ジェラルド・ジェンタが手がけたディズニーとのキャタクターウォッチ『レトロファンタジー』
文=戸叶庸之
“ラグジュアリースポーツウォッチ”の生みの親であるジェラルド・ジェンタとディズニーとのコラボレーションによる『レトロファンタジー』。キャラクターウォッチの常識を覆したユニークなアイデアとは?
時計界のピカソ」による高級路線のキャラクターウォッチ
かつてアメリカではキャラクターウォッチが大流行した時代があったのだが、当時のキャラクターウォッチと言えば、大量生産かつ安価で修理ができない使い捨てのような代物だった。そんなキャラクターウォッチの世界に一石を投じた人物がいる。「時計界のピカソ」と称される鬼才のデザイナー、ジェラルド・ジェンタその人である。
ジェラルド・ジェンタの時計の世界における功績は、オーデマ ピゲ『ロイヤル オーク』、パテック フィリップ『ノーチラス』らの今現在“ラグジュアリースポーツウォッチ”と呼ばれるジャンルの礎を築いたことがあまりにも有名だが、彼はその他にも様々な作品に携わってきた。
1972年に自身の名で工房を立ち上げたことでも知られるジェンタだが、稀代のキャラクターウォッチ『レトロファンタジー』は、ここから生まれた。ディズニーとのコラボレーションによるこのシリーズは、それまでのキャラクターウォッチにはなかった本格的な機械式時計であったことに面白さが詰まっている。ファイアーキッズの店頭に並ぶ、ミッキーマウスの1本を例に挙げてみよう。
おそらくディズニー史上最も有名キャラクターであるミッキーマウス起用したこちらのモデルは、レトログラード機構かつジャンピングアワーを採用している。端的に仕組みを説明すると、ミッキーマウスの左腕が分針の役割を果たし、瞬時に切り替わる12時位置の窓で時刻を示しているのだ。ダイヤルは高級機仕様ということでシェルを使用している。
ここ最近、復刻モデルも登場したジェラルド・ジェンタ『レトロファンタジー』。独自の高級路線と遊び心が感じられるジェンタの傑作キャラクターウォッチは、いつの時代も色褪せない輝きを放っている。
writer
戸叶庸之
神奈川県出身。大学在学中に出版社でのアルバイトからマスコミ関係の仕事に携
わる。その後、カルチャー誌、ファッション誌で編集・ライターとして活動をスタート。Web媒体は黎明期から携わり、藤原ヒロシ氏が発起人のWebマガジン「ハニカム」、講談社「フォルツァスタイル」などの立ち上げに参加。現在は、各種メディアで執筆、編集、ディレクションのほか、Webマーケティングや広告案件に従事。時計については、趣味でヴィンテージロレックスを収集しつつ、年代やジャンルを問わず、様々な角度から高級時計のトレンドを常に追いかけている。