ファッション性重視で選ぶドレスウォッチ4選!

2024.10.08
Written by 戸叶庸之

2針、もしくは3針というシンプルなデザインが際立つドレスウォッチ。ファイアーキッズの店頭から選んだファッション性に優れた4本の逸品をピックアップ。

1.ヴァシュロン・コンスタンタン トノーケース Ref.2014(1970年代)


腕時計の黎明期である1920~1930年代、それはまさに試行錯誤の時代で様々なケースデザインが誕生した。当時流行したアール・デコを基調にしたフランス語で「樽」を意味するトノーもそのひとつだ。

ここで紹介するヴァシュロン・コンスタンタンの18Kホワイトゴールド製のドレスウォッチは、トノーケースを再解釈することで生まれたクッションケースに近いユニークなケースフォルムが特徴だ。ヴァシュロン・コンスタンタンの現行コレクション「マルタ」と比較すると、その違いがより分かるはずだ。極薄のケースを完成させるために搭載した手巻きムーブメントCal.K1014は、ムーブメントの開発及び製造に定評のあるジャガー・ルクルトの製品をベースにしている。

ミニマムなデザインに合わせて2針を採用していることも大変興味深い。これに従って、ダイヤルのレイアウトは、インデックス、12時位置に植字されたマルタ十字とプリントによるブランドネーム、細めのバーインデックスのみで構成されている。

気になるコンディションは、ダイヤルの外周に若干のダメージがあるが、その他は特に問題はない。オリジナルの18Kホワイトゴールド製の尾錠が揃っていることも評価すべきポイントだ。

2.ロレックス『チェリーニ』 Ref.3805(1975年製)

優れた防水性能で知られるオイスターケースのラインナップと一線を画す、ロレックスのドレスウォッチ『チェリーニ』。その名の由来は、ルネッサンスの時代に活躍したイタリア人の彫刻家ベンベヌト・チェリーニにちなんでいる。

1920年代後半から近年まで続いた『チェリーニ』歴史において、レクタンギュラーに始まり、幅広いケースのバリエーションが展開されており、ヴィンテージウォッチでは様々なタイプが見つかる。

こちらの1本は横幅が広いトノー型の18Kホワイトゴールドケースの逸品。ブルーのサンレイ仕上げの文字盤は、貴金属が使用されていることを示す表記σマーク入る“シグマダイヤル”と呼ばれる高級機仕様もので、見る角度によって異なる輝きを放つ。

ケースは若干の小傷があるが、研磨が少ない状態で裏蓋のホールマークをしっかりと確認できる。雰囲気が似合うカミーユ・フォルネのクロコダイルのストラップに付け替えることで上品に仕上げている。

3. グランドセイコー 1stモデル Ref.J14070GS(1961年製)

国産時計の王道を行くグランドセイコーの1stモデル。1stモデルは、1960年から1963年の3年間だけ製造され、文字盤の種類は、前期、中期、後期がある。

今回紹介するのは、中期型の通称「彫り文字盤」。彫文字は銀色で高級感があり、この個体は珍しい平針を使用している。

ケースは14Kイエロゴールドの金張り。劣化しやすい裏蓋のメダリオン良いコンディションをキープしている。ムーブメントは手巻きのCal.3180を搭載。 ストラップは社外品で純正の尾錠が付けられでいる。

ケースサイズにも注目したい。小ぶり過ぎない35m径のケースは腕元の馴染みやい。奇をてらわないスタンダードなデザインゆえ、スーチングからカジュアルアップまで幅広いファッションで活躍してくれるはずだ。

4.オーデマ ピゲ 『エクストラフラット』(1970年製)

1972年にオーデマ ピゲは『ロイヤル オーク』を発表し、“ラグジュアリースポーツウォッチ”という新たな分野を切り拓いていくのだが、それと並行してドレスウォッチの開発にも力を注いでいた。

『エクストラフラット』はその名の通り、極薄のケースに仕上げたドレスウォッチだ。厚さ約5.5mmの18Kホワイトゴールド製のケースは腕乗りに優れており、31mmのケース径以上に大きく見える。

その理由は必要最低限の要素で考え抜かれた秀逸なダイヤルデザインにある。優雅な時を刻む2針は、ジャガー・ルクルトのエボーシュ(汎用ムーブメント)をベースにした手巻きムーブメントCal.2003によって成り立っている。

コンディションについては、ケースに小傷が見られるが、ホールマークも残っており大きなダメージはない。尾錠はステンレススチールの純正を取り付けている。クロコダイルのストラップは社外品を使用している。

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戸叶庸之

戸叶庸之

神奈川県出身。大学在学中に出版社でのアルバイトからマスコミ関係の仕事に携

わる。その後、カルチャー誌、ファッション誌で編集・ライターとして活動をスタート。Web媒体は黎明期から携わり、藤原ヒロシ氏が発起人のWebマガジン「ハニカム」、講談社「フォルツァスタイル」などの立ち上げに参加。現在は、各種メディアで執筆、編集、ディレクションのほか、Webマーケティングや広告案件に従事。時計については、趣味でヴィンテージロレックスを収集しつつ、年代やジャンルを問わず、様々な角度から高級時計のトレンドを常に追いかけている。

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