なぜ赤サブと呼ぶのか?そして、なぜそれが人気なのか?サブマリーナーを語る

2023.02.26
Written by 編集部

出演:野村店長×藤井克彦(販売スタッフ)

ファイアーキッズYouTube第6回は「ロレックスの赤サブについて」。今回は、人気モデル『サブマリーナー』の中でも特別な存在“赤サブ”について、を語り尽くす時間となった。

ロレックスはあまり好きではないが。。。

 ロレックスがあまり好きではないという野村店長をして、カッコいいと言わしめる、赤サブ。

「もうアンティークロレックスの中では、皆さん一回はいいなと思う時計ですよね。過去につけていると、アパレルの人とか美容師さんとかに『赤サブですか?』って言われるほど。アンティークとか詳しくない人でも赤サブは知っている。そういう存在ですよね。だからアンティークファンだけじゃなく、やっぱり訴求力がある時計」

 赤といっても文字盤、もしくはベゼルが赤いわけではなく「SUBMARINER」の文字が赤いだけなのにだ。なぜ赤いのか、については、さすがの野村店長も「知りません」と。ただ、思い当たるところはあるという。

「50年代とかも、防水の表記のところで、メーターを赤くしたりとか、昔からロレックスはそういうことをするんですよね。まあ、初めての試みではないのは確か」

 もちろん、この年代の『サブマリーナー デイト』は、全部赤サブというわけではなく、一部のモデルだけ、ということだ。

「『サブマリーナー デイト』もしくは、『シードゥエラー』のみだろうね。ノンデイトは白。不思議だね」

 機械が違うわけでもない。

「まあ、でもデイトを売りたかったんだろうね。差別化だと思うんだけどね。でも、なぜ赤いのか?」

ロレックス『サブマリーナー』マーク2 Ref.1680 1970年製

4桁のサブマリーナー

 このモデル、そもそもは品番でいうと『1680』。いわゆる4桁の『サブマリーナー デイト』の品番だ。

「『サブマリーナー デイト』のファーストモデル。デイト付きの初のモデル。この赤サブはいつ頃からいつまでだったのだろうか。

「昔は、70年、71年ぐらいまでとかって言われていたんだけど、いまどういうわけか78年とかが出てくる。もしかしたら、もしかしちゃってるのかなぁみたいなのがね。いろいろ文字盤の種類がいっぱいあるんで、否定はできないですけどね。たくさんあります、意外と」

 ということは逆説もある。

「実は白サブの方がレアなんじゃないかという話もね。というぐらい赤サブ人気で“塗っちゃっただろ、お前”っていうのが結構あったんだよ、昔」

 白サブというのが、いわゆる普通の『サブマリーナー デイト』。

「変な話、30年くらい前の話、赤サブが29万8000円、で、白い方はっていうと24万8000円。5万円くらいの差だったんですよね。でも、もし赤く塗ったら5万円高く売れるってなったら、塗りたくなるのがね。。。」

 すると藤井さんから「あったんですか?これ明らかに塗っちゃってるみたいなのが?」と質問が。

「ある。昔は結構、稚拙なものが出回ってましたね。昔は『この赤サブはダメだよ』って言ってたのが、いまOKになっていたりとか。当初は結構メーターファーストって言われるようなやつしか、ちょっと認められないとかっていう人もいたりとかしてたんだけど、マーク3、マーク4って徐々にバリエーションが認められるような感じのところはありますよね。分類した人は偉いなと思うけど」

表記を気にしているやつはいなかった

 ロレックスの分類は確かにすごい。

「当時はメーターファーストなんて誰も言ってなかったからね。単純にフィートの表記が先か、メーターの表記が先かっていうやつなんですけど。当時、そんなことを気にしている人はいなかった」

 ミラーかマットくらいか?

「ミラーもあんまり言われてなかった。20年ぐらい前からかな、ミラーって言い出したのは」

 赤サブに関してはどうだったのか?

