店長のリアルな愛用時計は、ロレックスと超レアなハーウッド!

2022.12.23
Written by 編集部

30年以上愛用するロレックスと超レアなアンティーク、ハーウッド!

出演:野村店長×藤井克彦(販売スタッフ)
第1回YouTubeチャンネルは、野村店長の個人的なコレクションを紹介している。アンティーク歴30余年のマイスターは、日頃、一体どんな時計を身につけているのだろうか。

所有腕時計は100本以上

「ちなみに野村さんは時計を何本くらいお持ちなんですか?」との藤井さんからの質問ではじまった。

 野村さんは「数えられません!」と即答。何百本単位なので、正確には数えてないということだった。やはり「店長ともなると、そんなレベルになるんですね」という藤井さんの返しに「ただし、動いているのは100本くらい」だと。100本以上あるので、大半の時計は見ていないそうで、その理由が時計付きならではのもの。「見たら直したくなるから」ということだった。それには「修理代で破産するから」という明確な理由もある。

 今回は、そんな膨大な野村コレクションの中から、本人がよく使うモデルをピックアップして2本持ってきてもらった。100本以上の中からの2本なので、かなり注目度の高いモデルである。

 まず1本目は1920年代のハーウッド。もはや100年近く前の時計。聞き慣れないブランドである。

リューズがない、1920年代のハーウッド

 その時計を見た途端、藤井さんは「ブレスがスゴいですね」と、まずブレスレットに目がいった。野村さんも「そこ?」と、突っ込みながらも「確かにこの時計はブレスを褒められる」と認める。そして「これは実用的な自動巻きで世界初と言われてるやつです」と解説する。

 そう話していると藤井さんが「リューズがない」ことに気づく。そうなんです、このハーウッドはリューズがないのです。では、どうやって針を動かすのだろうか? 

 すると「ベゼルですか?」と藤井さんが気づき、ベゼルを時計回りに動かすと分針が動いていく。気を良くした藤井さんは「では、逆だとゼンマイが巻けるとか?」とさらに質問。

「巻けません!」

 この時計は自動巻きで、手巻き機能はついていないのだそうだ。

実用的な自動巻き時計

「バンパー式のオートマティックですね。それまでの自動巻は、角型で錘を中で振るっていう形だったりとか、手首を曲げてゼンマイを巻くとか、結構変なのがあったんですけど、これは結構実用的なのです」

 と野村店長。

「いまの自動巻きの元祖みたいなもの。センターに軸を置いて、それを中心に錘を回転させる方式ですね」

 すると「これは、この時代によくあった仕様なんですか?」と藤井さん。

「残念ながら売れなかったらしく、2千何百本とかの生産量。手巻きをベースに自動巻きのユニットをつけたみたいな、変な時計です」

 売れなかったので、ポピュラーではなかったようだ。そして、藤井さんは当初から気になっていたベルトの話を振った。

現行品では見ることのない形状のブレスレット

「ベルトは後付けですが、1920~30年代はこんな感じですね」

 藤井さんは、この形状に興味があるらしく、そこをさらに尋ねる。

「やっぱり軽量化。あとはお洒落」

 たしかに、エングレービングも入り、かなり手が込んでいるようだ。

「当時、腕時計というのは高級品でした。多分、ブレスは30年代のものだと思うんですけど、腕時計をする人は、やはり一部の人。これは直径30ミリくらいだと思うんですけど、このサイズ感というのはお金持ちの時計なんです」

男性用腕時計の主流は軍人用

 では、一般的に当時の腕時計はどういうものだったのだろうか。

「それまでは懐中時計、そして結構大きいサイズ。それを腕につけられるようにしたのが腕時計の最初なんですけど、それってお金持ちの時計じゃなくて軍人さんがする仕様です。これ(ハーウッド)はもう最初から腕にするという前提で作られている機械ですね」

 その流れとは逆に、このハーウッドはすごく小さいのだが、技術的にかなり高度だったのだろうか。

「レディスウォッチでは、もっと小さいのがあります。できなくはないんだけど、高精度っていうと難しかった。女性は時間を気にしてないから(笑)あくまでジュエリーの一種として腕時計みたいなものがあるんですね。男性は軍隊で使う。作戦の進行とかで使うから、でかい時計でも使っていたんです。精度が重要。見やすいが需要でした」

