【入門編】自動巻き時計とは?正しい使い方と注意点をレクチャー!
出演:松浦×新海
自動巻き時計の使い方や注意点について、ファイアーキッズの松浦マネージャーが解説する。初めて自動巻き時計の購入を考えている方は、ぜひチェックしておこう。
自動巻き時計とは?
時計は大きく「電池式」と「機械式」の2つに分けられる。自動巻き時計は「機械式」だ。
「動力源が、電池とゼンマイ(機械式)とあるわけですが、機械式は細長い金属の板が渦巻き状になっているゼンマイが中に入っている。渦巻き状になっているゼンマイが巻き上げられて、それが戻る力で動くわけです。そのゼンマイを巻き上げる作業が手巻き時計は手動、自動巻き時計は自動で行われます。自動巻きは、機械の中に振り子(おもり)みたいなものが付いていて、時計を着けて歩いたり動かしたりすることによって中の振り子が回転してくれる。その回転がゼンマイを巻き上げてくれます」(松浦さん)
自動巻き時計は、ある程度の運動量が必要
自動巻き時計は、ただ腕に着けていればOKということではない。例えば、一日中座っていると、中の振り子が十分に振動しておらず、ゼンマイが巻き上がっていないということもある。自動で巻き上げるためにはある程度の運動量が必要だ。
「腕に着けているだけじゃなくて、その腕を動かして振り子を動かさないと巻き上がらないということですね」(新海さん)
「そうですね。無理に腕を動かす必要はなく、自然な腕の動きで十分に巻き上がりますからあまり深く考える必要はないですが、一方で、まったく動かさないのは注意が必要です」(松浦さん)
大小さまざま、ゼンマイの種類
「振り子も、メーカーによっては大きかったり金を使っていたり。パテック・フィリップやユニバーサル・ジュネーブに入っているような、小さい振り子もあります」(松浦さん)
「小さい振り子は“マイクロローター”と呼ばれるやつですね」(新海さん)
「さすが、知っていますね! 種類もいろいろあります。昔は“ハーフローター”、今は “バンパー”と呼ばれる、振り子が行ったり来たりする往復回転で巻き上がるものもあります」(松浦さん)
いろんな種類があるなかで、巻き上げ効率が良いのは全回転ローターのもの。バンパーやマイクロローターは、一周ぐるっと巻き上げるものよりも若干劣る部分があるため、松浦さんは「そういうゼンマイもあのだなと頭の隅に置きながら使ってほしい」と語る。
全回転ローターで有名なのはロレックスだ。ロレックスはゼンマイの特許も取得しており、自動巻きに強いメーカーといえる。
「名作といわれるCal.1570など、ファイアーキッズではその辺りを扱うことが多いです」(松浦さん)
自動巻き時計を手動で巻く際の注意点
自動巻き時計も手巻き時計のように手動での巻き上げが可能である。しかし、手動で巻く場面は限定的だ。
「手巻き時計は巻いていると『ここが巻き止まりですよ』と、止まったり重く感じたりするじゃないですか? 自動巻きの場合はどうですか?」(新海さん)
「自動巻きを手動で巻くとずっと巻けるんです。巻き止まりを逃す機構になっているので、ずっと巻けちゃいます。自動巻きの時計は、機構上自動巻きで使うようになっているので、手動で巻くのは針が止まっている時の初動のみに使うのがちょうどいいですね。例えば、10〜15回くらい巻いて、あとは自然に使ってもらうのがおすすめ」(松浦さん)
「基本的には自動巻きの方でゼンマイを巻き上げて、手動は補助ですね」(新海さん)
「あくまで補助機能ですね。ヴィンテージの場合だと初動が鈍いものもあるけれど、そういう時は軽く左右に振ってもらうと針が動き出します」(松浦さん)
自動巻き時計を手動で巻き上げると、部品に負荷がかかる場合もあるという。そのため、頻繁に手動で巻き上げることは控えた方が良さそうだ。自動巻き時計は、あくまでも自動巻き時計として使うことが推奨される。
ワインディングマシーンは使った方が良い?
24時間動かし続けなければいけないと思う方もいるようだが、止まってしまっても問題はない。保管しながらゼンマイを巻き上げ続けてくれる「ワインディングマシーン」もあるが、松浦さんの見解は次のとおりだ。
「インテリア的な感覚で使ったり、1〜2日止めたくなかったり。一時的に使う分には良いと思うけれど、ずっとワインディングマシーンに入れておくと、その分動き続けるので油や部品などが消耗する。悪いわけではないけれど、あまり使わなくても良いかなというのが僕の見解です」(松浦さん)
ズレてしまうと合わせるのが大変な永久カレンダー時計など、特殊な機構で作られた時計に関しては、ワインディングマシーンを活用するメリットもあるだろう。しかし、通常の自動巻き時計であれば、動かし続けることによる油や部品の消耗があるため、オーバーホールの頻度が増える可能性が出てくる。自動巻きは日常生活のなかで“自然”に使うことがおすすめだ。