オメガ スピードマスター 初期4世代の変遷|CK2915からST145.012まで
オメガ スピードマスターは1957年の誕生以来、世代ごとにケース形状やベゼル、針のデザインを変化させてきました。特に初代CK2915から4代目ST145.012に至る初期4世代は、スピードマスターのアイデンティティが確立される過程そのものです。
この記事では、初代CK2915、2代目CK2998、3代目ST105.003、4代目ST145.012の各世代における外装デザインの変遷と搭載キャリバーの違いを、キャリバーデータベースに基づいて解説します。
スピードマスター初期4世代の概要

各世代のリファレンスと年代
| 世代 | リファレンス | 生産年代 | 搭載キャリバー |
| 1st | CK2915 | 1957〜1959年 | Cal.321 |
| 2nd | CK2998 | 1959〜1962年 | Cal.321 |
| 3rd | ST105.003 | 1963〜1966年 | Cal.321 |
| 4th | ST145.012 | 1966〜1968年 | Cal.321 |
4世代すべてに共通するのは、手巻きクロノグラフCal.321を搭載している点です。Cal.321は17石、18,000振動/時のコラムホイール式クロノグラフムーブメントで、1946年に登場しました。
1st CK2915:スピードマスターの原点
ブロードアローハンドとタキメーターベゼル
CK2915は1957年に登場したスピードマスターの初代モデルです。時針にブロードアローハンド(矢印型)を採用し、タキメーター目盛りをベゼルに配置した点がスピードマスターの基本設計として確立されました。
CK2915は左右対称のケース形状を持ち、リューズガードは装備されていません。ベゼルにタキメーターを備えた点は、レーシングクロノグラフとしての性格を明確にしています。
2nd CK2998:アルファハンドへの変更
針のデザインが変わった2代目
CK2998は1959年から展開された2代目モデルです。初代のブロードアローハンドからアルファハンド(先端が尖った形状)に変更され、よりスリムな印象に。ケースは初代と同様に左右対称で、リューズガードのないデザインが継続されました。
3rd ST105.003:NASAの試験をクリアした世代

左右対称ケース最後のモデル
3代目のRef.105.003は、NASAの厳しい試験をクリアし、宇宙計画への採用が決まった重要なモデルです。ケース形状は初代から続く左右対称デザインを維持しており、ブレス幅は19mmです。
文字盤に「Professional」の表記はなく、シンプルな表記にとどまっています。NASAに正式採用された後のモデルから「Professional」が加えられることになるため、3代目はプロフェッショナル表記なしの最後の世代にあたります。
装着感の違い
4代目以降のモデルと比較すると、3代目はやや小振りな装着感が特徴です。リューズガードがない分、ケースサイドがすっきりとしており、腕馴染みの良さに定評があります。
4th ST145.012:初の「Professional」表記とリューズガード

NASAの正式採用を受けた外装変更
4代目のRef.145.012は、スピードマスターの歴史において最も大きな外装変更が施された世代です。主な変更点は以下の通りです。
| 変更点 | 3rd(ST105.003) | 4th(ST145.012) |
| ケース形状 | 左右対称 | 非対称(リューズガード付き) |
| Professional表記 | なし | あり(文字盤12時位置) |
| ブレス幅 | 19mm | 20mm |
| リューズガード | なし | あり |
「Professional」表記の登場
NASAへの正式採用が決まったことを受けて、4代目から文字盤の12時位置に「Professional」の文字が初めて表記されました。この表記は以降のスピードマスター プロフェッショナルに受け継がれていきます。
リューズガードの採用
3代目までのモデルにはリューズガードがなく、リューズ周辺が外部からの衝撃に対して無防備な状態でした。4代目ではリューズ回りを破損から守るためにガード付きのケースデザインに変更され、結果としてケースの左右対称性が崩れ、非対称の独特なシルエットが誕生しました。
オメガロゴの金属インデックス
4代目まではオメガのロゴが金属のアプライドインデックスで表現されています。この仕様は5代目以降とは異なる特徴であり、初期スピードマスターを見分けるポイントのひとつです。
搭載キャリバー:Cal.321
初期4世代共通のムーブメント
初代CK2915から4代目ST145.012まで、すべての世代に搭載されたCal.321は、コラムホイール式のクロノグラフ機構を持つ手巻きムーブメントです。
| 項目 | スペック |
| 種類 | 手巻きクロノグラフ |
| 石数 | 17石 |
| 振動数 | 18,000振動/時 |
| クロノグラフ機構 | コラムホイール式 |
| 搭載期間 | 1946年〜1968年 |
5代目からのCal.861への移行
4代目ST145.012の次に登場した5代目Ref.145.022からは、ムーブメントがCal.861に変更されました。Cal.861は17石、21,600振動/時のカム式クロノグラフで、Cal.321の18,000振動/時から振動数が上がっています。5代目の初期モデルでは「下がりr」の文字盤が知られています。
初期4世代の見分け方まとめ
| 特徴 | 1st CK2915 | 2nd CK2998 | 3rd ST105.003 | 4th ST145.012 |
| 時針 | ブロードアロー | アルファハンド | アルファハンド | アルファハンド |
| リューズガード | なし | なし | なし | あり |
| ケース対称性 | 左右対称 | 左右対称 | 左右対称 | 非対称 |
| Professional表記 | なし | なし | なし | あり |
| ブレス幅 | — | — | 19mm | 20mm |
| Cal. | 321 | 321 | 321 | 321 |
よくある質問
Q1.スピードマスターの3代目と4代目はどう見分けられますか?
A. 最も分かりやすい違いはリューズガードの有無です。3代目ST105.003はリューズガードがなく左右対称のケース、4代目ST145.012はリューズガードが付いた非対称ケースです。また、4代目から文字盤12時位置に「Professional」の表記が加わっています。
Q2.Cal.321とCal.861の違いは何ですか?
A. Cal.321はコラムホイール式のクロノグラフ機構で18,000振動/時、Cal.861はカム式で21,600振動/時です。Cal.321は1968年まで初代から4代目に搭載され、5代目以降はCal.861に切り替わりました。
Q3.4代目ST145.012に「Professional」と表記されたのはなぜですか?
A. NASAへの正式採用が決まったことを受けて、4代目から文字盤の12時位置に「Professional」の文字が加えられました。3代目まではこの表記がなく、NASAの採用をきっかけに「プロフェッショナル」の名を冠するようになりました。
Q4.スピードマスター初期4世代はすべてCal.321を搭載していますか?
A. はい、初代CK2915から4代目ST145.012まで、すべてCal.321(手巻き、17石、18,000振動/時、コラムホイール式)を搭載しています。5代目Ref.145.022からCal.861に変更されました。
まとめ
スピードマスターの初期4世代は、初代CK2915のブロードアローハンドに始まり、2代目CK2998でのアルファハンドへの移行、3代目ST105.003でのNASA試験クリア、そして4代目ST145.012でのリューズガード採用と「Professional」表記の追加と、世代ごとに外装デザインが進化してきました。一方で、4世代すべてにCal.321が搭載されている点は一貫しており、コラムホイール式クロノグラフの滑らかな操作感は初期スピードマスター共通の特徴です。

