マニア向け? ムーブメントで選ぶ上質なヴィンテージ腕時計2選
時計マニアが集まるFIRE KIDSのスタッフが、ヴィンテージ時計の魅力を伝えるYouTubeコーナー。毎回異なるテーマで、厳選されたモデルをご紹介する。
腕時計の心臓部である「ムーブメント」。ファッションアイテムとしても人気の高いヴィンテージ腕時計は、有名ブランドや見た目から選ぶ人も多いが、中には内部機械であるムーブメントを軸とする時計愛好家もいるほど。今回は、FIRE KIDSが選ぶ「名機」2本をおすすめポイントとともにチェックしていく。
希少性もメンテナンス性も高いオメガの『30mmキャリバー』
まず1本目は、オメガ『30mmキャリバー クロノメーター 1944~46年製 Ref.2364-3 Cal.30T2RG 純正尾錠付き』。ロングセラーである30㎜キャリバーでも最高峰とも言える「クロノメータームーブメントCal.30T2RG」を搭載したスペシャルモデルだ。
「Cal.30をベースにしたクロノメーターモデルで、B.O.クロノメーターというだけではなく、各天文台コンクールでも常に上位に入賞した非常に優秀な機械を搭載していて、普通の30mmキャリバーのオメガと比べると、価格もやはり少し高く、且つレアなモデルですね」(髙橋さん)
「30mmキャリバーとは?」(山﨑さん)
「30mmの大きさに収めたルールの中で作られたオメガの傑作手巻きムーブメントと言われています。恐らく1930年代後半に初めて出てきて、1940年代少し前ぐらいにはCal.30というものが生まれて、そこから派生をしてセンターセコンドも出て、Cal.30という数字からCal.284など様々な名前に広がっていったモデルのことです」(髙橋さん)
軍用モデルや、シーマスターといったスポーツ系にも搭載されている非常に優れた手巻きのムーブメントだ。
「ダイヤルバリエーションが非常に豊富で、シンプルなモデルから少しアールデコっぽいものとか、ツートーンであったりとか、ブルズアイと言われるデザインだったり、色んなモデルがあります。これで69万8000円なんですね、少し安く感じるかな」(髙橋さん)
「30mmという限られた中にぎっしりと詰まっていますね」(山﨑さん)
「これだけ『レアで良い』と言われている時計が100万円アンダーで買えるという」(髙橋さん)
「裏蓋を開けた時に機械が大きいと良いですよね。この30mmキャリバーは、メンテナンス性も非常に良いと言われていて。メンテナンスすることを前提に作っている時計だと思います」(髙橋さん)
ローマンダイヤルにリーフハンドの上品な組み合わせが特徴的な1本だ。
IWCの角型ムーブメント『レクタンギュラー』
2本目は、「ファンがたくさんいる時計だからあまり余計なことは言いたくない(笑)」と髙橋さんが言う、IWC『レクタンギュラー 1945年製 18Kピンクゴールド製 箱、広告コピー付き』だ。
「IWCの古い腕時計が好きな方は、Cal.83派がかなり多いですよね。それと双璧をなすと言っても過言ではない、スモールセコンドのレクタンギュラー用のムーブメントがCal.87です。ムーブメント自体が角になっている、角型ムーブメントという機械ですね」(髙橋さん)
「インターといったら、この形も定番ですか?」(山﨑さん)
「定番ですね。Cal.87は機械自体が仕上げも入っていたりとか、非常にクオリティの高い機械で、当時としては精度が非常に出ていたものですね」(髙橋さん)
シリアルから判断するとCal.87は1937年に製造されており、1945年に製造したケースに収めて出荷された個体と思われる。文字盤はピラミッドインデックスとアラビアインデックスが組み合わされた印象的なデザイン。
「Cal.87の機械が入っている時計はカッコいい時計が多いなと思っていて。ケースが重厚だったり、金無垢だったり。これは風防も少しアールになっていて、あとはコンディションですよね、エッジが立ったケース」(髙橋さん)
「1本目の30mmキャリバーは実用時計なので、見たら分かる通り梨地なんですよ。だからそこからコンセプトが違っていて、言い過ぎかもしれないけど、レクタンギュラーはパテックフィリップとかそっちに近しいムーブメントになっているんですね」(髙橋さん)
「やはり名機と言われるのは精度があるということですね」(山﨑さん)
腕時計の心臓部であるムーブメントは精度や信頼性が欠かせない。今回は比較的手に入れやすい価格の2本をご紹介したが、まだまだたくさんの名機が存在する。ムーブメント沼に興味がある…という方はぜひ深堀りしてみてほしい。