「30年ぐらい前からですね。その5万円の開きが徐々に徐々に広がっていき、いまはなんと200万も300万も違う、文字が赤いだけで」

 でも「赤いだけなんですけど、全然違っちゃいましたね、赤いだけなんですけど」と藤井さん。

「本当、そこがすべてだよね。今日の個体はマーク2って言われるやつで、ブラウンチェンジ」

 ダイヤルカラーが経年変化によって、茶色く変色したものだ。

「どうよこれっていう。マーク2って言われるやつまで、メーターファーストっていう、メーター表記が先にきて、フィート表記が後にきているやつで、赤サブの中でもなんかちょっと別格感があるね。しかもブラウンチェンジ。文字盤の焼けもいいよね。前の持ち主の人がずっと寝かしていたんだよね。30~40年間、誰も使っていないみたいな。そういう状態なので、こういうキレイな状態で出てくる」

いい個体は意外な感じで出てくる

 もちろん、オーナー歴もはっきりしている。

「そういう個体って、やっぱりいいんですよね。結構いい個体って、意外な感じで出てきたりする。たとえば、全然動かない状態。ゼンマイ切れで、修理しないでほっぽって、そこから何十年も動いてないやつとか、そういうのが出てくるとスゴいいい状態だったりするんだよね。動かない時計って、みんな仕入れたがらないんですけど、僕らは触れば『ゼンマイ切れだ、これきた』みたいな。確実に直せるっていう、そういうやつがね、やっぱり仕入れの時に意外と狙い目だったりとか。動かない状態のものっていうのは、プロが取引する中でも若干安くなる。だから状態のいいのが安く入って売れる。仕入れの時に動かないものって、どうしても排除しちゃいがちなんですけど、そういうのに極上品があったりするんですよね」

 プロの手にかかると、不良品も極上品になるということか。

「ゼンマイっていつか切れるじゃない。1500番台のやつなんかは、10~15年切れなかったりするんだけど、3000番台の機械になると、5~10年で切れる。80年代の時計がゼンマイ切れとかで出てくると『きたー!』みたいな。そういうやつに限って、完全にオリジナルだ、みたいな、磨いてない、みたいなのが出てくる。この個体は一回日本ロレックスに出しているんで、軽く磨かれているなという感じがあるんですけど、その一回だけでしょう、っていうぐらいの極上品ですよ」

箱に入れたまま置き去りだった

 ほぼ使われてなく、しかも日本ロレックスに一度出してるとなると、これ以上ない状態であることがよくわかる。

「ブラウン具合も、なんかもう全体的にでしょ。これ結構ムラ出やすいんですよ。たぶん、これは箱に入れたまま置き去りだったんで、全体的に徐々に変質してきているんですけど、これがまた紫外線に当たったりとかすると、よくありがちなのが、当然、左手にしているとこっち側ばかり陽に当たるので、3時側がとくに変色が強かったりとか。たまに左利きの人がしていたのかな、みたいな、9時側が変色しているのがあったりするんですけど、しばらくしてなかった個体はバランスいいんだよね。こういうのは、なかなか出てこないんだよね。だから高いんだけどね。こんな極上品がゴロゴロあったら、そりゃ値段も下がる。頑張ってたくさん発掘しましょう」

 たくさん出てくると、値段も下がる。そうすると、誰もが手に取りやすくなる。それで藤井さんから「お家に眠っている動かない時計があったら、ぜひ持ってきていただいて」という呼びかけが。もちろん、野村店長からも。

「使わないで眠っていたものこそ、いいものだったりするので、是非持ってきて欲しいですね」

同じ赤サブだが、こちらはマーク5

買取はファイアーキッズがお得

 ファイアーキッズは買取も積極的に行っているので、そういうものは持ってきた方がお得だ。野村店長もそこは太鼓判を押す。

「たぶんアンティーク屋さんではありえないぐらいのつけ方をするんで。この間、お客さんが他所で10万円って言われたんだけど、って持ってきた時計がうちで35万円ついたの」

 なんと、3倍以上だ。

「結局、どこに価値を見出すかっていうとこなんですけど、やっぱり時計が好きな人に喜んでもらいたいっていう部分でいくと、ちゃんとした値段をつけますので。基本的には、店頭小売価格の7掛け引く、メンテナンス代。そんなつけ方をするアンティーク屋さんは、なかなかないんだよね」

 たしかに、普通はそこまで明確に決まっているところはないのだ。

「買取査定の仕方って、みんな隠したがるから。そこを明確にしているから、こういうのがくるのよ。いまは、やっぱり海外の方が高かったりするんで、国内でいいものを持ってる人は、是非、ご相談ください」

 そして、最後に一言。

「赤サブ、持ってたんですが売っちゃったんで。僕は正直GMT派なんで、もう赤サブはいいかなと思うんですけど、実はもうすでに2回買ってるから。また欲しくなるのかな、と思ったりね。でも単純に格好いい時計です」

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