激レアな24時間時計。ゾディアック『エアロスペース』の使い方とは?
短針が24時間で1周する仕組みになっているゾディアックの『エアロスペース』。普段多くの人が使っている時計は、針は12時間で1周するが、24時間時計はその名の通り24時間で1周するため、時刻を読み取るには慣れが必要になる。パッと時間を読み取れない面白さ、デザイン性、他にはない存在感が光る24時間時計『エアロスペース』の魅力について解説する。
短針が1日で1周する時計『エアロスペース』
今回紹介するのは「時間が読み取りづらい時計」ということで、ゾディアックの1960年代製『エアロスペース』。文字盤には2、4、6、8と偶数が24まで表示されているので、通常の時計とは読み方が異なる。
「4時10分に見えますが、本当は8時10分を指してるっていうことですね」(宮崎さん)
「短針が特殊で『短針が1日で1周する時計』です。何でこんな時計があると思う?」(野村店長)
ヴィンテージ腕時計歴4ヶ月のスタッフ宮崎さんは、エアロスペースというモデル名から、昼夜が分からない宇宙空間で「地球が何時なのか分かるように」と面白い推測をしたが、残念ながら不正解。
「簡単に言うとパイロットウォッチなわけよ。1日1周する日時計と同じ原理ということで、つまりは方角のチェックとかができる」(野村店長)
エアロスペース以外の有名な24時間時計には、ロレックスのGMTマスターやエクスプローラーⅡがある。エクスプローラーⅡは、洞窟探検など昼夜の区別がつかないような環境で使用することを想定し、1日1周する針を追加していると言う。
「方角が分かる仕組みは、日の指している方にGMT針を向けると、短針が南に向くという」(宮崎さん)
「それがパイロットウォッチの条件なわけよ。24時間針が短針になっているタイプのグリシンの『エアマン』も有名」(野村店長)
ベトナム戦争の時にアメリカ軍のパイロットたちに愛用されていたと言い、目視のしやすさなど飛行時の実用性の高さが重要となるパイロットウォッチ。
24時間時計は読みにくい? 実際の実用性はどうなのか?
普段、通常の12時表記時計を見ていたら「時間を間違えそう」と思うかもしれないが、「1週間使うとなんとなく分かるようになる」と昔パイロットウォッチを愛用していた野村店長は言う。
「1日は24時間なので、元々24時間表記の時計が出てもおかしくなかったわけじゃないですか?」(宮崎さん)
「そうだね、12時間で動く短針が当たり前になっていること自体がよく分からないね。言われてみればそうだね」(野村店長)
「時計は分からないですけど、昔は10進法が主流だったんですよ。10は2・5でしか割れないじゃないですか? でも12だと2・3・4・6で割れるから使いやすい。いつしか『12』という数字が普通となりましたよね」(クリスさん)
急に「なんでだろう…」と悩み始めてしまう腕時計のプロたちに、クリスさんから「時計回りはどっち回りですか? いつから? 何でそうなったんですか?」と問題が。
「右回り」(宮崎さん)
「これは日時計の関係ですよね」(野村店長)
「太陽の回る方向が右回りだったから? でも場所によって違わないですか?」(宮崎さん)
「その通りです。どこの国だったからそうなったのか分かりますか?」(クリスさん)
「北半球だったからということですかね」(宮崎さん)
5000〜6000年前にエジプトで作られたのが最初の日時計と言われており、日時計が北半球で発達したことで時計が右回りになったという説もある。
「この時計買う人は、変な人ですよね(笑)」と野村店長は言うが、19万8000円と手が出しやすいモデルだ。不便さは否めないが、周りと差をつけたい方や一癖あるアイテムに惹かれる…という方はぜひチェックしてほしい。