カルティエ タンク(ルイカルティエ)ヴィンテージ解説|タンクルイからマストタンクまで
カルティエ タンクは、100年以上続くデザインを持つ腕時計の名作です。戦車(タンク)のキャタピラからインスピレーションを得たとされる長方形ケースは、時代を超えて多くの人に愛されてきました。
この記事では、18金無垢のタンクルイからベルメイユのマストタンク、タンクフランセーズ、タンクバスキュラントまで、カルティエ タンクのヴィンテージモデルを解説します。タンクの購入を検討している方、すでにお持ちの方の参考になれば幸いです。
タンクルイ — 18金無垢のオリジナルタンク

タンクルイ(Tank Louis Cartier)は、カルティエを代表するタンクの原型ともいえるモデルです。ケース素材に18金無垢(イエローゴールドやホワイトゴールド)を使用しており、カルティエの高級時計としての格を体現しています。
タンクルイには1970年代製の18KYG LMサイズなどが存在します。6時位置にParis表記のあるオリジナルホワイトローマンダイヤルは人気の高い仕様です。ヴィンテージの金無垢ケースでは、深い打痕の有無がコンディション判断の目安になります。金無垢の純正尾錠が付属するかどうかも確認したいポイントです。
Ref.7808(18金無垢LMサイズ)も代表的なリファレンスです。18金無垢ケースにホワイトローマンダイヤル、PARIS表記という組み合わせが代表的な仕様です。ギャランティー(保証書)やオリジナルの箱の有無もコレクション上の重要な要素です。
タンクルイ エクストラフラット — プレCPCPの薄型モデル
タンクルイには、薄型ケースを特徴とするエクストラフラットモデルも存在します。1970年代製の18金無垢LMサイズ ギョーシェダイヤル Ref.96065は、後の高級ライン「CPCP(Collection Privee Cartier Paris)」の源流となったモデルで、プレCPCPとも呼ばれています。
放射線状のギョーシェ仕上げが施された文字盤が特徴で、薄型のムーブメントCal.21を搭載しています。
マストタンク — 「Must(必須)」の入門モデル

マストタンク(Must de Cartier Tank)は、カルティエのタンクデザインをベルメイユ(銀無垢ケースに金張り)で再現したモデルです。100年以上続くタンクの造形を、より手の届きやすい素材で表現しています。
ケースは925シルバー(スターリングシルバー)に金を張り付けた構造で、裏ブタにはPLAQUE OR G 20M(20ミクロンの金張り)の刻印が入っています。ムーブメントは手巻きのCal.78-1を搭載したモデルが多く、丁寧な仕上げが施されたキャリバーです。
LMサイズ(メンズ)とSMサイズ(レディース)
マストタンクにはLM(ラージモデル)とSM(スモールモデル)の2サイズがあります。LMはケースサイズ約23mm(リューズ別)のメンズサイズで、SMはケースサイズ約20〜21mmのレディースサイズです。LMはメンズサイズですが女性が着用しても似合うユニセックスな魅力を持っています。
| サイズ | ケースサイズ | 位置づけ |
| LM(ラージモデル) | 約23mm(リューズ別) | メンズ / ユニセックス |
| SM(スモールモデル) | 約20〜21mm | レディース |
多彩なダイヤルバリエーション
マストタンクの最大の魅力は、多彩なダイヤル(文字盤)のバリエーションです。主なダイヤルをご紹介します。
アイボリーローマン — 一番人気のダイヤルです。ホワイトとはまた違った上品な印象を持つ定番のバリエーションで、ローマンインデックスにレイルウェイトラックの組み合わせがスタンダードな仕様です。
ブラックローマン — ブラックローマンダイヤルにホワイトレターの組み合わせで、ホワイトローマンとはまた違ったシックな印象のダイヤルです。1980年代製のLMサイズで多く見られます。
