑わされずこだわりを持っていたことがうかがえる。

クリスさん:エレガントさに衝撃!ロレックス『バイセロイ』

「グレードが別格ですね」と言われるクリスさんの初ヴィンテージは、ロレックスの『バイセロイ』だ。

「これはバイセロイのケースにイギリスのBONKLIPの金張りですね。バイセロイ最高!」(クリスさん)

「はい。おしまい(笑)一人だけ飛び抜けているね。セレブなんじゃないの?」(野村店長)

「いえいえ! いろんな思いはあるんですけれど衝撃でした。それが一番かもしれないですね。現行のものは40mmや41mmのケースで体も大きいので良かったですけれど、ヴィンテージの世界に入って『なんだこの小さい時計は! 何か呼ばれている気がする』と感じた。2週間くらい着けてみては、野村さんと毎日1時間ほどバイセロイやバブルバックについて話して『これでしょう!』と決めました」(クリスさん)

「クリスは初めて(ヴィンテージの世界に)入ってきた時、衝撃だったでしょう?」(野村店長)

「衝撃でしたね。サイズだけじゃなくブレスレット自体がこういうエレガントで華奢なものを着けたことがなかったので。前々からエレガントさは好きでした。ただ、ヴィンテージ時計のエレガントさってちょっと違うと思う。小ぶりなものをサラッと着けるのが心地いい」(クリスさん)

「アメリカンウォッチはアメリカ人が着けるサイズなんだよね。身長が180cmもあるような人がこういう小さい時計を着けていると格好良いじゃない?」(野村店長)

「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のビフみたいな奴がね(笑)」(高橋さん)

「それはあまり格好良いイメージにならないかも(笑)海外のディーラーとかで190cmもありそうな大男が、サラッとバブルバックを着けているとすごく格好良いのよ」(野村店長)

クリスさんはその語り口と同様に、独特の感性で時計をチョイスしているのがわかるエピソードだ。

それぞれが感じるヴィンテージ時計の良さとは?

最後に、それぞれが感じるヴィンテージ時計の良さについて語る。

「経年変化とか言いたいところですけれど、あまり経年変化系のものを持っていないんですよね。コンディション良い系が多いんですよ」(高橋さん)

「私がヴィンテージをチョイスする理由は、年代が広い分、歴史も広い。最終的にインスピレーションでチョイスすると思うけれど、そのインスピレーションの幅が広い」(クリスさん)

「自分の一本を見つけられる世界ですよね。経年変化もしかり、レアとかコンディションが良いとか。サイズ感も大きいのも小さいのもあるじゃないですか。もちろん現行には頑強さや精度、耐久性など圧倒的に勝っている部分もあるけれど、使うほど自分に馴染んでいく……そんな一本がヴィンテージにはあります」(高橋さん)

「格好良いこと言うね。僕らの頃は3〜5万円で良い時計が選べたけれど、今の世の中10万円では選べないわけじゃないですか? でもヴィンテージやアンティークの世界だとブレスが付いても30万円なわけで、新品の『コンステレーション』を買いましょうと言ったら一桁は高い。そう考えるとヴィンテージ時計は入り口として良いと思う」(野村店長)

「そこは国産最高!のポイントですよね」(クリスさん)

「だから新品の国産に10万円を出すという手もある」(野村店長)

「新品の国産で10万円? 大したものは買えないですよね。10万円のラインは選べる幅が狭くなっちゃっている。ラインとしては30万円が良いと思います」(高橋さん)

「今そういう時代なんだよね。オメガのヴィンテージだと10万円台でも選べるじゃん? 作りの良いものが10〜20万円で選び放題なわけで。そこがヴィンテージの良いところじゃないかなと常々思っている」(野村店長)

価格は上がり続けているため「30年後には『これは200万円だからまだ良いよね』という話になると思う」とクリスさん。野村店長が「30年後生きているかはわからないけれどね」と言うと、高橋さんから「野村さんは厳しいかもしれない」と突っ込まれた野村店長は「だいぶヴィンテージだからみんな気をつかって!」と笑った。

今、レアなロレックスを買おうとしたら数百万円にもなってしまうが、ヴィンテージの世界ではレアなものが50万円程度で手に入るものもある。選択肢の多さがヴィンテージ時計の醍醐味のひとつだろう。

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