ヴィンテージ歴20年の腕時計屋が愛用する“私物”腕時計3本を紹介

2025.03.24
Written by 編集部

時計マニアが集まるFIRE KIDSのスタッフが、ヴィンテージ時計の魅力を伝えるYouTubeコーナー。毎回異なるテーマで、厳選されたモデルをご紹介する。

ヴィンテージ腕時計のプロが、普段身に着けている腕時計がどんなものか気になる方は多いのではないだろうか。今回は、FIRE KIDSのCEOである遠藤が愛用する私物腕時計3本をチェックしていく。愛用の理由や腕時計選びの基準について語っていく。

ヴィンテージ腕時計にハマるきっかけとは?

祖父や父が持つ腕時計をきっかけに、腕時計に興味を持ち始めたという遠藤さん。そこから「自分でも所有したい」という欲求に変わったのは、アパレル時代の先輩の影響だと言う。

「1990年代後半〜2000年にかけて、芸能人の影響もあって、若い世代が高級時計を身に着けるブームみたいなのがあったんですよね。アパレル業界は結構みんな着けていたので、先輩を見て欲しいと思ったのがきっかけでした」(遠藤さん)

「やはりアパレル関係の人は、ファッションの一部でカッコ良いの着けるんですよね」(松浦さん)

最初は現行品を買うところから始まるが、周りの人と同じものが嫌だと感じることがあり、20年程前にヴィンテージ腕時計を購入し、ハマり始めたと話す。

マイスターを信じて購入したロレックスの『オイスターデイト』

愛用時計1本目は、約20年前に某有名アンティークウォッチ専門店で購入したロレックスの『オイスターデイト Ref.6294 1954年製』。ブラックダイヤルに金のインデックスが印象的だ。

「雑誌にも出ていたそのお店の店主に会いに行って、欲しい時計のディティールを伝えて後日連絡をもらったんです。欲しいものとは少し違いましたが、この方が言うなら『間違いないだろう』と思って、すぐ購入を決めたという1本ですね」(遠藤さん)

「憧れの方が言ってくれてるんだしね」(松浦さん)

遠藤さんは昔、父親に寿司屋に連れて行ってもらった際に「『おまかせ』と言うと、そのお店の1番良いものが出てくる。変なものを出したら、お店の沽券に関わるから『おまかせ』が1番その時良いものが出てくる」と言われたことが自分の中に残っており、ヴィンテージ腕時計も、その道のプロが良いと言うものを手に入れてみようと思ったと話す。

「あと、やはりこのRef.6294に関しては同じようなディティールのものを他で見たことがないです。色んな方から『いつでも買い取りますよ』と言ってもらえます」(遠藤さん)

「狙われていますね(笑)この細かなディテール、インデックスであるとか。これは彫りなんだね、黒で珍しいですね」(松浦さん)

彫り込みの王冠マークや赤赤カレンダーに、雰囲気のあるハーフミラーが珍しい1本だ。

シンプルな金無垢に象革ベルトが珍しいIWC『ラウンド』

2本目は「金無垢時計のデビューモデル」ということで、IWCの『ラウンド 18金無垢 Cal.8541 1968年製』だ。

「ジャガー・ルクルトとかも選択肢にあったんですけど、色んなメーカーが50万円アッパーとか、100万円アッパーという価格帯な中で、IWCは当時の僕でも手が届く価格だったんです」(遠藤さん)

「今でもステンレスと金無垢の差というのがありますけど、IWCは割とそこが狭いイメージがありますよね」(宮崎さん)

シンプルなデザインが特徴的なIWCは、目立ちにくいブランドでもあることから、不特定多数の人に急に注目されることが少なく、値段の上がり方はどちらかというと緩やかで、逆に言うと「狙い目」でもあると松浦さんは言う。

「僕は普段、少しカジュアルな格好もするので、インターの厚みのある感じが良かったのと、これは元々革ベルトが付いてたんですけど、今は象革でエレファントのNATOベルトを付けています」(遠藤さん)

「ガルーシャだと思ったけど違うね。質感は少し似ているけど、ガルーシャだと艶があるというか、もう少し固いんですよね。これはどちらという柔らかい肌触り」(松浦さん)

象は水の近くで生活してるからか、汗にも強く、時計ベルトの素材としては非常に優れていていると話す。さらに好きなポイントを聞くと、「普通のバーインデックスにゴールドの文字盤で。特に特徴がない時計だと思っているんですけど、だから好きなのかな…」と、IWCのシンプルな魅力を楽しんでいる様子だ。

時計好きであることの証明。ロレックスの『ミラーダイヤル』

3本目は、ロレックスの『ミラーダイヤル Ref.1016 1965年製』。ブラックダイヤルに、3・6・9のアラビア数字のインデックス、12時位置の逆三角形のアワーマーカーが装備されたシンプルなスポーツモデルだ。

「僕が今持っているスポーツロレックスは、このエクスプローラーRef.1016と、このボーイズのRef.5500の2本だけなんです。本当はサブとか持っていたんですけど、整合性を突き詰めるところとか、コンディションの話に少し疲れてしまった時があって(笑)」(遠藤さん)

「ハードですよね、ヴィンテージのスポーツモデルに関しては」(宮崎さん)

年代は一応合ってはいるが、端境期のような特定が難しい部分があるという。年代の認識にズレがある場合もあったりと、整合性についての判断は一筋縄ではいかないため、優しい気持ちで付き合えるモデルを手元に残している遠藤さん。

「自分で所有して持っている分には雰囲気は凄く好きなので、資産性などの観点ではなく、ただの時計が好きなおじさんとして選んだ時計ですね」(遠藤さん)

「自分が時計好きであるということの証明というか。単純にこのデザインやディティールが好きというのがRef.1016の立ち位置です」(遠藤さん)

ヴィンテージ腕時計は、一生のうちに1度は手にしたいアイテムのひとつではないだろうか。どんなデザイン、歴史、価格でも良いが、その腕時計に対して自分が納得することが重要だ。

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