トリニティ — カルティエの代表的なモチーフであるトリニティを文字盤に配したモデルです。イエロー、ホワイト、ピンクゴールドカラーのストライプが特徴で、シンプルながらメゾンの個性を感じられるデザインです。
ラピスブルー — 深みのあるラピスブルーの文字盤に金の粒がきらめく、個性的なダイヤルです。
ボルドー — カルティエのブランドカラーを体現するボルドー色の文字盤で、深い赤が印象的なバリエーションです。
ブラウンマーブル — 大理石のような模様が特徴的なブラウンマーブルの文字盤です。
| ダイヤル | 特徴 |
| アイボリーローマン | 一番人気。ホワイトとは違った上品な印象 |
| ホワイトローマン | 最もオーソドックスなカルティエの顔 |
| ブラックローマン | ホワイトレターとの組み合わせでシックな印象 |
| トリニティ | 3色ストライプ。メゾンの個性を感じるモデル |
| ラピスブルー | 金の粒がきらめく星空のような美しさ |
| ボルドー | カルティエらしいオシャレなカラー |
| ブラウンマーブル | 大理石のような独特の模様 |
プレマストタンク — マストタンク以前の希少モデル
マストタンクの発売前に短期間だけ販売されたモデルが「プレマストタンク」です。1970年代製のLMサイズなどが確認されています。
プレマストタンクの特徴は、マストタンクには無いホワイトローマンダイヤルが存在する点です。通常のマストタンクではアイボリーが標準ですが、プレマストタンクにはホワイトローマンダイヤルのバリエーションがあります。また、スクエアケースのバリエーションもあり、純正のクロコダイル革ベルトに純正GPのDバックルが付いた個体も確認されています。製造期間が短いため希少なモデルです。
タンクの派生モデル

タンクフランセーズ — 1997年発表の人気モデル
タンクフランセーズは、長い歴史のあるタンクシリーズでも比較的新しい1997年に発売されたモデルです。18金無垢ホワイトゴールドケースのオートマチック(自動巻き)モデルは、自動巻きかつホワイトゴールドケースという珍しい組み合わせです。
ムーブメントは自動巻きのCal.2000を搭載しています。ギョーシェ仕上げのダイヤルが特徴で、ケースサイズは幅28mm(リューズ別)です。18KYGモデルではイエローゴールドの純正尾錠が付属します。
タンクバスキュラント — 反転ケースの個性派
タンクバスキュラントは、ジャガー・ルクルトのレベルソを思わせる反転ケースを採用した個性的なモデルです。竜頭が12時側に付く独特なデザインが特徴で、製造期間が短いレアモデルです。
1990年代後半に発表された復刻モデルは、薄型ケースにドレスウォッチとしての完成度を追求した仕様です。ステンレスモデルや手巻き式のバリエーションは流通が少なく、パリブティック限定のスケルトンバックモデルも存在します。
タンクディヴァン — 横長ケースの存在感
2000年代に製造されたタンクディヴァンは、横長の大きなケースが特徴で、ディヴァンは長椅子を意味します。オートマチックのLMサイズ(メンズサイズ)はケースサイズ38mm(リューズ別)と存在感のあるサイズです。現在は生産終了となっています。文字盤はアイボリーローマンダイヤルに細かい波目の模様が施されており、ムーブメントはCal.2612を搭載しています。
ヴィンテージタンクを選ぶポイント
ケース素材で選ぶ
タンクのケース素材は大きく分けて3種類あります。タンクルイに代表される18金無垢(イエローゴールド・ホワイトゴールド)、マストタンクのベルメイユ(銀無垢+金張り)、そしてタンクフランセーズやバスキュラントに見られるステンレスです。18金無垢は重量感と高級感がありますが、ベルメイユもカルティエらしいゴールドの輝きを十分に楽しめます。
ダイヤルで選ぶ
マストタンクは様々な文字盤のバリエーションがあります。汎用性の高いホワイトやアイボリーのローマンダイヤル、個性的なトリニティやラピスブルー、シックなブラックなど、ご自身のスタイルに合ったダイヤルを選ぶのが楽しみのひとつです。
ベルメイユの状態を確認する
