ヴィンテージロレックスの定番中の定番、ロレックス サブマリーナー Ref.5513を語る

2024.04.28

文=戸叶庸之

ヴィンテージウォッチの世界を牽引するロレックスから定番中の定番と評価されるダイバーズウォッチ、サブマリーナー  Ref.5513について解説する。

ロレックス サブマリーナー Ref.5513は“真の定番”なのか?

自分で言うのもなんだが、僕は自身の時計コレクションに対して、思い入れが少ない方だと思っている。それもあって、5年に一度ぐらいの周期でほとんどの時計を入れ替えることがある。僕にとって時計の収集とは、ライフスタイルの一環であり、少なくとも自身の時計について語るためでもなければ、リストショットをインスタにアップするために購入している訳ではない。

とはいえ、コレクションに対する思い入れがまったくないわけでもなく、どちかといえば、購入までのストーリーや日頃身に着けているファッションアイテムとのバランスを意識している。

今まさに、サブマリーナー Ref.5513のミラーダイヤルの転売を検討しているところなのだが、特別にいいコンディションので、まだ迷いがあるのが本音だ。実際に手放したら、同じような時計を買うのはかなり厳しいだろう。売って後悔するかどうかは、今のところではまったく分からない。

Ref.5513を初めて知ったのは、おそらく20代前半。憧れもなにもなく、“無理してローンでも組めば予算的に購入できるヴィンテージロレックス”という程度の認識だった。この頃からヴィンテージロレックスに多少興味があったのだが、まさか10数年後にコレクターになるとは、当時の自分では考えられなかった。だから、今あるRef.5513の知識はほぼすべてコレクターになってから得たものだ。この当時は、ミラーダイヤルやマットダイヤルなんて用語はなかったし、どの個体も値段はほぼ変わらなかった。

とりわけミラーダイヤルの個体は、エイジング次第で好みが大きく分かれる

ここからは、現役のヴィンテージロレックスのコレクターとして、サブマリーナー Ref.5513を解説したいと思う。端的に言うと、サブマリーナー Ref.5513とは、サブマリーナー Ref.5512の廉価版であり、クロノメーターを取得していないことに特徴があるのだが、正直に言って、両者の機能に大差はない。むしろ、1960年代初頭から1980年代後半まで製造され続けたRef.5513の実績の方が、Ref.5512よりも後世に残した影響が大きいと個人的には考えている。大別すると、ミラーダイヤルとマットダイヤルに分けることができる。

調べていくと、Ref.5513には、様々な顔があることが見えてくる。一部のモデルには、多くの人にとって、生涯購入するチャンスがない程の超レアピースもある一方、“現代のサブマリーナーの原型”を作ったモデルとしての評価も間違いなくある。

ミラーダイヤルのRef.5513にリベット製ブレスレットは必須アイテムだ

一方で思うことは、定番としての信頼性にはやや失い欠けていて、たとえば手巻きデイトナの人気と比較すると、今はトレンドダウンの渦中にいることも否めない。人気が落ち着いている理由はこんな事業がある。

だからこそ、本当にほしい時計かどうか、そこを一番に考えるのが妥当だと思うのだ。

私見になるが、サブマリーナー Ref.5513は本当にいい時計だと思っている。無茶な使い方をしなければ、まず壊れることもないし、ファッション性にも優れていて、幅広いスタイリングにも馴染みやすい。センス次第では、映画『007』の主人公のように、タキシードさえ合わせられるかもしれない。

知識だけでは理解しきれない部分がたくさんあるので、興味のある方はぜひ購入をお勧めしたい。実際に使ってみると、Ref.5513が“ヴィンテージロレックスの定番中の定番”と呼ばれる理由が少しずつ見えてくるはずだ。ファイヤーキッズでは、エイジングの強いミラーダイヤルのRef.5513が入荷中だ。店頭に現物を見にぜひ行ってみよう。

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