セイコーのおすすめヴィンテージ腕時計を予算別に5本紹介

2025.02.18
Written by 編集部

時計マニアが集まるFIRE KIDSのスタッフが、ヴィンテージ時計の魅力を伝えるYouTubeコーナー。毎回異なるテーマで、厳選されたモデルをご紹介する。

150年近くの歴史を持ち、日本が世界に誇る時計メーカー「セイコー」。シンプルながらもデザイン性に優れており、精度が高く安定したセイコーの時計は、国内のみならず海外でも人気が高まっている。今回は「セイコーが気になる…」という方向けに、10万円台〜100万円台の予算別で、FIRE KIDSの松浦マネージャーとスタッフの宮崎がおすすめの5本を解説していく。

初心者にも玄人にもおすすめの『ロードマーベル』10万円

まず1本目は「非常に定番」ということで、『ロードマーベル ロービート Ref.5740-1990 AGFケース』だ。グランドセイコーが生まれる以前の高級機として1958年から製造されたモデル。元々のマーベルをさらに進化させたロードマーベルは、当時大ヒットし評価もかなり高い。

「ロードマーベルはバリエーションがすごく豊富ですね。国内の方問わず、海外の方にも人気がある。セイコーの文字自体も少し筆記体みたいになってて、若干オールドインターチックな感じも良い」(松浦さん)

「こちらは金色ということで、グランドセイコーファーストやキングセイコーファーストとかにも、見た目としては近しい部分がありますし、負けていないです」(宮崎さん)

サンバースト仕上げの文字盤やドーフィンハンド、植字のインデックスなどから高級感が感じられる1本だ。価格は10万円。

「シンプルな手巻きなのでメンテナンスの費用も抑えられますし、見た目はカッコいいし。ヴィンテージ初めての1本目にも良いですし、ベテランの方がラフに使える金時計が欲しい! みたいな時にもおすすめな1本です」(宮崎さん)

「そうだね、これは1周回って、また戻ってくるような感じも良いね。セイコーのレガシー的な部分を感じられるのがロードマーベルなのかな」(松浦さん)

ロードマーベルはシンプルな分、革ベルトをリザードにしてみたり、厚みが薄いクロコにして当時のような雰囲気を出してみたりと、変化を楽しんで欲しいと話す。

高級ラインの45KS『キングセイコー』20万円

2本目はハイグレードモデルの『キングセイコー クロノメーター Ref.45-8010 ハイビート シルバーダイヤル』だ。キングセイコーの中でも特別感のある優秀級クロノメーター検定をクリアした名機。

「当時、色々なメーカーで出ているCラインと言われるデザインがありますけど、代表的なのはコンステレーションのジェンタですね。そのデザインをセイコーも採用して出しているのがこのモデルですね」(松浦さん)

「Cラインケースは個人的には、腕に乗せた時の収まりが良いと思うんですよ。もちろん10振動ですし、間違いのない1本ですね」(宮崎さん)

2024年の新作「KS1969」の元デザインとなる「45KCM」は丸みを帯びた造形が特徴的な1本だ。

「しかも独自のクロノメーターではなく、公式のクロノメーター検定をクリアしたものですから」(松浦さん)

「セイコーのモデルに全て言えることなんですけど、精度がすごいですよね。しっかり背骨のある時計という感じです(笑)」(宮崎さん)

あえてのウエムラダイバー外し『セカンドダイバー』30万円

3本目は「後期のウエムラよりスリム」という、『150mダイバーセカンドモデル前期型 Ref.6105-8000』を見ていく。価格は30万円。

「リューズガードのところが若干スリムになっているよね」(松浦さん)

「ケースシェイプが美しいですし、リューズが4時位置にあるのでスッキリして見えます。左右バランスの取れたダイバーズ。この時代のロレックスのダイバーズをゲットしたいと思うと桁が1つ変わっちゃいますもんね、セイコーのダイバーズは狙い目ですよね」(宮崎さん)

リュ-ズガードとリューズロックがついておらず、またケースサイズも前期の方が3mmほど小さいのが特徴だ。

「後期のウエムラダイバーを狙っている方が多い中、逆に前期って良いですよね」(宮崎さん)

後期型のウエムラダイバーが有名だが、前期型は製造期間も短いため生産数も少なく、後期モデルよりもコンディションが良いものを探すのは大変だと言う。

ペットネームはベビーパンダ『クロノグラフ』46万円

4本目は、『クロノグラフ Ref.6138-8001 Cal.6138B ベビーパンダ』を見ていく。数あるクロノグラフの中でも「1番デザインのバランスが取れている」と松浦マネージャーは話す。

「これは海外の人から見たいという声がすごく多いんですよね」(宮崎さん)

「海外の記事でもベビーパンダとして紹介されているので、広がっているんじゃないかな。10年くらい前からの呼び名だよね」(松浦さん)

Ref.6138-8000をマイナーチェンジした後期モデルで、製造期間約1年程度と希少度の高い1本。ベゼルはシャープな形状に変わり、文字盤と針の夜光塗料を廃止したことでスッキリとしたデザインになった。

「垂直クラッチという方式を使っている機械なんですけど、その分機械を少しコンパクトにできているんだよね」(松浦さん)

「ギュッと詰まってる感じ。厚みは多少あるんですけど、正面から見た時にラグもそこまで長くないので、腕に乗せた時にほどよいサイズ感かなと」(宮崎さん)

ブランドトップの名機? 『グランドセイコー』198万円

最後に紹介するのは、価格は198万円だが「妥当ですね」と言われる名機『グランドセイコー V.F.A Ref.6185-8021-G 10振動 自動巻き』だ。

「金額としては大きく見えると思うんですけど、パーフェクトウォッチのジャンルで見るとすると、非常にお安いです」(宮崎さん)

「立体感と奥行きがあってね。若干レトロフューチャー的なイメージもあったりするのは1970年代の時代背景だよね」(松浦さん)

諏訪セイコーから製造された、当時月差±1分以内という超高精度の特別調整品(Very Fine Adjusted)。ムーブメントは10振動で自動巻きのCal.6185Bを搭載している。

「インデックスの立ち具合がすごいです。V.F.A表記なしもすごくレアなんですけど、あった方がV.F.Aらしくて良いですよね。上がり時計の選択肢に入ってくる1本ですね」(宮崎さん)

「パッと見のデザインは若干地味ではあるんだけど、着けるとジワジワ良さが出てくる時計だと思う」(松浦さん)

価格が高騰しているモデルも増え、また流通数が限られたヴィンテージ腕時計は、良い個体が年々減っていってしまう。決して安くはないので、勢いで買ってしまおう…! というのは良くないが、しっかりとコンディションを見極めたら「早めに買う」という決断も必要になってきている。まずはぜひ店頭に遊びに来て欲しい。

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