マストタンクのベルメイユケースは、長年の使用で金張りが薄くなる場合があります。小傷等の使用感は経年相応ですが、金張りの剥がれの程度には個体差があります。購入時には金張りの残存状態を確認することが重要です。
文字盤のコンディション
ヴィンテージのタンクでは、文字盤のクラック(ひび割れ)も確認すべきポイントです。経年によりひび割れが見られることも珍しくありません。ノンクラック(ひび割れなし)の文字盤は高く評価される傾向にあります。一方で、薄いクラックが入っていてもオリジナル文字盤であることに価値を見出す考え方もあり、オリジナル性を重視するか、コンディションを重視するかで選び方が変わってきます。
| モデル | ケース素材 | 製造年代 | ムーブメント |
| タンクルイ | 18金無垢 | 1970年代〜 | 手巻き |
| タンクルイ エクストラフラット | 18金無垢 | 1970年代〜 | 手巻き(Cal.21) |
| プレマストタンク | ベルメイユ | 1970年代 | 手巻き |
| マストタンク | ベルメイユ | 1970年代〜1990年代 | 手巻き(Cal.78-1) |
| タンクフランセーズ | 18金無垢 / SS | 1990年代〜 | 自動巻き(Cal.2000) |
| タンクバスキュラント | SS | 1990年代〜2000年代 | 手巻き |
| タンクディヴァン | SS | 2000年代 | 自動巻き |
よくある質問(FAQ)
Q.タンクルイとマストタンクの違いは何ですか?
A. 最大の違いはケース素材です。タンクルイは18金無垢(イエローゴールドやホワイトゴールド)のケースを使用し、マストタンクは925シルバー(スターリングシルバー)にベルメイユ(金張り)を施したケースです。デザインは共通のタンク型長方形ケースですが、素材の違いによって重量感や経年変化の仕方が異なります。
Q.マストタンクのLMとSMの違いは何ですか?
A. LMはラージモデル(メンズサイズ)でケースサイズ約23mm(リューズ別)、SMはスモールモデル(レディースサイズ)でケースサイズ約20〜21mmです。LMはメンズサイズですが女性にも似合うサイズ感で、ユニセックスとして着用される方も多くいらっしゃいます。
Q.マストタンクにはどのようなダイヤルバリエーションがありますか?
A. ホワイトローマン、アイボリーローマン、ブラックローマン、ボルドー、ラピスブルー、ブラウンマーブル、トリニティなど多彩なバリエーションがあります。一番人気はホワイトローマンダイヤルです。トリニティはイエロー、ホワイト、ピンクゴールドカラーのストライプデザインで、カルティエの代表的なモチーフを文字盤に反映しています。
Q.マストタンクのベルメイユとは何ですか?
A. ベルメイユ(ヴェルメイユ)とは、銀無垢(シルバー925)のケースに金を張り付けた素材です。裏ブタの刻印からPLAQUE OR G 20M(20ミクロンの金張り)と読み取れる個体もあります。長年の使用で金張りが薄くなる場合があるため、購入時には金張りの状態確認が重要です。
Q.カルティエ タンクのPARIS表記とは何ですか?
A. 文字盤の6時位置と裏面に「PARIS」と表記されたモデルのことです。通常のSWISS MADE表記ではなくPARIS表記があるのは、カルティエがパリの宝飾店として出発したことに由来する特徴で、ヴィンテージ愛好家から人気があります。
まとめ
カルティエ タンクは、18金無垢のタンクルイを頂点に、ベルメイユのマストタンク、タンクフランセーズ、タンクバスキュラント、タンクディヴァンと、時代とともに多彩なバリエーションを生み出してきました。100年以上続くデザインは飽きることのない特別なものであり、その長方形ケースの美しさは色褪せることがありません。
マストタンクの多彩なダイヤルバリエーション、タンクルイのPARIS表記やギョーシェ仕上げのエクストラフラット、プレマストタンクの希少性など、一口にカルティエ タンクといっても実に奥深い世界が広がっています。ぜひご自身の目で、お気に入りの一本を見つけてみてください。
