ヴィンテージマニアの心をくすぐるホイヤー『オータヴィア』

2024.06.17

文=戸叶庸之

ホイヤー 「オータヴィア」 Ref.1163(1970年代) Cal.12 ステンレススチールケース 42mm径 ¥1,280,000

「傑作」と呼ぶべき左リュウズのクロノグラフ専用ムーブメントを持つ、1970年代製造のホイヤー「オータヴィア」を紹介。

1970年代のホイヤー社を象徴するデザイン

ただでさえマニアックなヴィンテージウォッチの世界において、クロノグラフの蒐集家は一癖も二癖もある人物が非常に多い。計器特有のメカメカしいデザインに惹かれる人はもちろん、なかにはジャケ買いならぬムーブメント買いをする強者たちがいる。

ホイヤー社(現タグ・ホイヤー)のクロノグラフの蒐集家は国内よりも海外に多くいる印象があり、その熱量は並々ならないものがある。なぜなら、これらの時計を集めることは一筋縄ではいかず、そもそも製造本数や需要と供給の問題、さらには信頼できる入手ルートを探し出すことが難しい。それゆえ、ショップやディーラーがまとめて時計が揃えている状態になることはなかなか考えにくい。

今回紹介する1970年代製造のホイヤー「オータヴィア」もそんなモデルのひとつに挙げられる。つまり、出会いありきで買える1本なのだ。

ホイヤー社時代のクロノグラフのデザインの傾向は、「カレラ」のようにシンプルなものもあるが、コアなマニアが求めるのは「オータヴィア」のようなデザインだと、ここでは考える。

この時代の「オータヴィア」のデザインにおける最大の特徴はずばり、左リュウズにある。これは左利きの仕様というわけではなく、搭載された自動巻きムーブメントCal.12の構造が起因している。

左リュウズという個性を持つ1970年代製造のホイヤー『オータヴィア』

ちなみにCal.12は、世界初の自動巻きクロノグラフ専用ムーブメントCal.11(クロノマティック)の改良版にあたる名機である。

左リュウズ仕様の自動巻きクロノグラフ専用ムーブメントCal.12

次に着目すべきポイントは、42mm径のケースサイズにある。このサイズ感は当時ではかなり大きな部類だと考えられるのだが、現行コレクションに近いため、現代のファッションとも好相性である。

オリジナリティやコンディションについて触れておきたい。保存状態はこれといった欠点はなく、オリジナルのゲイフレアー社のブレスレットが装着されていることが評価すべきポイントに挙がる。

大変貴重なゲイフレアー社のブレスレットが付属する

希少性だけでなく、デザインの視点からも人と被らないクロノグラフ。このホイヤー「オータヴィア」の魅力はそこに集約されている。そこには、ヴィンテージクロノグラフの奥深い世界が広がっている。

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