【初めての機械式腕時計】自動巻きと手巻き、結局どっちがいい? 違いと魅力を徹底解説

2025.12.03
最終更新日時:2025.12.02
Written by 編集部

時計マニアが集まるFIRE KIDSのスタッフが、ヴィンテージ時計の魅力を伝えるYouTubeコーナー。毎回異なるテーマで、厳選されたモデルをご紹介する。

初めて機械式腕時計を買うとき、多くの人が迷うのが「自動巻き」と「手巻き」のどちらを選ぶべきかという問題だ。どちらもぜんまいの力で動く“機械式”だが、使い勝手や楽しみ方は大きく異なる。ここでは、ヴィンテージ時計専門店・FIRE KIDSの吉田と松井が、それぞれの仕組みや特徴、初心者におすすめの選び方をわかりやすく解説する。

「自動巻き」の仕組みとは? 日常使いに最適な便利さ

自動巻きの最大の特徴は、着用者の日常動作、つまり腕の動きを動力に変換する仕組みにある。電気の力を使わずに、いかにして自動でぜんまいを巻くのか。その秘密は時計内部に組み込まれた「おもり」にある。

「自動巻きは、腕時計の中に『おもり(ローター)』が入っていて、腕の動きに合わせて回転し、その力でぜんまいを自動的に巻き上げます。電気を使わず、着けているだけで動き続けるのが最大の魅力です」(吉田)

毎朝の忙しい時間にぜんまいを巻く必要がなく、普段から着けてさえいれば止まることがない。日常使いの時計としてはこの上なく便利である。

「だた自動巻きは、半円状のおもりを機構に加えているので、中の機械に厚みが出やすく、時計本体に厚みが出てしまう傾向があります」(吉田)

また、自動で巻かれる分、「今どれくらいぜんまいが巻かれているのか」が分かりにくいというデメリットもある。とはいえ、近年の技術進化により、自動巻きでも薄型化やパワーリザーブの長時間化が進んでおり、ヴィンテージと現行の両方を楽しめるジャンルだといえる。

実用性を重視するなら、最初の一本は自動巻きが向いている。仕事やプライベートで毎日着ける人にとって、巻き忘れの心配がないというのは大きな利点ではないだろうか。

「手巻き」の仕組みとは? ぜんまいを巻く時間を楽しむ

自動巻きが登場する前、腕時計の主流だったのが「手巻き」だ。その名の通り、リューズを手で回してぜんまいを巻き上げ、時計を動かす仕組みである。

「より、昔ながらの機構ですね。一見不便に思えるかもしれませんが、ヴィンテージ腕時計を選ぶ方は、嗜好品として楽しんでいる方が多い。毎朝出かける前にぜんまいを巻く時間がいいですよね」(吉田)

この不便さこそが、愛好家たちが手巻きを選ぶ大きな理由となっている。ヴィンテージ腕時計を嗜好品として捉える人々にとって、手巻きは単なる動作ではない。

「店頭でお客様が手巻き時計を巻いたとき、嬉しそうな表情をされますもんね」(松井)

手巻きは、自分で巻かないと止まってしまうため手間がかかるとも言える。しかしそれこそが愛着を育てるポイントだ。毎日巻くことで時計の調子も把握でき、時間をかけてメンテナンスしながら長く付き合える。

注意点としては、「巻き止まり」以上に無理に巻くと内部を損傷するおそれがあること。吉田は「ブリキのぜんまいのおもちゃと同じで、最後まで巻いたら止まる感覚があるので、それ以上巻くのはやめましょう」と説明する。

ちなみに、自動巻きにはこの巻き止まりが存在しない。ローターが空回りするように設計されており、ぜんまいの巻きすぎを防ぐ構造になっている。

どちらを選ぶべき? 初心者は自動巻き、嗜好派は手巻き

初心者におすすめなのはどちらか。吉田は「初めての一本なら、やはり自動巻きです。朝忙しいときでも、動いている時計をそのまま着けて出られる。便利さという点ではやはり強いですね」と、結論づける。

一方で松井は、「最終的には、お客様自身のライフスタイルで選ぶのが一番」と話す。手巻きの“触れる楽しみ”を重視するか、自動巻きの“使いやすさ”を取るかで選択肢は変わってくる。

デザイン面では、自動巻きと手巻きに大きな違いはない。吉田が例に出したのは、ロレックスの『オイスターデイト(手巻き)』と『オイスターパーペチュアルデイト(自動巻き)』。どちらも外観は似ており、ぱっと見では区別がつかないほど。最終的には構造の違いよりも、どう付き合いたいかが決め手となる。

種類 メリット デメリット
自動巻き
  • ・腕に着けて過ごすだけで動く
  • ・扱いやすく実用的
  • ・厚みが出やすい
  • ・使わないと止まる場合がある
手巻き
  • ・構造がシンプルで壊れにくい
  • ・自分で巻く楽しみがある
  • ・薄くて上品なデザインが多い
  • ・毎日ぜんまいを巻く手間がある
  • ・巻き過ぎなどで故障のリスクがある

自動巻きと手巻きをもっと知るためのQ&A

ここでは、自動巻きと手巻きについて読者がよく疑問に思うポイントについて、質問形式でわかりやすく解説します。

Q1.自動巻きと手巻きの一番の違いは?

A.自動巻きは腕の動きで内部のローターが回り、ぜんまいを自動で巻き上げます。日常使いであれば毎朝ぜんまいを巻き上げる手間が必要なく便利なのが特徴です。半円形のローターを積むぶん厚みが出やすく、巻き量も把握しづらい傾向があります。手巻きはリューズを回して自分でぜんまいを巻く方式で、薄い個体が多く“巻く行為”を楽しめますが、毎日巻く手間と巻き過ぎによる故障リスクに注意が必要です。

Q2.初めての機械式、初心者はどっちを選ぶべき?

A.実用性と扱いやすさを重視するなら自動巻きが無難です。忙しい朝でもそのまま着けて出かけやすく、止まりにくいのが利点です。嗜好品としての“触れる時間”やクラシックな作りを楽しみたいなら手巻きという選択肢もおすすめです。最終的にはライフスタイル(毎日着けるか、嗜好的に楽しむか)で選ぶのが失敗しません。

Q3.手巻きの正しい巻き方と注意点は?

A.リューズをゆっくり一定の力で回し、巻き止まり(それ以上回らない感触)を感じたらそこで止めます。無理に力をかけると内部を損傷するおそれがあります。毎日同じ時間帯に巻くとパワーリザーブを管理しやすく、調子の変化にも気づきやすくなります。なお自動巻きには巻き止まりがなく、ローターが空回りして巻き過ぎを防ぐ構造です。

Q4.自動巻きが止まるのは故障? 止まったときの対処法は?

A.故障とは限りません。自動巻きは着用して動くことでぜんまいが巻かれるため、しばらく使わないとパワーが切れて止まる場合があります。止まっていたら時刻を合わせて着用し、日常動作で再び巻き上げましょう。モデルによってはリューズで手巻きできるものもあります(仕様は個体差あり)。

ヴィンテージ時計を扱うFIRE KIDSでは、セイコーやロレックス、オメガなど、時代を超えて愛される名機を数多く取り揃えている。自動巻きも手巻きも、それぞれの時代背景や構造の美しさを感じられるのが魅力だ。初めての一本を探すなら、ぜひ店頭で、自身の手で、感触の違いを体験してみてほしい。

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