30代後半から始めるヴィンテージ腕時計|予算60万円で“人と被らない”厳選3本

2025.10.01
最終更新日時:2025.10.01
Written by 編集部

時計マニアが集まるFIRE KIDSのスタッフが、ヴィンテージ時計の魅力を伝えるYouTubeコーナー。毎回異なるテーマで、厳選されたモデルをご紹介する。

ヴィンテージ腕時計を選ぶとき、重要なのは「自分のライフスタイルにどう合うか」という視点だ。今回FIRE KIDSでは、広告業界で働く30代後半のお客様から寄せられた「人と被らない、普段使いできるヴィンテージが欲しい」というリクエストに応え、スタッフ3人がセレクトを行った。予算は60万円。平日はスーツを身につけ、休日はカジュアルなスタイルを好むという。既にセイコー『プレザージュ』とApple Watchを所有するこの方に向けて、個性豊かな3本が提案された。ここではそのやりとりを交えながら、それぞれの時計の魅力を紹介。

1.ヴィンテージ入門に最適|ロンジン『ウルトラクロン』

最初に提案したのは寺田さん。選んだのは、1970年代製のロンジン『1970年代製 ウルトラクロン チューラーダブルネーム 10振動自動巻き』だ。

「この時計のすごさはまず『薄さ』です。めちゃくちゃ着け心地がいい。しかもワンピースケース構造なので、防水性もある程度期待できる。ヴィンテージで普段使いできるというのは大きなポイントですよね」(寺田さん)

一見シンプルだが、ムーブメントはハイビート自動巻き。1970年代当時の技術力を示すモデル。ベルトを黒から茶色、さらには赤や緑に変えることで雰囲気も一気に変わり、遊び心を加えやすいのも魅力だ。

「ロンジンは現行だと、買いやすいブランドというイメージがありますが、ヴィンテージは評価が非常に高い。まず一本目として選ぶにはぴったり。しかも10万円台で手に入ることができるので、予算を大きく割かずにスタートできるのは強みですね」(松浦さん)

「メジャーなブランドよりも、話題性がありながらも玄人好みの腕時計を選んでみました。慣れた頃に2本目は別の方向性でチャレンジしてみるのもいいですし、予算60万円だからといって、手頃な金額のものを無視する必要はないと思います」(寺田さん)

「最初の一本」として財布に優しく、それでいて語れるポイントもある。ヴィンテージの世界への入り口としては魅力的な候補ではないだろうか。

2.希少性が高く美しい焼け感|グランドセイコー『45GS』パティーナダイヤル

続いてパルティマさんが紹介したのは、グランドセイコー『1969年製 10振動手巻 Ref.4522-8000 CAPゴールド 45GS パティーナダイヤル』。ただの45GSではなく、ダイヤルが経年変化で美しく焼けたパティーナ仕様だ。

「これはもう見た瞬間に心を奪われました。こんな色味の45GSは初めてです。焼け方がとても綺麗で、絶対に人と被らない一本ですね」(パルティマさん)

「こうしたムラの少ない焼けは本当に珍しい。昔は『焼けているね』と敬遠されて終わりだったのですが、今はパティーナという価値を得ている」(松浦さん)

10振動・手巻きの45GS。グランドセイコー最後の手巻きモデルというストーリーを持ち、機械式時計史においても重要な存在だ。スクリューバック仕様で一定の防水性があり、日付表示付きで実用性も高い。

「現行のセイコーを持っているなら、次はヴィンテージのグランドセイコーという流れも継続性があっていいチョイス。広告業界の方なら時計好きも多いでしょうし、話題性も抜群だと思います」(松浦さん)

夕焼けのような色合いに変化したダイヤルは、まさに唯一無二。周りとは差別化しやすいアイテムであり、そして、語れる背景を兼ね備えた一本だ。

3.洗練された個性|IWC『トノーケース』ブルーマーブルダイヤル

最後に登場したのは、西川さんが選んだIWC『ブルーマーブルダイヤル 1974年製 トノーケース 純正メッシュブレス ギャラ付』。

「語る必要はないくらい、時計自体が語ってくれる存在感ですよね。スーツの袖口からブルーのマーブル文字盤が覗くと、知性と余裕を感じさせます。週末にストリートファッションと合わせても収まりがいい。主張しすぎず、大人のカッコよさを演出できる一本です」(西川さん)

