バリエーションを愉しめる革ベルトの可能性

2024.07.03

文=赤井幸平

組み合わせ次第で無限に近い種類がある

 ここ1年で時計を2本購入したが、2本とも革ベルトかついているタイプで、加えて革ベルトに交換したい時計もあり、いよいよ購入しようかな、と思い調べていると、この時計ベルトとはなかなかどうして奥が深い。

 複数の種類の素材をどの色にするかというだけで数十種類のバリエーションが生まれるが、それは極めて部分的なことである。デザイン、サイズ、色、素材に加えて裏材の使い方、仕立て、ステッチの色と組み合わせを考えると本当に無限に近い種類があるといえる。実際はフルオーダーなどをしない限りはそこまで細かく気にすることはない場合が多いが、ここではあえて触れてみたいと思う。

 まず素材についてだが、数多く用いられているのが一般革だ。主に家畜動物を利用した革のことである。これにはカーフ(牛)、コードバン(馬)、シープ(羊)、ピッグ(豚)などがある。特にカーフについては柔軟さや扱いやすさから表材、裏材両方に使用されることがある。

 またエキゾチックレザーというのもある。希少革とも呼ばれ、家畜類以外の希少動物の皮革のことだ。

 ワニ革であるクロコダイル、アリゲーターの他パイソン(蛇)やリザード(トカゲ)といった爬虫類や、オーストリッチ(ダチョウ)、シール(アザラシ)などがあげられる。これらは天然の素材ならではのユニークな質感がしっかり残されているものも多い。一般革とは違いほとんどが表材として使われ、裏材は一般革や合皮を使われることが多い。

 さらには合皮というものもある。人工皮革、合成皮革を合わせて合皮と呼ばれている。2つの違いは合成皮革の下地となる基材が編物や織物となっていて、人工皮革の下地は基材が不織布となっているということだ。

 これらは天然素材と比べて厚みや色合いを含めた質のコントロールが容易で、価格面も抑えられている。ただ人工皮革は天然皮革のコラーゲン層に似た不織布層を使うことで天然皮革に似た質感になっている。撥水性能の高い合皮なども多く使用されているのも魅力的である。

デザインはラグ幅と尾錠幅を考慮し選ぶ

 そしてデザインについてだが、基本的にはラグ幅と尾錠幅を考慮し選ぶのが簡単である。場合によっては尾錠も一緒に買って楽しむのもありだろう。注意点としてはDバックルタイプなどでは横幅だけでなく、厚みも考慮しないと入らないという場合や、留め具の形が異なるため装着できないという場合もあるので購入前には確認の必要がある。

  テーパーのタイプはオーソドックスでありラグ側のサイズとバックル側のサイズ差(テーパーの具合)によって印象が異なる。ラグ側とバックル側のサイズに差がないストレートタイプは無骨で力強い印象を与え、ボリュームのある時計によく似合う。

  またNATO式のベルトタイプはカジュアルさが際立つものの、取り付けが非常に容易なため日々付け替えたいという理由で選んでもいいと思う。個人的には時計のプロテクター(背当て)つきは気になるデザインのひとつだ。

 ベルトを構成する表材、芯材、裏材をどのように組み合わせるか、ということを仕立てというが、これは用途や見せ方に違いがでる。

 そのひとつである切り身仕立ては、表材、芯材、裏材を積み重ねるシンプルな構成となっている。積み重ねた層を高周波などで接着させ、裁断面には塗装が施される。作りは他の仕立てに比べ簡素にはなるものの、塗装や素材、ステッチを入れることで高級感を出すこともでき、オーダーベルトなどにも使われる仕立てだ。

 表材で芯材を包む形にすることで、統一感のある美しいベルトを作ることができるのが、ヘリ返し仕立てである。表材を多く使う形となるため、価格も高くなる傾向にあるが、素材を存分に楽しめる仕立てだ。

 フランス仕立てというのもある。これはヘリ返し仕立てとは逆に、裏材で芯材を包み込み、表材を貼り付けるような形となる。裏材が淵まで来るため、異なる裏材と表材の組み合わせを楽しむことができる。

革ベルトの大敵は水分

 上記で紹介した通り多様な組み合わせがあるなかで個人的におすすめ(というか個人的に気になる)仕様をここで紹介したい。

 オススメは撥水などの機能性のある素材である。特に革ベルトの大敵となるのが水分で、ハードに使用される方は使い方によってはワンシーズンでダメになってしまうこともあるかもしれない。

 そこで撥水性のある素材だ。上で軽く触れたが合皮は加工段階で撥水性能を持たせることも可能で、革のような質感を保ちながら水に強い素材もある。また天然素材に撥水性を持たせたスコッチガードレザーなるものもあるらしい。天然素材の風合いを残し機能性を持たせることができるのはかなり魅力的といえるだろう。

 ベルトには交換がつきもの。都度交換するのは良いが、自分ですると傷がつくリスクも多い。そんな時にクイックレバータイプが使えると、非常に取り替えが楽なため、もしベルトを複数持ったり、付け替えを楽しみたい人は参考にして欲しい。

 近年さまざまなブランドで流行っている、ワンタッチで付け替えができる機能の簡易版である。

 新しいベルトは持っている時計に新しい表情を加えてくれる。ブレスレットと違い、交換がある程度必要だからこそ、様々なバリエーションを楽しめるのも大きな魅力である。

ranking