1000本以上のコレクションを持つヴィンテージ腕時計マニアと国産時計を語る

2024.03.07
Written by 編集部

好きなことや趣味に深く没頭することを「沼る」と表現するが、今回はヴィンテージウォッチの「レストア沼」にハマったゲスト・向山(むかいやま)さんに国産時計について語っていただく。

3年半で1000本以上集めた「レストア沼」

コレクションを始めたのは3年半前で、現在は1000本以上の腕時計を持っているそう。壊れてしまった時計を手に入れては「ひょっとしたらお店に並んで、また誰かが買ってくれるかも」と思いながらレストアしていると話す。

「3年半前にスタートして、今本当に2000本? 3000本?」(クリスさん)

「動かないものも含めるとそれくらいありますが、綺麗で動くものは大体1000個弱かな」(向山さん)

売っている段階で「振るとカタカタ音がします」という時計は「ローターが外れているのかな?」などと予測して「自分で直せるだろう」という情報を得てから買うように気をつけていると言う。

「『推しの国産時計を100個選んでくれ』と言われたんですけど、選びきることができなくて130個持ってきてしまいました」(向山さん)

「シチズン、オリエント、タカノ、リコー、ヨシダ、国産も本当に色んな面白い時計がある中で『国産』と言ったらやはりシチズンですよね」(クリスさん)

向山さん自慢のヴィンテージ腕時計①シチズン『パラウォーター』

最初に紹介するのは、国産初の完全防水時計として販売されたシチズンの『パラウォーター』。現在は「完全」という表現はできないが、Oリングと呼ばれる特殊なパッキングを埋め込むことによって防水を実現したモデルだ。

「野村店長も『黒文字は特にカッコいい』とおっしゃっているのですが、このパラウォーターは秒針と長針の長さもたまりません。『縁に当たっているんじゃないのか』と思うくらいです」(向山さん)

「10個以上のパラウォーターがありますけど、一緒のモデルには見えない」(クリスさん)

「文字盤もパラウォーター ディスカスとか、シチズン エース パラウォーターとか微妙に少しずつ違っていて、ちょっとラグの形状が違っていたりとか」(向山さん)

「針も凄い特徴がありますよ、中間ぐらいからキュッと。逆三角形ボディみないな感じで良いですね」(クリスさん)

「分厚いガラスのモデルになってからは針が短い」と向山さんは言う。パラウォーターの時代は針のクリアランスがかなり少なく、少しでも針のつけ方を間違えると文字盤を傷付けてしまうため「そのクリアランスを改善して針が短くなっちゃったのかな?」と、数多くの時計を手にしてきた向山さんは推測する。ヴィンテージアイテムは歴史や背景を考えるとより一層面白い。

向山さん自慢のヴィンテージ腕時計②リコー『ダイナミック エスコート』

「これも結構自信作なんです」という黒の白縁の金ケースが特徴のリコー『ダイナミック エスコート』も見せてくれた。

「エルメスカラー、これは良い組み合わせ。この同じ質感のグレーとかも良いかもしれないです。これは実際、向山さんは何をしたんですか?」(クリスさん)

「まず風防が割れていました。ヒゲゼンマイを解いてあげて風防を交換して、一応少し綺麗にしてあげて」(向山さん)

「向山さんの時計は全部ヴィンテージなんですが、ピカピカですよね」(クリスさん)

「僕の手元に来た時は汚いですよ。ルーターを使わずに全部手磨きです」(向山さん)

向山さんのヴィンテージ腕時計への熱意に「素晴らしいですね、本当に愛を感じます」とクリスさん。レストアすると「出来上がった!」達成感に満足してしまって、着けたことがない腕時計も少なくはないと言う。365日、毎日違う時計を着けても何年もかかる程の本数だが、良い時計は少しずつでも着けて「楽しんで」ほしい。

FIRE KIDSで購入いただいたシチズン『マリンスター』

「FIRE KIDSでご購入いただいたマリンスター、カッコいいですね」とクリスさんが言うシチズンの『マリンスター オレンジダイヤル 1968年製 パラウォーター』。強烈なオレンジ色の文字盤に黒のローマ数字というインパクト抜群の1本だ。

「なんか我々がお届けした以上にピカっていますが、気のせいですか?」(クリスさん)

「いえ、新品仕上げを行っております」(向山さん)

向山さんは綺麗で完璧な状態にすることに喜びがあると言い、十分に美しい状態だとしても伸び代がある限り手をかけてあげたいと話す。

「このマリンスターに関して更に伸び代はないですか?」(クリスさん)

「この時計は塗装が少し特殊なので縁がポロポロと取れてくるんです。時間が経ったり、ちょっとぶつけたりすると風防の内側に塵が溜まるので、それを綺麗取ってあげる」(向山さん)

「魂を吹き込んであげるということですね」とクリスさん。本当に動かない・汚い時計を綺麗にすることで「またお店に並ぶことがあるかもしれない」と、年々時計技術者が減ってきている中で、誰にも見向きされないような腕時計を見つけては修理を行う向山さん。

時計は「購入して着ける」だけが楽しみではない。高度な技術や時間が必要となり、リスクも伴う「レストア沼」だが、時計好きが惹かれる分野であることは間違いない。

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