この時計の魅力は外観だけではない。搭載ムーブメントはIWCを代表するペラトン式自動巻きCal.8541B。さらに純正のステンレスブレスレットが付属し、季節を問わず使いやすい実用性も兼ね備えている。

「意外とブルーの文字盤は万能で、モノトーンやアースカラーにも合わせやすい。万能型なので使いやすいと思うんですよね」(松浦さん)

また、このモデルは細部の仕上げも秀逸だ。日付窓の色がダイヤルと完全に揃っており、当時のIWCのこだわりを感じられる。

「ラピスラズリのように見える美しい文字盤は、とても綺麗ですよね」(パルティマさん)

「アパレル出身の西川さんならではの視点で選ばれた一本ですが、確かに納得です」(寺田さん)

自分に合うヴィンテージを選ぶ楽しさ

今回提案された3本は、いずれも「人と被らず、日常でも使える」というテーマに沿ったモデルであった。

・ロンジン『ウルトラクロン』:薄型&ワンピースケースで普段使いに最適。価格も手頃で入門向け。
・グランドセイコー『45GS』パティーナ:唯一無二の焼けを楽しめる、ストーリー性豊かな一本。
・IWC『トノーケース』ブルーマーブル:ビジネスにもカジュアルにも映える、洗練されたデザインと実用性。

「三者三様で、それぞれの良さがあります。最初の一本としてリーズナブルに楽しむのもいいし、語れるストーリーで選ぶのもいい。あるいはデザインと実用性で勝負するのもあり」と、自分のライフスタイルや好みに合う一本を選ぶことが重要であると、松浦さんは総括する。

ヴィンテージ腕時計選びの疑問解決Q&A:普段使い・入門・個性派モデル編

Q1.ヴィンテージ腕時計は普段使いできますか?

A.ヴィンテージと聞くと「繊細で壊れやすいのでは?」というイメージを持つ方も多いですが、必ずしもそうではありません。例えばロンジン『ウルトラクロン』などは普段使い向き。ワンピースケース構造で一定の防水性があり、薄型で装着感も快適。もちろん現代の時計ほどの防水性や耐衝撃性はないので、強い雨やスポーツ時は外すなど多少の配慮は必要ですが、「気軽に着けられるヴィンテージ」という選択肢は十分にあります。

Q2.初心者でも手が届くヴィンテージ腕時計は?

A.ヴィンテージというと高額で敷居が高いと思われがちですが、実は10万円台から手に入るモデルもあります。ロンジンやセイコーは特に狙い目で、信頼性が高く評価も安定しているため、最初の一本として安心感があります。価格が抑えめだからといって物足りないわけではなく、語れるポイントやブランドの歴史がしっかり詰まっており、ヴィンテージの世界に入る第一歩としてぴったりです。むしろ、無理に高額モデルに手を出さず、手頃な一本から少しずつ世界を広げていくのが、長く楽しむコツだといえます。

Q3.人と被らないモデルを選ぶなら?

A.「他の人と同じ時計は避けたい」という方には、経年変化が魅力のパティーナダイヤルや、個性的な文字盤カラーを持つモデルがおすすめです。例えば、グランドセイコー『45GS』の焼け感あるダイヤルは、まさに一点物。同じリファレンスでも、ダイヤルの色合いや風合いは一本一本異なり、唯一無二の存在になります。また、IWC『ブルーマーブル』のように、ビジネスシーンでも映える個性的なデザインを持つ時計も選択肢として面白いでしょう。人と差をつけたいなら、ブランド名よりも「その個体ならではの表情」に注目すると、自分だけの一本と出会える確率が高まります。

ヴィンテージ腕時計は単に時間を知る道具ではなく、持つ人の価値観や個性を映す存在だ。FIRE KIDSには、今回紹介したような『語れる時計』が数多く揃っている。初めての一本を探すなら、ぜひ店頭で実物を手に取ってみてほしい。

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