 つまり、直径30ミリで精度が出ているのは、かなりの技術力を要したということ「お金持ちの腕時計」というには、そういう理由もあったのだ。

 そんな希少な時計を野村店長はどういう経緯で手に入れたのだろうか。

 それは「単純に商売用で仕入れたら、自分が気に入ってしまった」ということだった。そして「これはなかなか見ないので手放せないんです」。やはり、かなり希少なモデルなのだ。

30年ほど愛用する腕時計

 この日の2本目は「泣く子も黙るロレックスの名作」という『GMTマスターⅠ』。

 本人も「相当やれてる」と言うように、これは野村店長が20歳の時に購入したもので、もう30年ほど愛用しているモデルである。

名機『GMTマスターⅠ』。いい感じに“やれてる”現役の1本だ

 野村店長は「やれてる」というものの、藤井さんは手に取って「それにしても状態もキレイですね。ベゼルとかもほぼ傷がなく」という好印象な感想を述べた。たしかに「いい感じに色落ち」しており、ヴィンテージらしく落ち着いた時計となっている。こちらも購入の経緯を聞いた。

「これは20歳の時に頑張って分割で買いました」

 しかもフリーマケットで購入したという。しかし、30年前はフリーマーケットで分割などというものがあったのだろうか。

「物々交換でした。この時はジッポライター20個と交換しました」

 ??ということは、「ジッポライターを月1個とか」ということなのか?

「そうそう(笑)」

 確かに分割ではあるが。。。さすがに藤井さんも驚き、思わず「そんな買い方あるんですね」と。

「普通はないね。バブル崩壊直後くらいです。要はそのフリーマーケットで、当時スイートロードの中村社長がフリーマーケットに出ていた時代だったのですが、かれこれ4年ぐらい付き合いがあって“GMT欲しいですね”って言ったら、“持っていっていいよ”って言われ。ついてた値段が20万円くらいだったので、そこから交渉して、銀無垢のジッポライター20個と交換という形で話がまとまったという流れです」

苦労して手に入れると愛着が出る

 やはり日頃の付き合いの賜物だったようだが、それなりに大変な交渉でもあったようだ。なので、野村店長はこう話す。

「苦労して手に入れたので、やはり愛着が出ます」

 そして、話は分割の話題に。

「できれば現金で買いたいけど、なかなかね。若い人ほど、そういう部分では本当に分割払いってありがたいね」

 金額によっては分割も大変だが、頑張って手に入れることはいいことだという。

「ちょっと無理して買ったなという感じがあると、愛着も出るかなと。そして、30年も使うと完全に元を取ったと、そういう感じになれるかなと思います」

 話を『GMTマスターⅠ』の機体に戻す。モデル的な特徴は?

「小針ですね。このGMT針(24時間針)の先が小さい」

 モデルを見た藤井さんの感想は「現行のものと比べても結構作りが華奢」というもの。

「華奢ですね。そこが良いところだったりするんです。このペラペラなリベットブレスが腕につけて時にフィット感が良いわけですよ」

 野村店長も同意見だった。

アルミブレスは直せる

「ベルトは伸び伸びになっていて、自分で直しました」

 それは、どこをどう直したのだろうか。

「1枚ずつ捲って金具の向きを変えたりすると、意外とピシッとなったりするんですよね」

 藤井さんが確認する。「確かに折りの重なりが逆だったりするところがあります。全然伸びがないです」とのこと。

「そういうことをすると、また愛着も出るんです。GMTの場合はベゼルを自分で探してきて取り替えたり。そういう楽しみ方もありかな」

 ただ、現行品はベゼルのインサートを替えられないという。

「セラミックなので、触るのが怖いんです。割れちゃったらどうしようという。この年代のものはアルミなので、パキッていうことはまずないと思います」

 そして、90年代当時は黒ベゼルが流行っていて、『GMTマスター』だけど『サブマリーナー』っぽい感じにしてつけていたという。

「その時々で流行があります。いまはペプシが大人気なわけで、黒ベゼルに替えると“なんで?”って感じだけど、また『サブマリーナー』ブームが来た時には、黒ベゼルに替えてみようかなという時が来るかもしれないですね」

 そういう野村店長は「黒ベゼル」も持ってます、ということだった。

 次の野村コレクションの紹介も楽しみである。

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