デザイン性に注目!ハミルトンやルクルトなど、アメリカンウォッチの魅力を語る

2025.02.17
Written by 編集部

出演:野村×三好

今回は、アメリカンウォッチ特集をお届けする。

まず、アメリカンウォッチとは何か——。本来であれば“アメリカ製”を意味するわけだが、ここで紹介するアメリカンウォッチは、アメリカ市場向けに作られた時計のことを指す。ファイアーキッズのスタッフが注目するのは、そのデザイン製だ。

「アメリカメーカーでスイスに移転していたり、スイスメーカーがアメリカ向けに立ち上げたブランドだったり。そういった時計も含まれる」(野村さん)

「ケースやパーツが別の国で作られているのもありますが、今回は最終的に“アメリカンウォッチ”として括られる時計を4本ご紹介します」(三好さん)

大量生産を作り上げた“ウォルサム”のラウンドケース

1本目は、ウォルサム『ラウンドケース 鉄道時計 1960年代製 手巻き』を見ていく。

「メーカーは相当古い。1850年とかからあるんじゃないかな? ウォルサムといえば懐中時計。実は、ウォルサムが時計の大量生産を始めて、アメリカだけじゃなくスイスにも影響を与えている」(野村さん)

「時計はアメリカが大量生産を始めたイメージがあります」(三好さん)

「それまではイギリスやスイスでも作っているけれど、手作り感があった。それを量産型にしたのがウォルサム」(野村さん)

スイスメーカーもウォルサムの生産工程などを学び、量産体制を築き上げたという。今、多くの時計が世界中で売られているのは、ウォルサムの功績と言っても過言ではない。

「この頃のウォルサム(1960年代製)はもうスイス製です。ただ、ウォルサムが良いのは鉄道時計での実績があること。鉄道時計は時計が量産化する要因だった。懐中時計がまだお金持ちの道具だった時代に、鉄道事故が起きたこともあり、ダイヤの正確性が求められ、ウォルサムが正確な鉄道時計を作るようになったわけです」(野村さん)

「全アラビアですごく見やすいですね」(三好さん)

「懐中時計もそうだけれど、数字が全部入っています。古き良き懐中時計をキュッと小さくした復刻みたいなモデルですね」(野村さん)

「早くも!? 懐中時計を復刻するなら1960年代だったわけですね。おもしろい!」(三好さん)

赤い秒針やブルースチール針なども、懐中時計をそのまま腕時計へと復刻したように見えるデザインだ。ケースは薄型。昔の鉄道時計や軍用時計は視認性が重視されたため、非常に見やすく作られている。価格は10万円とお値打ちだ。

アメリカンウォッチの代名詞“ハミルトン”のEMARSON

2本目は、ハミルトン『レクタンギュラー EMERSON 1940年代製 10KGF アメリカンウォッチ』を紹介する。ラグは“カバード”といってカバーが被せてあるデザイン。アール・デコの雰囲気がオシャレな一本だ。

「ハミルトンは知っている方も多いと思いますが、アメリカンウォッチの代名詞的なメーカーですか?」(三好さん)

「はい。これも1800年代後半くらいの創業かな。ハミルトンも鉄道時計・軍用時計、どちらも有名なメーカーだよね。でもこういうオシャレな時計や高級時計も作っています」(野村さん)

「なんとも言えない書体とか、斜めにカーブしているダイヤルに対してスモールセコンドは平になっているところとか、スモールセコンドの針がチマっと小さな感じとか、チャーミングです」(三好さん)

「可愛いね。ちなみにインデックスとか金無垢だからね。ケースは金張りだけれど、ハミルトンは文字盤に金無垢を使っていたりするんだよ」(野村さん)

価格は11万8千円となっている。

10金が上品に光る“ブローバ”のレクタンギュラー

続いて紹介するのは、ブローバ『レクタンギュラー 1940年代製 10KGF 手巻き』。こちらも価格は10万円と買い求めやすい時計だ。

「当時の流行もありアメリカといえば角形。古い映画を観ると、三揃いのスーツで角形の時計を着けている。格好良いね」(野村さん)

「針もゴールドがキラッと光っていて素敵だと思います。10金ならでは。ケースもすごく凝ったデザインです」(野村さん)

「明るめの金で品があるよね。デザインはアール・デコ」(野村さん)

ブローバは宝飾店としてスタートしているため、軍用時計なども作ってきたが比較的オシャレな時計が多い。当時はアメリカ製であったがスイス製へと移行し、2008年にはシチズンの傘下に入っている。

「余談ですが、1940年代の時計は『使えるの?』という質問がありますが、まったく問題ない感じですか?」(三好さん)

「水には気をつけましょう! 完全非防水です」(野村さん)

アメリカ版“ルクルト”のラウンドケース

最後は、ルクルト『ラウンドケース バンパー式オートマチック 1940年代製』を紹介する。ルクルトは、ジャガー・ルクルトのアメリカ向けの名前といったところだ。

「私がちょっと調べた知識でしかないですが、ルクルトをアメリカで売るにあたり、攻めたデザインにしたようなのですが……」(三好さん)

「税金対策で中の機械だけアメリカに輸出して、現地で仕立てたケースに入れるということが多い。攻めたデザインという意味では、最先端なのはアメリカなので、アメリカ的なデザインのケースが見られるよね。でもこれはスイス製のケース、スイス製のムーブメント。“ジャガー・ルクルト”と書けばいいのにね(笑)」(野村さん)

ダイヤルはアラビア数字とドットの組み合わせで、メモリは針に合わせて内側に記されている。ジャガー・ルクルトよりもオシャレなデザインもありながら、安く手に入れられるのがルクルトだ。価格は23万8千円となっている。

「ケースはどこ製で、インデックス・ダイヤルのデザインはどうなのかと、個別に見ていくとおもしろいかもしれないですね」(三好さん)

「その通りです。国産時計もアメリカンウォッチも、その国それぞれの特徴があっておもしろいですね」(野村さん)

やはり、時計を語るうえではスイスとは切り離せない歴史があるが、アメリカンウォッチには他にはない個性がある。時計に“アメリカンテイスト”を取り入れたい人は要注目だ。

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