ロレックス『デイトジャスト』は些細なことにも妥協せず、本当に気に入った1本

2023.10.10
Written by 土田貴史

文=土田貴史

株式会社トランジットジェネラルオフィス 経営企画部PR戦略 井戸田康佑さん。自社で運営するおよそ120店舗の広報活動を担っている。そして井戸田さんが腕にするのは、ロレックス『デイトジャスト』(通称“サンダーバード”)Ref.6609、1958年製のセカンドモデルだ

時計好きに「あなたの時計、見せてください」という企画。今回、時計を見せてもらったのは、トランジットジェネラルオフィス 経営企画部PR戦略 井戸田康佑(いとだ・こうすけ)さん。購入モデルを決めてから、5年をかけて探し続け、ついに昨年、入手に至ったそうだ。

はじめはロレックスが好きじゃなかった!?

「時計って、やはり男の憧れ。年齢を重ねるうちに、周りの友人たちも次々入手するようになって……。気がつけば、自分も調べるようになっていました」

井戸田さんが購入を具体的に意識しはじめたのは、およそ5年前。30歳を迎えた頃だった。そしてロレックス『デイトジャスト』(通称“サンダーバード”)に狙いを定める。

「僕は元々、ロレックスが好きじゃなかったんです(笑)。好みじゃないのは、そのゴツさ。特にスポーツタイプは、自分のワードローブに照らし合わせると、時計だけが強くなってしまうなと。ところが、どこかのHPで、このモデルを偶然見つけたんです。これだったら、ドレスとスポーツの中庸といったニュアンスで、新鮮に写って……」

その後、調べを進めていくうちに、同じシリーズでも、セカンドモデル(Ref.6609)がいいと井戸田さんは目星をつけた。

「そこまではスムーズだったんですが、自分が探していたタイミングでは、該当モデルがなかなか出てこなくて……。いま手にしているのは、昨年、FIRE KIDSで購入したもの。でもこの個体と出会う前に、サードモデルRef.1625が手に入るチャンスがあり、つい、それを買っちゃったんです」

しかしRef.1625購入直後に、本命だったRef.6609が、FIRE KIDSから出てきてしまう

「入れ替えました(笑)。まあ、しょうがないです。やっぱり見比べても、こっちの方がいいなっていう結論に至りました」

井戸田さんがRef.6609を気に入ったポイントは、剣針。さらには偶数カレンダーが赤色であることだ。これらはファースト及びセカンドモデルのディテールであり、サードモデル以降、針はバトン型に差し替えられている。

「まっすぐの針がどうしても納得し切れず……。剣針は、自分で調べていくうちに、こんなディテールがあるんだ! って、心が動いたポイントで、やっぱり譲りづらくて」

またこのモデルは、全体的にシルバー色でまとまっていて、色彩的にも統一感がある。

「シルバーアクセサリーが好きなので、それらと一緒に着けたときに統一感があるものが良かったんです。自分なりにどういうコーディネートができるか、これからも楽しみたいと思っています」

時計は、一緒に歳をとっていく相棒

ところで井戸田さんにとってのヴィンテージウオッチとは、どのような存在なのだろう?

「秒針が止まったからゼンマイを巻こうとか、ひと手間かかることが、かえって愛着が湧く要素なのかなと思っています。メンテナンスをすれば使い続けられるものなので、一緒に歳をとっていける。その意味でも、この時計は、一生、身につけるという定義で、真剣に選んだつもりです」

ちなみに、もう1本購入する考えはありますか? と問うと、「次がまた欲しくなる心理が理解できるようになっちゃいました」と、井戸田さん。まずは今、手元にあるものを愛でていくつもりだそうだが、気になっているのは『エクスプローラーⅠ』だという。

「実際に使って、ロレックスに対するイメージは変わりましたね。これまでの歴史的背景と、世間一般が抱く大きな価値意識。それらは、身につけるほどに納得しています。それに、自分はヴィンテージテイストが好きなんですよ。その意味でも、またロレックスに辿り着いてしまう」

なかなか買えない、という特別感もまたいいそうだ。確固たる決意のもと、頑張らないと買えないアイテム。そうやって、自分自身とも正面から向き合い、見つめ直すことが大きな意味をもたらすのかもしれない。

最後に、これから時計を買いたい人に向けて、井戸田さんからアドバイスをいただいた。

「どんなに出てこなくても、探し続けること。些細なことも妥協せず、本当に気に入った1本を探すのがオススメです。そうでないと、結局は手放すことになりますから。でも、探している間のプロセスも、案外、楽しいものですよ。”なんでこのモデルだけ、見つからないんだ”“なんでこんなに高いんだ”と、気持ちを揺さぶられながらも、自分と向き合い、とにかくねばってみてください」

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土田貴史

土田貴史

ワールドフォトプレス『世界の腕時計』編集部でキャリアをスタート。『MEN’S CLUB』『Goods Press』などを経て、2009年に独立。編集・ライター歴およそ30年。好きが高じて、日本ソムリエ協会の「SAKE DIPLOMA」資格を保有。趣味はもちろん、日本酒を嗜むこと。経年変化により熟成酒が円熟味を増すように、アンティークウオッチにもかけがえのない趣があると思っている。「TYPE 96」のような普遍のデザインが好きだが、スポーツROLEXや、OMEGA、BREITLINGといった王道アイテムも、もちろん大好き。

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